WEB上での採用動画の活用は数もさることながら、そのバリエーションも増えてきています。
言うまでもありませんが、学生が志望する企業を知る上でその企業が公開している動画は非常に重要な情報源です。
その動画の中でどのようなメッセージが発信されているのかを注意深く観察することで企業が「どんな会社なのか」「何を伝えたいのか」「どんな学生に来てほしいと思っているのか」を測り知ることができるからです。
その中でも今回は採用HPで上手く動画を活用している事例をピックアップしました。
今回はそんな「採用サイト上での動画の活用方法」について、実際にどのように活用されているのかを事例を参考に見ていきたいと思います。
ヤマハ株式会社
1つ目は音楽・楽器用品からスポーツ用品まで幅広い事業を手がけるヤマハさんの採用サイトを事例として紹介したいと思います。
採用サイトで公開する動画は比較的シンプルなものが多いですが、ヤマハさんの採用サイトではかなり凝った動画が公開されています。
世界のお客様とともに感動を創るヤマハ社員のあくなき挑戦とその想いを映像で紹介します。
データ分析やインタビューを積み重ねる欧米市場のマーケティング、
音楽教育を変えるデジタル教材「VOCALOID(ボーカロイド) 教育版」、
新興国の政府と協力して学校に楽器を提供する「スクールプロジェクト」など、
そのどれもが、前例のないチャレンジのストーリーです。出典:YAMAHA2019年度新卒採用https://www.yamaha.com/ja/recruitment/new_graduates/about_yamaha/challenge/
どれも学生にとってはかなり魅力的かつ壮大なプロジェクトなのですが
やはり動画だとよりリアリティが感じられますね。
・活用方法
採用サイト上でのプロジェクト紹介
・動画種別
ドキュメンタリー
・狙い
説明会ではなく、より多くの学生が見るであろう採用サイトにヤマハが手がけるグローバル且つ業界でも先進的なものであることを訴求することで、海外でも仕事をしたいと考えている商社を志望するような上位層の学生にYAMAHAという選択肢を持ってほしいのではないでしょうか。
どうしても「音楽」というイメージが強いので、「音楽が好き」というだけではなく、別の切り口でも優秀な学生を集めたいという狙いもありそうですね。
株式会社デンソー
2つ目は自動車部品メーカーとして、世界シェアNo.1の言わずとしれた大企業、デンソーさんの事例を紹介します。
流石、世界シェアNo.1。採用サイト上に用意されている動画のバリエーションが豊富です。
会社、人、仕事、製品、プロジェクト、職場など様々な情報が動画で提供されています。学生は一旦動画で情報をキャッチアップしてからその他の情報を閲覧すると効率よくデンソーさんについて知ることができそうですね。
・活用方法
採用サイト上での全般的な情報提供
・動画種別
会社紹介、社員インタビューなど
・狙い
高い人気を誇る業界の中でもNo.1のシェアを誇る企業だけあって、応募する学生や採用する学生の数も相当数であると想像できます。そのため、説明会に参加したくても参加できない学生もかなりの数になりそうです。
あくまでも想像ですができる限り会社についての情報格差を無くすことで、より優秀な学生の見極めに注力するためにサイト上での動画を用いた情報提供を積極的に行っているのでは無いでしょうか。
動画そのもののクオリティは先に紹介したYAMAHAさんの方が高い印象ですが圧倒的な情報量はさすがデンソーさんと言ったところでしょうか。
動画のテイストがいわゆるYoutuberの動画っぽい仕立て担っている部分は好みが分かれそうではありますね。
タカラトミーグループ
3つ目の事例はおもちゃメーカーとして有名なタカラトミーグループ社です。
動画の本数は1本ですが、9分ほどと採用サイトに掲載する動画としてはかなり長めの動画というのが特徴です。(採用サイトの最下部に動画があります)
・活用方法
採用サイト上での社員・仕事紹介
・動画種別
社員インタビュー
・狙い
グループ全体での採用ということもあり、採用サイト上では複数の会社・複数の職種のインタビュー記事が掲載されています。
動画も同様に複数の職種の社員へのインタビューがメインとなっていることから、グループ全体での採用であることの不安をできる限り採用サイト上の情報で払拭したいという狙いが見えます。
また、動画の中で紹介している職種が「採用(文系・女性)」「品質管理(男性・理系)」「マーケティング(文系・女性)」「プロダクトデザイン(男性・デザイン専攻)」となっていることから、
- 文系の女性
- 理系やデザイン専攻の男性
の採用にとくに注力していることが伺えます。マーケティング担当の女性のインタビューは、海外で働きたいと思っている商社希望の女子学生を強く意識している様子が印象的です。
アクセンチュア・ジャパン
4つ目の事例はアイルランドを本拠地とする総合コンサルティング会社として有名なアクセンチュア・ジャパン社です。
外資系企業の場合、本社を基準としたクリエイティブのルールが明確に定められていることもあり、日本人が出演する動画は少ないのですがアクセンチュアさんは、外資系企業としては珍しく採用インタビュー動画が公開されていました。
ただし、実は下記の動画は採用サイト上で公開されているものではなく、Youtube上で公開されているものです。おそらく採用サイト上での公開についてはNGがでたのではないかと思われます。
・活用方法
Youtube上での仕事・社員紹介
・動画種別
インタビュー動画
・狙い
理系卒の女性1名、文系卒の男性1名が出演している非常にシンプルなインタビュー動画です。出演している社員の方がフラットなトーンで淡々とインタビューに答えている様子が「コンサルティング会社」の雰囲気を表現しています。
また、特に女性の方のインタビューは理系卒ということもあり、新卒採用のインタビュー動画では敬遠されがちな専門的な用語も多く出てきています。
以上から、アクセンチュア・ジャパンと言う会社の雰囲気を視聴者へしっかりと伝えつつ、アクセンチュア・ジャパンの選考を受けるかどうかまよっている優秀な学生へのアトラクトや企業・仕事理解というのがこの動画の狙いであると言えそうです。
背景は自社ロゴを用意した上で場所を社内で確保すればあとは機材はレンタルでも確保できますのでこのようなセミナー形式の動画は「採用動画」への最初の取り組みとしては参考にしていただけるのではないでしょうか。
オムロン株式会社
「無論、オムロン」でおなじみのオムロン株式会社の新卒採用サイトでは社員紹介にフォーカスした動画活用がなされています。
開発職と営業職でそれぞれ4本ずつ・計8本とこちらもかなり多めですね。
・活用方法
採用サイト上での社員・仕事紹介
・動画種別
社員インタビュー
・狙い
社員のインタビュー、という部分ではタカラトミーさんと被る部分がありますがオムロンさんは1本あたりの尺が3分程度と採用サイト上のインタビュー動画としてはかなりしっかりと時間をとっています。
それだけ、「社員紹介」「仕事紹介」について採用サイト上での情報提供に注力しているということでしょう。
さて、狙いとしては2つほど考えられるものがあります。
1つは、学生自身によるスクリーニング。動画をみてみると、演出で魅力的な仕事や人に見せようとしているものではなく、リアルな人や仕事を描こうとしている様子が伺えます。つまり、「まずはエントリー」ではなく、学生が「自分とマッチしそうな会社だな」と思ったらエントリーしてもらうというのが、オムロンさんの採用サイト・採用動画の位置づけだと考えられます。
2つ目は、社内的な事情で社員を説明会に動員することができないために代替手段としてWEB上で社員による仕事紹介を行っている、ということ。動画に出演してもらえば、あとは再生ボタンを押してさえ貰えればいつでもどこでも社員による仕事紹介が可能になります。
最後に
採用サイト上で積極的に動画を活用しているのは、まだまだ大企業が大半のようですが「新卒採用サイト」を用意することそのものがここ最近で「当たり前」のようになってきたことを考えると、
「採用サイト上に動画を用意すること」も、近い将来「当たり前」となっていくことは自明でしょう。
もし、採用プロモーションの予算に多少の余裕ないし、融通できる可能性があれば一度採用サイト上での動画活用を検討してみてはいかがでしょうか。
動画制作について相談したい…という方はこちらからどうぞ。
もう少し、採用動画制作について知りたい…という方はぜひこちらの記事をご参考ください。制作のポイントや失敗しないためのコツをまとめています。