「導入事例を動画で紹介したい」「お客様の声をリアルに届けたい」——そんな目的で制作されるのが、いわゆるインタビュー動画。
中でも、実際の顧客を起用した“導入事例インタビュー”は、信頼性や説得力の高さから、多くの企業がマーケティング施策に組み込んでいます。
しかし、インタビュー動画は“話してもらえば終わり”というものではありません。
目的やターゲットが曖昧なまま進めてしまえば、「何を伝えたいのかよくわからない動画」に仕上がってしまうことも珍しくありません。
また、「顧客が話す内容」がほぼ全てを決める顧客インタビュー動画は、インタビュー前にどれだけの準備ができるかで大きくクオリティが変わります。
本記事では、動画制作のプロの視点から、顧客インタビュー動画を成功させるためのポイントをわかりやすく解説。
実際の事例も交えながら、企画設計から撮影・演出まで、現場でよくある課題や注意点を掘り下げていきます。
これから動画を作る予定の方はもちろん、「過去に作ったけれど、いまひとつ効果が出なかった」という方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。
筆者のプロフィール
インタビュー動画についてよくあるQ&A
- インタビュー動画の制作費はいくらくらい?
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求めるクオリティや制作体制によって大きく変動しますが、概ね30万円〜200万円ほどの幅で制作されることが多いです。
- インタビュー動画の制作期間はどれくらい?
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インタビューの内容や対象者が決まっている状態であれば1ヶ月程度で制作可能です。
- インタビュー動画の活用方法にはどんな方法がある?
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「自社の紹介」「採用向け」「導入事例インタビュー」「ユーザーインタビュー」の大きく4つのパターンに別れます。
顧客インタビュー動画の制作のポイント

顧客インタビュー動画を制作する上で特に重要なのは下記の6つです。
- 目的を明確にする
- ターゲットを明確にする
- 予算を確保する
- 事前インタビューの実施
- 撮影現場の雰囲気づくり
- できれば…撮影前に懇親の場を設ける
1つずつ解説します。
1:目的を明確にする
インタビュー動画を制作する上で非常に重要なのがその目的を明確にし、可能な限り解像度を上げることです。
前述の通り一口で「インタビュー動画」と言ってもその種類や活用方法は様々で、目的が不明確なままではどのようなインタビューを撮影するのかを決定することはでkません。
例えば、採用向けのインタビュー動画を制作するとして、インタビュー動画制作の最終的な目的を「自社に入社してもらうこと」としましょう。
では「入社」してもらうために、動画はどのような役割を果たすべきでしょうか。
- 選考における辞退を減らすために、辞退要因となっている社風について語ってもらう
- 仕事内容の理解ができていないという学生が多いので、仕事内容について語ってもらう
- やり甲斐や厳しさなどは、採用担当から語ることは難しいため、その内容をインタビューで語ってもらう
など、採用活動における課題感やターゲットの状態などによって見せるべき内容は大きくことなります。
採用活動におけるボトルネックがどこにあるのかや、何が相手の意思決定の材料になるのかをしっかりと分析・把握し動画の役割を明確にしましょう。
2:ターゲットを明確にする
この動画は「誰が見るのか」「誰に観せたいのか」を明確にしましょう。前述の動画の役割にも紐づきますが、この動画を観る人が
- 新卒採用のターゲットであるMARCH在籍の学生
- 体育会に所属している学生
- ベンチャーのインターンなどに参加しているビジネス感度の高い学生
…など、動画を見る人が誰であるかで訴求するべきポイントや表現方法は大きく変わります。何が相手の意思決定の材料になるのかをしっかりと分析・把握するためにも、ターゲットは明確にする必要があります。

3:予算を確保する

目的・役割とターゲットが明確になれば、「この人に、この情報を、こんなふうに伝える」ということまで決めることができます。
しかし、予算が足りなければ「こんなふうに伝える」の部分が弱くなってしまったり、十分に表現できない可能性があります。
例えば、
- インタビュー対象者を象徴的にみせるために、照明を活用し表情の明暗をはっきりさせる
- 事業内容的に「お客様」の目線も気にしなければならないので、メイク・ヘアメイクも必要
- 働いている場所のイメージを訴求するために、複数箇所での撮影が必要
など、適切な演出を加えたくてもそれらの機材・人を用意できなければそれは叶いません。
インタビュー動画は少ない予算で制作することも可能ですが、当然ながら一定の
4:事前インタビューの実施
インタビュー動画において絶対に避けなければならないのが、「言わされ感」です。あからさまに台本を読んでいる感じや、準備した言葉を発している様子などは、絶対に視聴者に伝わります。これは絶対です。
そのため、基本的にはインタビュイー(インタビューを受ける人)に台本を渡すというのは避けたほうが良いです。台本を渡してしまうと、当然その台本の内容を思い出しながら話してしまうため、固くなり「言わされ感」が出てしまいます。
この「言わされ感」を避けるために重要なのが事前インタビューです。
事前インタビューはできれば、対面で実施することをおすすめしますがオンラインでの実施でもOKです。
また、どうしても時間を確保することが難しい場合にはヒアリングシートのようなものを用意して記入頂く形なども検討しましょう。
事前インタビューを実施することのメリットは、
・顧客が実際にどのように考えているのか、当日なにを話して貰えそうかを事前に把握することができる。
・顧客自身も撮影当日にどのような内容を話せば良いのか、話せるのかを整理することができる。
という大きく2点です。
インタビュー撮影は、「話すことは得意だからなんとかなるだろう」と考えていても、いざカメラを前に制作スタッフや関係者からの視線を浴びながらとなると、どうしても固くなったり話したいことが話せなかったりしてしまいます。
また、何度も撮り直しとなると、インタビュー撮影に協力いただいているお客様の負担にもなってしまうため、「納得行くまで撮影する」というのが難しいケースも多いです。
そのため、できるだけ事前にお客様自身にも話す内容を整理してもらう機会として、事前インタビューの実施を強くおすすめしています。
5:撮影現場の雰囲気づくり
前述の通り、顧客インタビューの撮影時に、顧客に緊張せずに自分の言葉で話してもらうというのは想像以上に難しいことです。
そのため、少しでも話しやすい雰囲気を作るというのは非常に重要です。
顧客インタビューの撮影の場合、制作会社にとっては「お客様のお客様」を撮影することになるため、どうしても緊張感の高い現場になります。また、動画制作を発注している側にとっても「お客様に協力してもらっている」という立場になるため、どうしても遠慮がちになってしまいます。
しかし、そのような固い雰囲気では良いインタビューの撮影はできません。
では、どのような工夫が可能でしょうか。
工夫というよりは心がけといったほうが正確かもしれませんが、制作スタッフやもちろん、発注側企業の皆様にもご協力いただいた上でできるだけ和やかに、話しやすい雰囲気を作っていくというのが重要になります。
6:できれば…撮影前に懇親の場を設ける
前述の雰囲気づくりにも通じますが、インタビューに答えていただく顧客と、動画制作を発注する企業の担当者同士が一定程度「仲良く」なっておくというのはとても効果的です。
そのための方法として、例えば撮影前に懇親会を実施するというのは1つの方法です。
もちろん、撮影後に「打ち上げ」という形の方がビジネス的には好ましいので、それでも良いと思いますが、あくまでも撮影を第一に考えた場合には事前のほうがベターです。
もし、撮影前の懇親会の実施が難しい場合には、顧客の担当営業などその顧客ともっとも繋がりの深い方に同席していただくというのも有効です。
動画制作の外注に失敗しないための4つのコツ
動画制作を外注した経験のある人の中には、なんらかの理由で「失敗した」「上手くいかなかった」と感じている方がいます。筆者も制作会社の営業として担当したお客様からそのような「以前お願いした会社で上手くいかず…」という相談を受けたことが何度かあります。
詳細は下記の記事にまとめていますが、ここでは失敗しないために重要な4つのポイントをご紹介します。

適切な制作会社を選ぶ
「それができれば苦労しない」と言われてしまいそうですが、やはりこの点は重要です。
ここで端的にお伝えしたいのは、「信頼できる営業担当者を選ぶ」という視点をもってみることです。
筆者が動画制作に携わり始めた10年ほど前とくらべると動画制作会社は格段に増えました。そしてどの会社も甲乙つけがたいほど豊富な制作実績を持っています。(弊社はまだ会社としての実績は少ないですが…)
その中で何をポイントに選ぶか?の1つのポイントが上記の「信頼できる営業担当者を選ぶ」という視点です。
詳しくは下記の記事にまとめていますが、端的にお伝えすると、

- 優秀な営業担当は、優秀なプロデューサー、優秀なクリエイターをアサインできる
- 優秀な営業担当は、無用なトラブルを避けてくれる
- 優秀な営業担当は、コミュニケーションがスムーズ
という3点です。「絶対この会社がいい!」と思える会社が見つからず悩むことがあればぜひ参考にしてみてください。
そしてもし悩むようであれば、ぜひ筆者にもご相談ください。
スケジュールに余裕を持つ

基本的なことではありますが、何らかの理由で急いで制作を進めなければならないケースもあります。そのような場合、
- 人的なリソースを確保するために通常スケジュールでの進行よりもお金がかかる
- 急ぐ分、準備・確認に通常より時間を割くことができず何らかのトラブルが起きる可能性が高くなる
…というリスクがあります。
会社によっては、短納期でも費用を抑えて制作してくれる会社もあるかもしれませんがそれでもスケジュールを短縮するということは、どこかでなにかを犠牲にせざるを得ません。
もちろん、通常スケジュールよりもトラブルが起きる可能性が高まるというだけで、「必ずトラブルになる」「失敗する」わけではありません。制作に慣れているプロが進行する以上、トラブルの種は極力排除し最大限問題なく進行できるよう尽力することは間違いありません。
ただ、それでも想定外のトラブルに見舞われることもあるのが動画をはじめ、クリエイティブ制作の現場です。
だからこそ、できる限りスケジュールには余裕を持つことを強くおすすめします。
制作内容によって変動しますが、インタビュー動画であれば、最低1.5ヶ月。できれば2ヶ月ほど制作スケジュールが確保できると良いでしょう。
上記はあくまでも「制作期間」なので、制作会社を選んだり正式に発注するまでのリードタイムがどれくらい必要になるかについては、自社の稟議や予算申請のフローについて事前に把握しておく必要があります。
完成イメージをできるだけ具体的にする
いざ、動画制作をスタートする際には制作会社側からどのような動画が完成する予定であるかは絵コンテやシナリオなどの資料を用いて説明があるはずです。
動画制作に慣れていれば、そのような資料で具体的なイメージを持つことができますが、初めての場合にはそれでもイメージが難しいこともあるでしょう。
そのような場合には、遠慮なく制作会社側に質問してイメージの具体化に努めましょう。
制作過程で完成イメージの認識の相違などのズレが生じてしまうと、軌道修正には時間とコストがかかってしまいます。
社内調整を怠らない
発注側の企業の担当者の方の役割の1つが、自社内のステークホルダーとの共通認識の形成です。
- こんな目的でこんな動画を制作します。
- これが完成イメージです。
- いつころ完成良い体です。
- このタイミングでシナリオや動画を確認して、いつまでにフィードバックしなければなりません
…などなど、動画制作の背景や前提、クリエイティブイメージ、スケジュールなどについて関係者としっかりと「握る」ことができていないと、後になって「どんでん返し」が起きることは珍しいことではありません。
特に、動画制作について最終的なOKを出せる決裁権者とのすり合わせは重要です。
顧客インタビュー動画の事例
【お客様事例-製造業業界】Kubota -Customer Success Story-
LINE WORKS導入事例インタビュー
【mixsol導入事例】神戸市公園緑化協会様 – 公益財団法人の予算管理を革新
【導入事例】AEON VIETNAM co.,LTD様|ハンクラ
最後に
いかがでしたでしょうか。「インタビュー動画」は非常にシンプルが故に、とても奥が深い動画です。語る人の表情や言葉に説得力をもたせるために、照明やレンズを変え、色味を調整することでその印象は大きく変わります。
クリエイティブとしての演出はプロに任せられるので、インタビュー動画の制作を検討する際には事前の情報整理をしっかりと行い、目的やターゲットを明確にした上で代理店や制作会社に問い合わせるようにしまよう。
情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
是非、下のボタンからお気軽にお問い合わせください。