動画制作を実際に外注したことのない方にとっては、「動画制作がどのように進行していくのか」「いつまでに、どんな情報を揃えなければいけないのか」「いつまで修正が可能なのか」など、わからず不安な部分も多いのではないでしょうか。
基本的には制作会社のプロデューサーや営業担当者が都度説明するはずではあるのですが、できれば事前に把握しておきたいですよね。
本記事では、初めての動画制作でどのような流れで制作が進んでいくのかを知りたい方に向けて「動画制作の流れ」を詳細に解説します。
時間の無い方は直ぐ下の画像と、一番下の画像だけでも見ていってください。
STEP1:ヒアリング
制作会社から、発注元企業へのヒアリングが最初のステップになります。制作会社との初回の打ち合わせですね。
ここでは、
- 予算
- 納期
- イメージに近いサンプルの動画
などの、見積りに必要な情報も重要なのですが、同じくらいに
- 動画制作の目的や背景
- 動画に求める役割
などの、「なぜ動画制作を検討することになったのか」という情報も非常に重要です。
このヒアリングのタイミングで発注元の企業からもらえる情報の量や精度によって、特に提案する「企画」の精度は大きく左右されてしまいます。
ただし、難しく考える必要はありません。よく言われる5W1Hに沿って情報を整理することができていれば問題ないので、制作会社との打ち合わせの前までにしっかりと情報を整理し、社内関係者とも共通認識を形成した上でヒアリング・打ち合わせに臨みましょう。
STEP2:お見積り・企画ご提案
制作会社への情報提供が終われば、次は制作会社からの見積りの提示や企画提案となります。
ここでのポイントは、
- 見積り・企画提案をもらうまでに必要な時間
- もらった見積り・企画提案の比較ポイント
…の2つです。
見積り・企画提案をもらうまでに必要な時間
見積りだけであれば、早ければ翌営業日には提出してもらえる可能性もありますが、企画提案となると1〜2週間ほど時間がかかるケースもあるため、納期や意思決定に必要な時間なども考慮した上で早めに制作会社への問い合わせや打ち合わせを完了させておいたほうがベターです。
もらった見積りの比較ポイント
制作会社からもらった見積りの比較ポイントは、発注元企業がその動画制作に何を求めているのかで大きく変わるため、ケース・バイ・ケース…というのが前提になりますが、「特に気をつけて見るべきポイント」について解説します。
詳細は、下記の記事を参照頂きたいですが、
見積りで最も注意して見るべきポイントは、
- 制作条件に違いが無いか
です。
例えば、
- 撮影日数
- ナレーション収録の条件
- 修正回数
などは、事前に発注元企業からの指定がなければ基本的には制作会社側が「この条件で問題ないだろう」という条件を設定した上で見積りをしています。
特に撮影日数は1日なのか2日なのかで数十万円の違いがでることもあるため、撮影日数は同じなのか。もし違うのであればその違いの理由は明確にするべきです。
撮影日数は少ないほうが金額は抑えられますが、無理やり1日で撮影しようとすると思わぬトラブルに見舞われることもあるため、「安いほうがいい!」と安易に判断するのではなく、どのようなリスクがあるのかや、コントロール可能なリスクであるかなどはしっかりと確認しましょう。
STEP3:発注
制作会社からの見積り・企画提案が出揃い、ベストだと思える会社が決まれば発注手続きに移行します。
制作会社側から求められるのは、提出した見積り書の内容で発注する旨の「発注書」への捺印やサインなどですが、発注元企業のルール次第では「業務委託契約書が必要」「NDAが必要」などの対応も必要になります。
当然、契約書の内容の確認などが必要な場合にはその時間も必要になるため、もし自社の発注フローが比較的複雑・工数がかかるのであればその点も計算して進行しておいたほうが良いでしょう。
また、もし「どの会社を選んでいいかわからない…」とお困りの場合は、ぜひ下記の記事を参照ください。
STEP4:キックオフMTG
発注手続きが完了すると、次は「キックオフMTG」の実施です。
キックオフMTGの内容は、
- 担当ディレクターなど、制作陣との顔合わせ
- 発注内容やスケジュールなど詳細の確認・すり合わせ
…が主なものになるため、基本的には発注側で改めて用意しておくべきものは無いのですが、制作についての不安や疑問などがあれば、このタイミングでぶつけることができるように洗い出しておくと良いでしょう。
その他、細かいポイントは下記にまとめていますので気になる方はぜひご参照ください。
STEP5:シナリオ・絵コンテ作成
キックオフMTGが完了すると、次はシナリオ・絵コンテの作成です。
制作する動画の内容によって、どちらかを制作することになるのですがざっくり説明すると、
- シナリオ…テキストベースで動画の流れや内容を細かく記載したもの
- 絵コンテ…静止画やイラストなどを使って動画の流れを説明したもの
…が、シナリオ・絵コンテの説明です。
例えば、インタビュー動画等の場合はインタビューシーンと、インタビュー中に差し込むイメージカットなど比較的撮影するシーンが少なく、イメージもしやすいことからシナリオのみで制作を進行するケースがあります。
また、アニメーション・モーショングラフィックスの動画や、TVCM/WEBCMなどの場合には必ず絵コンテが用意されます。
シナリオ・絵コンテともに、制作関係者と制作する動画の内容について共通認識を獲得することが目的となるため、制作する動画がシンプルであれば、シンプルなシナリオになり、予算が大きく関係者も増える(キャストやスタッフなど)場合にはより精緻な絵コンテが用意されることになります。
注意するべきなのは、シナリオであっても絵コンテであってもそれが「動画の設計図」となってそれ通りに制作されるため、イメージと異なる・認識がずれている等の場合にはシナリオ・絵コンテの内容が確定する前にしっかりと指摘・修正する必要があるということです。
STEP6:撮影準備
作成したシナリオ・絵コンテをもとに撮影準備を行います。
※アニメーションやモーショングラフィックス動画の場合には撮影は行わないため、STEP6・7は読み飛ばしてください。
具体的にはスタッフや機材、撮影場所や出演者の手配、撮影当日のスケジュールの作成などです。制作する動画によっては、撮影場所や出演者はお客様側でご手配いただくケースもありますが、その場合はほとんどが
- 自社オフィスや工場での撮影
- 自社社員が出演する
というケースです。
もし、上記のように自社で撮影場所や出演者を用意する場合には、
- 撮影場所の確保(何時から何時まで撮影が可能であるか、どれくらいのスペースが確保できるかなど)
- 撮影場所の明かりの具合(自然光が入るのか、否かなど)
- 駐車場の有無
- 出演者の衣装
などは、制作会社側からの確認もあるはずですが、事前に把握して制作会社に伝えられるとスムーズです。
STEP7:撮影
撮影準備の段階で「香盤表」「カット表」などをご用意し、そちらをもとに撮影を進行します。
- 香盤表…撮影当日の撮影進行スケジュール
- カット表…撮影日に撮影するべきカット(シーン)を並べたもの
香盤表は、どのような撮影の場合でも必ず用意されるものですが、カット表は例えばインタビュー動画などの比較的シンプルな動画等の場合には用意されないケースもあります。
カット表は、
- 例えばカット数が20カットあって1カットでも撮影できないと動画が成立しない
- 撮影効率を考えて、1カット目からの撮影ではなく動画の流れとは関係なく撮影を進行する
などの際に、抜け漏れを防ぎスムーズに進行するために用意されるものなので、インタビュー動画のように撮影するカットが少なく、また、撮影したものを良しなに編集するような場合には用意されないこともあります。
STEP8:編集
撮影した素材や制作した素材(イラストやデザインなど)を、シナリオ・絵コンテに沿って編集します。
前述の通り、シナリオ・絵コンテを「動画の設計図」として編集を行うため、特に実写動画の場合にはこの時点でのシナリオ・絵コンテの変更はできないと考えたほうが良いです。
不可能ではありませんが、スケジュールや制作費に大きな影響がでてしまいます。
そのため、やはりシナリオ・絵コンテについては、実写動画の場合には撮影の前に、アニメーション・モーショングラフィックス動画の場合には編集に入る前に確定させる必要があるのです。
STEP9:初稿動画のチェック
シナリオ・絵コンテに沿って編集した動画を、発注元企業側での確認を行います。
繰り返しになりますが、シナリオ・絵コンテ通りに編集されているため大きな修正などは発生しないことがほとんどですが、
- 使われているBGM
- 企業のロゴの使い方
- テロップのデザイン
など、シナリオ・絵コンテで確定されていなかったポイントで、当初のイメージと異なる部分などがあれば制作会社と相談しましょう。
その他、詳細については下記をご参照下さい。
STEP10:修正
初稿動画を確認して、修正の必要があれば修正指示を出しましょう。
修正指示のポイントは、
- 具体的に指示する
ということです。例えば、
- テロップの色がイメージと違う
- BGMがなんかゆったりしていて嫌だ
…のようなフィードバックだと、抽象的で修正の回数が増えてしまいスケジュールへの影響も出かねません。
具体的に、
- テロップを◯色にしてほしい・グラデーションにしてほしい
- BGMをもう少しアップテンポなものにしてほしい。例えば…(曲のサンプルを送る)のような感じ。
…というようなフィードバックであれば、制作会社も動きやすいです。
また、もう1点加えるとすると、基本的には制作会社側が動画のプロとして「ベスト」だと考えられる編集を行っているため、もしクリエイティブ面での修正指示を出す場合にはその背景や理由を添えて伝えられるとベターです。
STEP11:2稿チェック
修正が完了した、2稿動画の確認です。
ここでは、「修正した指示が問題なく反映されているか」というのがポイントになるため、あまり時間はかからないでしょう。
気をつけておくべきポイントは、初稿動画の修正指示はご担当者だけではなく最終的にOKを出すことになる上司や関係者間でもしっかりと共通認識を獲得しておくことです。
理想は、初稿動画の修正指示・フィードバックの中にはなかった新たな修正指示が2稿チェックのタイミングで出てこない状態です。
もちろん、初稿動画のチェックのタイミングで気づかなかった・漏れてしまっていたなども十分考えられるため、NGということではないですが、基本的にはそのような状態を目指して確認・フィードバックすることを心がけるとよりスムーズに進行できます。
STEP12:ナレーション収録
動画の内容が問題なければ、いよいよ最後にナレーションの収録です。ナレーション収録には、
- スタジオでの収録or宅録と呼ばれる、ナレーターが確保している簡易的な収録環境での収録
- スタジオでの収録の場合に、お客様の立ち会いの有無
などの選択肢があります。また、立ち会う場合には人数が多くなるとスタジの広さも考慮する必要があるため、複数人での立ち会いの場合には事前に制作会社に相談しましょう。
また、専門用語や固有名詞が多く原稿に含まれる場合には特に注意が必要です。
STEP13:納品
ナレーション収録が完了すると、こまかい整音作業を行った上で動画データをお客様へお送りし、納品完了となります。
ここまで来ると、特に気をつけるべきこともないのですが、納品する動画データは比較的大きなデータ容量になるため、使いやすい小さめのデータ容量にしたものがほしい場合などは制作会社へ伝えましょう。
また、基本的にはMP4やWMVなど「データ」として納品することを想定しているため、Blue-rayディスクでの納品を希望する場合などは事前に(見積り前のタイミングで)伝えておきましょう。
納品までかなりの長いSTEPがあるように感じられるかもしれませんが、ところどころで確認いただいたり了承をいただくというようなタスクはあるものの、ほとんどの工程はプロにお任せいただけます。
動画の制作をお考えでしたら、ぜひ、私どもに安心してお任せください。
情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
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