今回は、別の記事で紹介している動画制作会社の選び方の1つに挙げた「制作会社の制作体制」を参考とする方法について少し掘り下げて説明します。
先の記事で紹介した通り、動画制作会社の制作体制は下記の2パターンにざっくりと分類することができます。
- 自社で制作リソース(カメラマンやディレクター)を抱えている
- 自社で抱えておらず、フリーランスクリエイターと提携している
そして、この2パターンにおける違いも先の記事で紹介した下の画像の通りざっくりとこんな感じです。
クオリティ | コミュニケーション | コスト | |
---|---|---|---|
①自社でクリエイターを雇用している | 一定のクオリティで安定しやすい | コミュニケーション頻度は多め | ②と比較すると高くなりがち |
②フリーランスクリエイターと 提携している | クリエイター毎にバラツキがある | ①と比べると頻度は少なめ | ①と比較すると柔軟性が高く安く制作することも可能 |
キッパリクッキリ上の画像のように切り分けられるわけではありません。良し悪しというよりは、「違い」「傾向」だと捉えて頂ければと思います。
では、上の画像の要素を1つずつ解説していきたいと思います。
クオリティについて
クオリティとは、
動画クリエイティブのクオリティ≒クリエイターの腕や予算に応じて整えられる環境・機材・人員
を指しています。
1だとクオリティが高く、2だと低いということでは決してありません。
ただ、1と2の違いの源泉である「制作リソースが外か中か」から考えると傾向として「クオリティの高低のバラツキ」につては表の様な違いが出ていくることは否定できません。
(良し悪しではなく「違い」であることは強調しておきたいと思います。)
例えば、1だとそもそも採用する時点でそのクリエイターの過去の実績を確認したり、実際に仕事をする中でどれくらいのクオリティを発揮しているのかについてはしっかりと把握できている可能性が高く、
公開されている実績≒その会社のクオリティ
だと考えることができます。
一方で②の会社だと、提携しているクリエイターが数百人単位の会社もあるため当然バラツキが生まれてしまい、
公開されている実績≒その会社クオリティ
とは言い難いものも出てくるでしょう。
(そのクオリティを実現できないクリエイターが、提携クリエイターの中にいる可能性がある)
ここまでの話で「クオリティは絶対担保したいから②は避けたい…」と考えたあなた!
実は②の会社で、このクオリティの問題をクリアするのはスゴく簡単です。
「担当する(予定)のクリエイターが実際にその会社で制作した実績」
をいくつか見せてもらいましょう。そこで安心が得られれば特に心配することはなくなるはずです。
コミュニケーションについて
ここで言うコミュニケーションは
- クリエイターと営業担当
- クリエイターとプロデューサー
など、実際に動画制作のディレクションを行いクリエイティブのクオリティの行方を握っている人物と、
動画制作会社の人間として予算やクオリティについて企業担当者と約束(契約)した人物の間でのコミュニケーションを指しています。
①のケースであれば、当然同じ会社の人間同士なので顔を突き合わせてコミュニケーションを取ることは難しいことではありません。
タイミングさえ合わせれば日常的な仕事の風景です。
2の場合も同じような「顔を突き合わせたコミュニケーション」そのものは難しくは無いもののその頻度や濃度については、比較すると1の方が担保しやすいでしょう。
(コミュニケーションの頻度が多ければいいというものでもないので、ここでもやはり「違い」として受け取って頂ければと思います。)
実際に制作に入ってしまえば、結局クライアントの担当者とクリエイターが直接コミュニケーション(電話・メール等)するケースもありますし、そうなれば制作体制1か2かの違いはほぼ無くなります。
敢えて、どのようなケースであれば1もしくは2のほうが良いか…というと
1のほうが望ましいと考えられるケース
・制作予算が大きい場合
制作に関わる人数が多い、予算が大きい場合にはそれだけ制作進行上のコミュニケーション量は多くなりますし、ちょっとした認識のズレが思わぬミスに繋がったりする可能性も大きくなるためどちらか、でいえば①の制作体制の方が安心感はあるでしょう。
2のほうが望ましいと考えられるケース
・より高いコストパーフォーマンスを期待する場合
上記のケースだと、②の方が望ましいでしょう。前者については、コミュニケーションが間接的なものになることは制作会社もクリエイターも把握しているため、この点に細心の注意を払い最小限のリソースで正確に状況を把握できるように心がけています。そのため、1であれば「コミュニケーション」そのものに費やしていたリソースをクリエイティブのクオリティに直結する部分へ振り分けることも可能となります。
ざっくり上記のようなケースはそれぞれ、長所が活きてくるでしょう。
コストについて
上記のような、コミュニケーションが一定制限されるが故にコストパーフォーマンスを
期待できる部分もありますが、2の体制におけるもっとも大きなポイントは、
制作案件毎に最適なクリエイターアサインが可能になり、結果高いコストパーフォーマンスを期待できる
という点に尽きると思います。
「最適なクリエイターアサイン」というのは、
a:求められているクリエイティブレベルを満たすことのできるクリエイター
b:スケジュール的に無理のない(あるいはかなり余裕のある)クリエイター
をアサインできる可能性が高いという意味です。
aについては、例えばクリエイティブのクオリティレベルが10段階だったとして今回あなたの会社が用意できた予算で実現できるクオリティレベルはMAXでもレベル5だとします。
1の体制であれば、自社で抱えているクリエイターのリソースを削って対応することになるため、誰が対応しても社内で決まっている単価で対応することになることが多いと考えられます。
そのため、社内単価的にどうしてもレベル5を実現することは難しくレベル4に留まる可能性が考えられます。
(もちろん、クライアントの期待に応えられるレベルには到達しているという前提です)
しかし、2の体制であれば1の体制だと社内単価的にどうしても「4」のクオリティレベルを発揮することしかできない場合でも「5」のクオリティレベルを発揮できて、スケジュールにも余裕のあるクリエイターをアサインできる可能性があります。
②の制作体制の場合、制作内容に応じて詳細に単価が決まっているわけではなくその案件の予算やクリエイターのレベルやスケジュールによって外注単価は千差万別となるケースが多いためです。
そのため、タイミングさえ合えばあなたの会社が用意した予算でもっとも高いコストパーフォーマンスを発揮する可能性が高いのは1よりも2の制作体制ということになります。
最後に
今回、記事の趣旨として強引に
- 自社で制作リソース(カメラマンやディレクター)を抱えている
- 自社で抱えておらず、フリーランスクリエイターと提携している
上記2パターンでそれぞれどう違うのかについて説明してみましたが、どの会社に依頼するにしてもすくなくとも「動画制作のプロ」としてクライアントの期待に応えることはできる、ということはもちろん大前提となります。
そのため、言ってしまえば「あまり気にしなくていい」というのが結論にはなってしまうのですが、
それでも発注者であるあなたが動画制作会社選びに困ったり、迷ったりしたときにより自信をもって選んで頂く際の参考になればと思い解説してみました。
あなたの動画制作が、より楽しく実りあるものになりますように。
もし「動画制作についてちょっと相談したいな…」という方がいらっしゃいましたらこちらよりご連絡ください。