動画制作を外注するにあたり、いざ動画制作の見積もりをとってみたら
「20万くらいかな〜と思っていたのに50万の見積もりが来た」
「イメージに近い動画事例が見つかったのに制作費が高すぎる…」
ということはおそらく外注時のあるあるだと思います。
今回は、動画制作はなぜお金がかかるのか?という部分を少しご説明したいと思います。
動画の制作費をとりあえず予想してみよう
今回はこちらの動画で考えてみましょう。シンプルなインタビュー動画です。
まずは、皆さんが思うように想像してみてください。
緻密に計算してみてもよいですし、ざっくり「大体これくらい」でも結構です。
…なんとなく想像できましたでしょうか?
ではこれから動画制作費の考え方をご紹介したいと思います。
動画を要素分解してみる
実写の動画を制作する際にどのようなお金が必要になるのかは、
参考とする動画やイメージに近い動画を要素分解して考えてみるとわかりやすいです。
- 動画に映っているもの
- 動画に入っている音声
の2つに注目しましょう。
1.動画に映っているもの
・会社の外観、内観
・インタビュイー(インタビューに答えている人)×4名
2.動画に入っている音声
・インタビュー音声
・BGM
インタビュー動画ということで、構成要素は少なめですね。
次はそれぞれの要素がどのように作られているのかを考えてみます。
要素の成り立ちを考える。
まずは「映っているもの」がどのように成立しているかを考えます。
動画に映っているもの
映っているものに注目していただきたいのはその映像が撮影されているカメラの
向こう側にどれくらいの人員・機材が必要なのかが制作費に大きなインパクトを与えるためです。
機材に詳しく無いとわからない領域は発注者側が覚える必要性は少ないので簡単に見極められそうなポイントだけご紹介します。
・会社の外観、内観
「この動きはカメラと三脚だけで撮影できるのか?」を少し気にして見てみましょう。
例えば空撮は無理ですし、三脚は横・前後にスライドするような動きはできません。
今回の事例映像では少し横・前後にスライドするような動きが見えるのでおそらく三脚以外の機材が使われています。
カメラと三脚以外の機材が増えるとどうなるか?
カメラマン以外にアシスタントが必要になる可能性が格段に上がります。
ということでこの映像のような演出をするとアシスタントの人件費に機材費も通常の撮影費に加算されることになります。
・インタビュイー(インタビューに答えている人)×4名
→インタビューをみてみるとどうやらカメラは2台のようです。
1台は固定で1台は少し動きがあるので手持ちでしょうか。
先ほどの三脚以外の機材に加えてカメラも2台となるとカメラマンだけでは機材の運搬は難しそうですね。
やはりアシスタント的な人員が必要そうです。
動画に入っている音声
・インタビュー音声
動画をみる限りでは「ピンマイク」が見当たりません。
また、カメラについているマイクでの収録ではなさそうなので、
そうなるとおそらくガンマイクを持った音声収録担当のスタッフが
カメラの向こうにいるはずです。
・BGM
こちらは聞いてもわかりませんが、おそらくライセンスフリーの音源だと思われます。
参考までにライセンスフリーの音源は数千円で購入可能です。
撮影現場のスタッフを想像してみる
参考動画を要素分解し、その要素がどのように成り立っているのかをあくまでも「想像」ではありますが考えて見ました。
その結果から撮影スタッフを再度想像してみます。
- ディレクター(監督)
- カメラマン 1名
- カメラアシスタント 1名
- 音声スタッフ 1名
- 制作会社の制作進行係(プロデューサー) 1名
ディレクターは初めて登場しましたが、一般的な動画制作の場合は必ずディレクターが存在します。
また、制作会社の制作進行係とは例えば撮影当日のスケジュールを決めて、そのスケジュール通りに現場を進行していく人です。
(どこで、誰を、どれくらいの制限時間で撮影するのかなど)
撮影する人、場所、もの、を把握して滞りなく現場が進行するよう管理します。
基本的にはこの「制作進行係」の人も現場にはいる…と想定しておいた方が良いでしょう。
制作費を想像してみる。
さて、参考動画から制作スタッフを想像してみたところでおぼろげながら
制作に必要な人員が見えてきました。その結果…
・ディレクター(監督)1名
・カメラマン 1名
・カメラアシスタント 1名
・音声スタッフ 1名
・制作会社の制作進行係(プロデューサー) 1名
5名ものスタッフがどうやら必要そうです。
この5名のスタッフの人件費は1日あたりいくらでしょうか。
完全に仮の金額ですが…
仮に3万円とすると、3万円×5人=15万円
仮に5万円とすると、5万円×5人=25万円 です。
実際には役割やその人のスキル・実績によって金額は変動しますが、撮影だけでも5人が必要です。
撮影した後は当然編集作業となります。
編集に仮に2日間かかったとすると、人件費×2日分が加算されます。
わかりやすく1日/5万円とすると+10万円です。
わかりやすい人件費だけで考えても35万円くらい必要になる計算です。
(勝手に撮影が1日で完了している想定にしていますが、実際には2〜3日撮影しているかもしれません)
実際にはここに機材費や移動交通費、昼食代なども加算されますし、
ディレクター・カメラマンの能力やインタビューや映像の構成を考える時間については
上記の金額には含まれていません。
そして、もちろん制作会社へ外注する場合は制作会社の利益も加算されます。
結論:制作費は千差万別
ここまで動画制作を外注した際の制作費の考え方について、簡単に説明してみましたがいかがでしたか?
これまでの説明を完全に覆すようなことを言ってしまいますが、
今回事例としてあげたような動画を制作する際に2〜3名のスタッフで制作費を抑えて制作するという方法もあります。
ただしそれはもちろん動画のクオリティそのものにも反映されますし、
なにより制作現場や制作過程での様々なリスクを抱えることにもつながります。
求められる動画のクオリティと予算のバランス・発注する制作会社によって、現場のスタッフィングはもちろん
制作の進行も変わってくるので個人的には「安く抑える」ことばかりを考えるのはおすすめできません。
もちろん、できる限り「安く抑えたい」と考えることは自然ではありますがその際には
- まずは「適正な予算の把握」に努めること
- 「適正な予算」の捻出が難しい場合は制作費が下がることによってどのような影響・リスクがあるのかを確認すること
- その上でどのリスクや影響を受け入れるのかを決めてあとは発注した制作会社に任せること。
この3点を意識しましょう。
最後に
最後に…
今回インタビュー動画を事例に制作費の考え方を説明してみましたが、必要以上に見積もりの根拠を確認することは避けたほうがよいでしょう。
動画制作は制作会社の担当者と、企業の担当者とのコミュニケーションが非常に多く発生することを制作会社側は誰よりも知っています。
見積もり段階で、企業の担当者が疑心暗鬼だったり面倒臭そうと思われてしまうと適正価格の見積もりは出てこなくなってしまうのであくまでも不明瞭な部分の確認や、追加費用の発生の可能性などについてのコンセンサスを取るなど常識的な範囲に留めておくことをおすすめします。
今回の記事は「できる限り安く制作して欲しい」という思いではなく、「一見シンプルに見える動画でも思ったより多くの人が携わっている」ということをお伝えしたいと思い「動画制作費の考え方」を筆者なりに解説したものです。
この記事を読んで頂き、「意外とお金がかかるもんだな…」とか「安いじゃん」とか色々な感想があると思いますが
その感想に一定の「納得感」を得て頂けたのであれば幸いです。