新卒採用向けの密着動画制作のポイント|発注側が押さえるべき要点とは?

「新卒採用向けの密着動画を作りたいが、押さえるべきポイントが分からない」「企画から撮影・編集まで、何に注意すべきか知りたい」「権利や社内調整で失敗したくない」――そのようなお悩みはありませんか。人事・採用担当者にとって、効果的な密着動画の制作は重要なテーマです。

本記事では、新卒採用における密着動画の作り方を、企画・撮影・編集・権利処理まで体系的に解説します。台本テンプレートや許諾書サンプルもご用意し、読んだその日から実践できる内容にまとめました。

目次

この記事の要点

  • 企画のコツ:出演者の選定基準・ストーリー構成・質問設計の3要素を押さえることが成功の鍵です。
  • 撮影のポイント:音声品質を最優先にし、Bロールの計画的な収集と安全配慮を徹底します。
  • 編集の要点:テロップ・字幕・縦横展開を見据えた編集設計を行います。
  • 権利処理:肖像権・著作権の許諾書テンプレートを活用し、法的リスクを回避します。
  • スケジュール:基本は8週間の逆算モデル。短納期は4〜5週間が目安です。

使用予定日から逆算して最短ルートを知りたい方は、無料でスケジュール案をお作りします。

密着動画が新卒採用に効く理由

密着動画は、候補者の不安を和らげ、職場のリアルを伝えられる点で有効です。文字情報だけでは伝わりにくい「仕事の流れ」や「人や文化」を、映像と音で具体的に共有できます。

候補者心理への効果

  • 仕事内容の具体化:抽象的な説明ではなく、実際の業務フローを視覚化できます。
  • 職場環境の理解:オフィスの雰囲気や同僚との関係性、働き方を体感できます。
  • 成長イメージの醸成:先輩社員の成長過程や学びのポイントを共有できます。
  • ミスマッチの防止:入社後のギャップを事前に減らせます。

EVP(Employee Value Proposition)の強化

密着動画は、自社のEVP(従業員価値提案)を具体的に伝える最適な手段です。給与や福利厚生に加え、やりがい・成長機会・企業文化を体験的に示すことで、候補者の志望度向上につながります。

成功のゴール設定:KPI(重要業績評価指標)と視聴→応募の設計

制作に着手する前に、達成したいKPI(重要業績評価指標)と効果測定の仕組みを明確にしておくことが重要です。これにより、企画・撮影・編集の意思決定が一貫します。

※ESは「エントリーシート」の略です。

測定項目目標値(目安)計測方法改善アクション
視聴完了率50%以上GA4イベント計測冒頭3秒の改善
説明会申込率視聴者の15%CTA経由の申込数CTA設計の最適化
ES通過率前年比120%採用管理システム動画内容の見直し
内定承諾率前年比110%内定者アンケートリアリティの向上
※数値は業界・企業規模により変動します。少なくとも3か月間の継続計測を推奨します。

GA4計測設定

動画の効果を正確に測るため、GA4(Google アナリティクス 4)で以下のイベントを設定することをおすすめします。

  • video_start:動画再生開始
  • video_progress_50:50%視聴完了
  • video_complete:100%視聴完了
  • cta_click:説明会申込ボタンのクリック

企画のコツ:人選・ストーリー・質問設計

一言で「密着動画」といってもそのスタイルは様々です。採用課題や動画制作の目的に沿って、最適なストーリーを構築し、質問を設計することが重要です。

出演者選定基準

密着動画の良し悪しは、出演者選びから決まります。次の基準を参考に候補者を選定してください。

  • 入社2〜5年目:新卒に近い視点を持ちつつ、業務を自走できる
  • コミュニケーション能力:自然体で話せ、過度に緊張しない
  • 業務の代表性:ターゲット職種の典型的な業務を担当している
  • 成長ストーリー:入社時の不安から現在の成長までを語れる
  • 撮影協力度:業務に支障が出ない範囲で撮影に協力できる

ストーリー構成の型

飽きずに見てもらうには、次の4段階構成が効果的です。

  • 導入(0〜30秒):出演者紹介と一日の概要
  • 日常(30秒〜2分):通常業務の流れと職場環境
  • 山場(2〜4分):挑戦的な業務や成長エピソード
  • 余韻(4〜5分):やりがいと今後の展望

質問設計のポイント

自然なインタビューにするため、事前に質問リストを用意し、出演者と共有しておきます。

  • 「入社前に不安だったことは何ですか?」
  • 「実際に働いてみて感じたギャップはありますか?」
  • 「この仕事の一番のやりがいは何ですか?」
  • 「新卒の方へメッセージをお願いします。」

密着動画の権利対応と社内稟議

制作が順調でも、権利の抜け漏れがあると公開直前で止まります。ここだけは最初に固めておきましょう。

肖像権・著作権の処理

法的リスクを避けるため、次の権利処理を確実に行います。発注側が留意しておくべきポイントは、1点目の「出演者への許諾」です。事前に許諾を得て、必要に応じて書面を交わします。

  • 出演者の肖像権:撮影・公開に関する書面同意を取得します。
  • 施設の撮影許可:オフィスや会議室の撮影許可を得ます。
  • BGMの著作権:商用利用可能な楽曲を使用します。
  • フォントライセンス:商用利用可能なフォントを使用します。
  • 第三者の映り込み:同意取得または映像処理で対応します。

許諾書テンプレート

以下の項目を含む許諾書を事前に準備し、関係者から署名をもらいます。

  • 撮影・録音の同意
  • 公開媒体の範囲(Web・SNS・説明会など)
  • 利用期間(通常2〜3年)
  • 二次利用の可否
  • 取り消し条件

新卒採用向け密着動画のスケジュールとWBS

工程期間制作側作業発注側役割成果物
要件定義1週間ヒアリング・企画書作成目的・KPI・出演者の確定企画書・台本案
準備1週間ロケハン・機材準備許諾書取得・スケジュール調整撮影計画書
撮影1〜2日密着撮影・インタビュー撮影立ち会い・進行サポート撮影素材
編集2〜3週間カット編集・テロップ・音響中間確認・フィードバック初稿・修正版
修正1週間修正対応・最終調整最終確認・承認完成版
納品2〜3日各種フォーマット書き出し受領確認・公開準備納品データ
※期間は目安です。短納期の場合は各工程を圧縮します。

短納期対応の条件

4〜5週間での制作を実現するには、次の条件を満たすことが近道です。

  • 既存素材の活用:会社紹介映像や写真を流用します。
  • 承認SLAの遵守:48時間以内のフィードバックを徹底します。
  • 修正回数の制限:修正は2回までにします。
  • シンプルな構成:複雑な演出は避けます。

※SLA(サービス水準合意):レビューや承認の回答期限など、双方で合意した運用基準のことです。

密着動画の制作期間・スケジュールについてはこちらで詳しく解説しています。

失敗例と回避策

よくある失敗原因回避策追加費用目安
音声が聞き取りにくい環境音・機材不良事前テストとピンマイクの使用再撮影:10〜20万円
情報が多すぎて散漫企画段階の整理不足メッセージを3点に絞る再編集:5〜10万円
承認が長期化関係者の巻き込み不足SLA設定と責任者の明確化納期遅延:なし
権利問題が発生許諾書の不備撮影前の権利確認と書面取得差し替え:3〜5万円
※追加費用は制作会社により異なります。

事例と費用感の考え方

密着動画の費用は、編集の難易度と撮影日数で大きく変わります。下記はおおよその目安です。

  • シンプル版(60〜80万円):1日撮影、基本編集、1媒体対応
  • 標準版(80〜120万円):1〜2日撮影、テロップ充実、縦横対応
  • プレミアム版(150万円〜):複数日撮影、高度な演出、多媒体展開

※費用は撮影日数・修正回数・縦横同時最適化の有無で変動します。

密着動画の制作費についてはこちらで詳しく解説しています。

よくある質問

最短でどのくらいの期間で制作できますか?

条件が整えば4〜5週間での制作が可能です。既存素材の活用、承認SLA(48時間)順守、修正回数2回までが前提となります。品質を重視する場合は、標準の8週間をおすすめします。

縦型と横型の同時制作は可能ですか?

可能です。撮影段階から縦横両対応を想定すれば、追加費用を抑えて制作できます。ただし、各フォーマットへの最適化(テロップ・構図調整)が必要なため、10〜20万円程度の追加費用が発生する場合があります。

他媒体への二次利用は可能ですか?

出演者との許諾書で利用範囲を事前に定めていれば、追加費用なしで二次利用できる場合があります。なお、BGMやフォントのライセンスによって制限されることがあるため、制作前の確認をおすすめします。

撮影に立ち会いは必要ですか?

必須ではありませんが、出演者のサポートや機密情報の管理の観点から、人事担当者の立ち会いを推奨します。進行状況の把握や追加撮影の判断もしやすくなります。

字幕制作の費用はどの程度ですか?

日本語字幕は5分の動画で3〜5万円が目安です。多言語字幕(英語・中国語など)は、1言語あたり5〜8万円の追加費用が発生します。字幕の有無は企画段階で決め、予算に計上しておくと安心です。

まとめ:成功する密着動画制作のチェックリスト

  • 企画段階:KPI設定・出演者選定・ストーリー構成を確定する
  • 準備段階:許諾書取得・撮影許可・機材とスケジュールを整える
  • 撮影段階:音声品質を確保し、Bロールを十分に撮る。安全配慮を徹底する
  • 編集段階:テロップ設計・縦横対応・ブランド整合性を担保する
  • 公開段階:GA4設定で効果を測定し、継続的に改善する

これらのポイントを押さえることで、候補者の心に届く密着動画を無理なく制作できます。疑問点があれば、制作開始前に相談し、認識のずれをなくしてから進めると安心です。

無料テンプレート提供・制作相談:逆算WBS、許諾書テンプレート、質問リストの3点セットを無料でご提供します。制作に関するご相談も承ります。

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この記事を書いた人

【株式会社case 代表取締役/動画制作プロデューサー】加藤智史
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社にアカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。現在は本メディアの運営を通じた企業の動画制作支援や、動画制作会社の営業支援などを行う。動画制作のご依頼の流れはコチラ

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