アニメーション動画(モーショングラフィックス動画)…というのはとてもざっくり説明すると
「実写」じゃないもの全般、とイメージして頂ければと思います。
厳密には違うものもたくさんありますが、この記事を読んでいただくにあたってはこれくらいのイメージでOKです。
さて、モーショングラフィックスの動画の場合どのように制作費が決まるのか。
実写の動画の際と同じ様にざっくり説明していきたいと思います。
動画の制作費をとりあえず予想してみよう
今回はこちらの動画で考えてみましょう。
まずは、読者の皆様が思うように想像してみてください。
動画を要素分解してみる
実写の動画と同様のモーショングラフィックスの動画も制作費をイメージするために、
参考とする動画やイメージに近い動画があればその動画を要素分解して考えてみましょう。
要素分解してみるとはつまり…
- 動画に映っているもの
- 動画に入っている音声
の2つに注目しましょう。
①動画に映っているもの
- キャラクターのイラスト
- その他のオブジェクトイラスト
- 背景
②動画に入っている音声
・ナレーション
・BGM
割とシンプルなモーショングラフィックス動画を選んでみたのでこちらも要素としては少なめです。
要素の成り立ちを考える。
まずは「映っているもの」がどのように成立しているかを考えます。
<動画に映っているもの>
・キャラクターのイラスト
・その他のオブジェクトイラスト
・背景
全てイラスト、デザインなので
- クリエイターが制作している
- ライセンスフリーの素材を購入している
- 企業が持っている素材を活用している
のいずれかであると考えられます。
制作費はイラストやデザインの制作/調達にどれくらいの労力やコストがかかるかによって大きくかわるので、
上記の場合だと1が最もコストがかかり、3の場合は制作上のコストは0です。(購入費用は必要になりますが)
これだけでは、あまり参考にならないと思いますのでもう少しだけ説明してみます。
特に1の場合どのように金額が変わるのかというと、
- イラスト、デザインの数
- イラスト、デザインのクオリティ
- 動画の中での動き
これらのバランスで大きく変わってきます。
今回事例にあげたものをシンプルなモーショングラフィックス動画だとすると、
もう少し複雑で制作費が高くなるのは下のような動画です。
1シーンで同時にいくつものイラストが動いていたり、細やか・なめらかな動きの場合はイラスト素材の数も増えますし、
編集の工数も増えるので制作費は高くなる傾向にります。
<動画に入っている音声>
・ナレーション
モーショングラフィックスの動画の場合、ナレーションが入っているケースが多いです。
ナレーションを収録する場合は通常、
- プロのナレーターをキャスティングする
- スタジオで収録する
という工程が必要になります。
ナレーターのキャリアや実績によってキャスティング費は数万円〜という感じです。
スタジオ費も1時間あたりで費用が決まっていて広さや設備、立地によってバラバラです。
・BGM
こちらは聞いてもわかりませんが、おそらくライセンスフリーの音源だと思われます。
参考までにライセンスフリーの音源は数千円〜で購入可能です。
制作体制を想像してみる
これまでを踏まえて、事例動画がどのような制作体制で制作されたものなのかを想像してみましょう。
・ディレクター(監督) 1名
・イラストレーター/デザイナー 1〜2名
・エディター 1名
・ナレーター 1名
・ミキサー(収録スタジオで音を調整する人) 1名
・制作進行係 1名
という感じでしょうか。
ちなみに、今回のようなモーショングラフィックス動画の場合ディレクター、イラストレーター(デザイナー)、エディターを1人が兼任するケースも珍しくありません。(だからと言って安くなる…とも限りませんが)
具体的な制作費は、上記人員のスキルや稼働日数・制作条件によって変動するため、想定される人件費を算出しての計算は割愛します。
結論:制作費は千差万別
モーショングラフィックスも実写の動画と同様に同じクリエイティブを提示したとしても
制作体制や制作条件によって制作費は大きく変動します。
例えば、イラスト・デザインの制作会社へ依頼する場合に
「(なにかしらイメージとなるクリエイティブを提示して)こんな感じで」
というオーダーであれば、参考物を踏襲しすぎない程度に制作すれば
良いかもしれませんが、
「このサービス・この製品を表現するのに最適なクリエイティブで」
とオーダーされると「最適なクリエイティブ」を考案・提案するのに多大な工数がかかります。
ちなみに、今回この記事で紹介した考え方の大前提としては前者のパターンです。
実写の方の記事でもお伝えしましたが、求められる動画のクオリティと予算のバランス・発注する制作会社によって、
制作体制はもちろん制作の進行も変わってくるので個人的には「安く抑える」ことばかりを考えるのはおすすめできません。
もちろんできる限り「安く抑えたい」と考えることは自然ではありますが、その際には
- まずは「適正な予算の把握」に勤めること
- 「適正な予算」の捻出が難しい場合は制作費が下がることによってどのような影響・リスクがあるのかを確認すること
- その上でどのリスクや影響を受け入れるのかを決めてあとは発注した制作会社に任せること。
この3点を意識しましょう。
最後に
今回インタビュー動画を事例に制作費の考え方を説明してみましたが、必要以上に見積もりの根拠を確認することは避けたほうがよいでしょう。
動画制作は制作会社の担当者と、企業の担当者とのコミュニケーションが非常に多く発生することを制作会社側は誰よりも知っています。
見積もり段階で、企業の担当者が疑心暗鬼だったり面倒臭そうと思われてしまうと適正価格の見積もりは出てこなくなってしまうのであくまでも不明瞭な部分の確認や、追加費用の発生の可能性などについてのコンセンサスを取るなど常識的な範囲に留めておくことをおすすめします。
今回の記事は「できる限り安く制作して欲しい」という思いではなく、「一見シンプルに見える動画でも思ったより多くの人が携わっている」ということをお伝えしたいと思い「動画制作費の考え方」を筆者なりに解説したものです。
この記事を読んで頂き、「意外とお金がかかるもんだな…」とか「安いじゃん」とか色々な感想があると思いますがその感想に一定の「納得感」を得て頂けたのであれば幸いです。