動画制作を外注する際、「どの制作会社に依頼すればいいのか」「適正な予算はどれくらいなのか」「完成までどのように進めればいいのか」「そもそもわからないことがわからない…」など、不安や疑問がつきものです。
この記事では、これまで数多くの動画制作に携わってきた筆者が、その経験をもとに、外注時に押さえておくべきポイントを徹底解説します。制作会社の選び方から進行管理のコツまで、初めての外注でも失敗を防ぎ、納得のいく成果を得るための実践的な内容をまとめました。
動画制作を成功に導く完全ガイドとして、ぜひご活用ください!
筆者のプロフィール
まず、この記事を読んでいただくにあたって「誰が何を書いているのか?」も非常に重要な要素になると思いますので、簡単に私のプロフィールをまとめています。
【株式会社case 代表取締役/動画制作プロデューサー:加藤智史】
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社にアカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。現在は本メディアの運営を通じた企業動画の受託制作や、動画制作会社の営業支援などを行う。
動画制作会社(予算数十万円〜数百万円)での営業兼プロデューサーとしての役割を中心に、広告代理店(予算数百万円〜数千万円)でのアカウント(クライアントと社内クリエイティブチームの窓口、PM業務を担当する役割)なども経験しているため、比較的高い説得力で本記事をお届けできるのではないかと考えています。
動画制作を外注することのメリットとデメリット
動画制作をする際に、一昔前であれば基本的には「プロに依頼する」といういわゆる外注が唯一の選択肢でした。
しかし現在では、スマホでもきれいな動画が撮影できて、編集するソフトやノウハウも安く手に入いれることができます。また、生成AIを活用することである程度の動画であればすぐに生成できてしまうこともあり、外注だけが選択肢ではなくなりました。
ここでは、プロに外注することのメリットやリスクを改めて提示します。
制作会社に外注するメリット
動画制作を制作会社に外注することのメリットをあえて挙げるとすると、下記の3つが主なものではないでしょうか。
予算に応じたクオリティの実現
当然といえば当然かもしれませんが、お金をかければかけただけクオリティを上げることができるというのは、外注するからこその特徴だと言えます。
自作する場合には当然自分自身のスキル・ノウハウがクオリティの限界になりますが、外注する場合には予算に応じたクオリティを実現することが可能になります。
短納期など、特殊な要件への対応力
数多くの動画制作をプロとして請け負ってきたからこそ、様々な状況・要件における対処法を熟知しているというのもプロに外注する際のメリットです。
当然、制作会社でもできないことはありますが、逆に「できる」といったことは絶対にやらなければならないというのもプロに外注する1つの理由になり得ます。
実績などの安心感
これまで数多くの動画を制作してきているという実績は、外注先を決定する理由になるほど大きな要因です。特に制作を検討している動画に類似した実績を持つ会社であれば、大きな安心につながります。
外注するデメリット
外注がベスト!だと言えない理由として考えられるのは下記の2つでしょう。
純粋な金銭的なコストは大きくなる
手持ちのスマホで撮影し、編集も無料で使えるものを活用すればお金はかかりません。しかし、制作会社に外注するとなれば当然お金が必要になります。
ただ、今はクラウドソーシングを利用してフリーランスクリエイターに依頼する、あるいは、X(旧Twitter)などのSNSでフリーランスクリエイターに直接声をかけるなど、制作会社に依頼するよりも割安で制作する方法もあるので、一定のクオリティを実現したいのであれば、やはり外注するのがベターでしょう。
制作進行時のコミュニケーションロスによる失敗
動画制作を外注する際に避けて通れないのが制作進行じのコミュニケーションです。
- なぜ動画を制作するのか
- どんな動画いいのか
- いつまでに必要なのか
- 予算はいくらなのか
- 撮影はいつなのか
- どこで撮影するのか
など、事前に決めておくべきこと、制作過程で確認すべきことに溢れています。そしてその一つ一つを確実に丁寧に進めなければ満足のいく動画を完成しません。
しかし、ここが上手くいかずに失敗するというのはままあることです。
動画制作の外注の流れ
動画制作を実際に外注したことのない方にとっては、「動画制作がどのように進行していくのか」「いつまでに、どんな情報を揃えなければいけないのか」「いつまで修正が可能なのか」など、わからず不安な部分も多いでしょう。
大まかにで問題ないので、事前にイメージしておきましょう。
詳しくは、こちらの記事で紹介していますが、
時間の無い方は直ぐ下の画像と、一番下の画像だけでも見ていってください。
外注先の選び方
3つの選択肢
- 広告代理店へ発注する
- 動画制作会社へ発注する
- 個人クリエイターへ発注する
では、上記の中から「適切な制作会社を選ぶ」ために必要なのはどのようなことでしょうか。
筆者が「適切な制作会社を選ぶ」ために必要だと考えるのは下記の3つです。
- 担当者が自身のリソース・リテラシーを把握すること
- 動画制作に必要な予算と自社の予算を把握すること
- 上記を把握した上で、基準を定めて選択すること
ここで挙げた3つは、あくまでも私が個人的見解ですが1から順に検討していくと、スムーズに選択肢を絞ることがでるので、ぜひご一読ください。
リテラシー・リソースを把握する
ここでいうリソース・リテラシーとは言葉そのままの意味ですが大まかに
下記のようなイメージです。
- リテラシー
これまで動画やWEBサイトなどどれくらい「クリエイティブ」制作の経験や知見があるか。
- リソース
自身の業務の中でどれくらいの時間を「動画制作」に充てられるか。
リテラシーを把握する
上記の通り、これまで自身の経験・知見としてクリエイティブ制作やシステム構築やイベントの開催など
「外注先と様々な事項について調整・折衝しながら進行した経験」
がどれくらいあるのか、をイメージしてみてください。
必ずしも動画制作やクリエイティブの制作ではなくても上記のような経験があれば外注先や社内調整などにどのような段取りが求められるかを具体的にイメージすることができるはずです。
もし、あまり経験がない場合には個人クリエイターへ発注するという選択肢は消えると考えたほうが良いでしょう。
個人クリエイターへの発注は3つの選択肢の中でもっとも費用を抑えやすい方法ですが、一方で高いリテラシーと
大きなリソースが求められる傾向が強いというのがその理由です
リソースを把握する
先程も記載していますが、例えば個人クリエイターへの発注は高いリテラシーと共に、大きなリソースを求められます。
どのような動画を制作するのかによって変わってきますが、例えば実写動画で出演者やロケーションの手配が必要となる場合、通常その役割を担うのはクリエイター(ディレクター)ではなく、制作会社の担当者の役割です。
しかし、個人クリエイターに発注するとなれば、その役割を発注者が担うことになる可能性はゼロではありません。
仮に発注者であるあなたがロケーションや出演者を手配することになった場合どのような手段を取るでしょうか?
- スタジオを探す
- キャスティング会社へ問い合わせる
ざっくりと業務を仕分ければたった2つですが、例えばスタジオを探す場合にそのスタジオが
- ディレクターが作成したシナリオや絵コンテにマッチしているのか否か
- 想定している撮影時間内で撮影を終えることができる条件が揃っているのか
など確認すべき事項は沢山あります。
また、通常の場合ロケーションは複数の候補地をピックアップした上で「ロケハン」と呼ばれる下見を行った上で決定するのですが、その日程調整や実際に下見に行くのも発注者の役割になります。
以上のように、リテラシーとしても高いものが求められますがそれだけではなく、求められる役割を滞りなくこなための大きなリソースも必要となるのです。
そのため、リテラシー・リソースのいずれか一方でも担保することが難しい場合は個人クリエイターへの発注については慎重に検討すべきでしょう。
動画制作/自社の予算を把握する
自社の予算の把握は、比較的容易でしょう。
むしろ動画制作を具体的に検討し始めたときにはきっと予算は決まっているはずです。
では、動画制作に必要な予算はどのように把握すると良いでしょうか。動画制作会社へ問い合わせて、営業担当者に相談するのも1つの選択肢となるでしょう。
こちらの記事で、見積りをもらう際のコツをまとめていますのでぜひご参考ください。
制作会社の選択基準
単純に制作費用だけで比較すると、
代理店 > 制作会社 > 個人クリエイター
ということになりますが、発注難易度としては
個人クリエイター > 制作会社 > 代理店
となります。
それぞれどういうケースで選択肢となりうるかを説明していきたいと思います。
代理店が選択肢になるケース
主に下記のケースだと個人的には代理店への相談をおすすめしたいと思います。
<担当者要因>
- 担当者が多忙でリソースを割くことができない
- リソースを割くことはできるが、求められる役割が多岐にわたり進行難易度が高い
<環境要因>
- ある程度潤沢な予算がある
- 付き合いがあり、自社をよく理解している代理店がある
- 動画の制作だけではなく、WEB広告やトレインチャンネルなど
- 制作した動画を広告素材として出稿する予定がある
特に、制作した動画を広告素材として活用する場合にはその広告領域に長けている広告代理店へ相談することを強くオススメします。
相談すれば動画制作会社が広告出稿を代行してくれると思いますが、やはり案件としては動画制作を単発で請け負うケースが多く「餅は餅屋」の方がスムーズな案件進行を期待できるでしょう。
特にYoutubeやfacebookその他のネット上での動画広告出稿を検討しているケースや複数媒体での出稿を検討しているケースでは出稿だけではなく、「運用」の必要性も出てきます。
このような場合には広告代理店が強みを発揮してくれるはずです。
制作会社が選択肢になるケース
主に下記のケースだと制作会社への相談をおすすめしたいと思います。
<担当者要因>
- ある程度のリソースを確保することができる
<環境要因>
- 潤沢とは言えないまでも、一定程度(20~300万)予算がある
- 制作した動画は自社の営業活動やセミナーなどでの活用を想定している
- 自社に広告運用や出稿の担当者がいる
ざっくりまとめると、目的にかなった「動画制作を依頼したい場合」ということになります。
それ以外に、制作した動画の活用方法や制作物が増える場合には代理店への相談を検討してみると良いでしょう。
個人クリエイターが選択肢になるケース
主に下記のケースだと個人クリエイターへの相談をおすすめしたいと思います。
<担当者要因>
- しっかりと業務リソースを確保することができる
- 高い制作リテラシーを持っている
<環境要因>
- 予算が限られている
- 制作した動画は自社の営業活動やセミナーなどでの活用を想定している
- 自社に広告運用や出稿の担当者がいる
制作会社と個人クリエイターへの発注の分かれ道は、
- 確保されている予算と求めるクオリティのバランスが高いレベルで求められる
(高いコストパフォマンスが求められる) - 業務リソース、高い制作リテラシーを担保できる
の2点です。
このどちらかが欠けても、個人クリエイターへの発注は難しいと考えるべきでしょう。
ベストなパートナーを「選ぶ」ことが成功への最初の1歩
ほとんどのケースで、動画制作は制作会社に相談すれば問題ないのですが、「それがベストか?」と問われると発注側の希望、予算などによってそうではないケースもあるというのが難しいところです。
ただ、動画制作を成功させるためには、多少めんどくさくてもそこから目を逸らさずに向き合い、制作パートナーを選ぶ必要があります。それが、動画制作を成功させるための最初の一歩なのです。
動画制作の外注を失敗しないための、4つのポイント
ここでは失敗しないために重要な4つのポイントをご紹介します。
適切な制作会社を選ぶ
「それができれば苦労しない」と言われてしまいそうですが、前述の通り、やはりこの点は重要です。
ここでお伝えしたいのは、「信頼できる営業担当者を選ぶ」という視点をもってみることです。
筆者が動画制作に携わり始めた10年ほど前とくらべると動画制作会社は格段に増えました。そしてどの会社も甲乙つけがたいほど豊富な制作実績を持っています。(弊社はまだ会社としての実績は少ないですが…)
その中で何をポイントに選ぶか?の1つのポイントが上記の「信頼できる営業担当者を選ぶ」という視点です。
詳しくは下記の記事にまとめていますが、端的にお伝えすると、
- 優秀な営業担当は、優秀なプロデューサー、優秀なクリエイターをアサインできる
- 優秀な営業担当は、無用なトラブルを避けてくれる
- 優秀な営業担当は、コミュニケーションがスムーズ
という3点です。「絶対この会社がいい!」と思える会社が見つからず悩むことがあればぜひ参考にしてみてください。
そしてもし悩むようであれば、ぜひ筆者にもご相談ください。
スケジュールに余裕を持つ
基本的なことではありますが、何らかの理由で急いで制作を進めなければならないケースもあります。そのような場合、
- 人的なリソースを確保するために通常スケジュールでの進行よりもお金がかかる
- 急ぐ分、準備・確認に通常より時間を割くことができず何らかのトラブルが起きる可能性が高くなる
…というリスクがあります。
会社によっては、短納期でも費用を抑えて制作してくれる会社もあるかもしれませんがそれでもスケジュールを短縮するということは、どこかでなにかを犠牲にせざるを得ません。
もちろん、通常スケジュールよりもトラブルが起きる可能性が高まるというだけで、「必ずトラブルになる」「失敗する」わけではありません。制作に慣れているプロが進行する以上、トラブルの種は極力排除し最大限問題なく進行できるよう尽力することは間違いありません。
ただ、それでも想定外のトラブルに見舞われることもあるのが動画をはじめ、クリエイティブ制作の現場です。
だからこそ、できる限りスケジュールには余裕を持つことを強くおすすめします。
完成イメージをできるだけ具体的にする
いざ、動画制作をスタートする際には制作会社側からどのような動画が完成する予定であるかは絵コンテやシナリオなどの資料を用いて説明があるはずです。
動画制作に慣れていれば、そのような資料で具体的なイメージを持つことができますが、初めての場合にはそれでもイメージが難しいこともあるでしょう。
そのような場合には、遠慮なく制作会社側に質問してイメージの具体化に努めましょう。
制作過程で完成イメージの認識の相違などのズレが生じてしまうと、軌道修正には時間とコストがかかってしまいます。
社内調整を怠らない
発注側の企業の担当者の方の役割の1つが、自社内のステークホルダーとの共通認識の形成です。
- こんな目的でこんな動画を制作します。
- これが完成イメージです。
- いつころ完成良い体です。
- このタイミングでシナリオや動画を確認して、いつまでにフィードバックしなければなりません
…などなど、動画制作の背景や前提、クリエイティブイメージ、スケジュールなどについて関係者としっかりと「握る」ことができていないと、後になって「どんでん返し」が起きることは珍しいことではありません。
特に、動画制作について最終的なOKを出せる決裁権者とのすり合わせは重要です。
動画制作時の発注者(顧客側)の役割
無事に動画制作がスタートすれば、あとは全て制作会社に任せられる…というわけではありません。
むしろ制作スタート後が本番で発注者・顧客側にも制作会社には決して担うことができない重要な役割があります。
それは大きく下記の3つです。
- 「決める」こと
- スケジュールを意識したレスポンス
- 具体的なフィードバック
詳細はこちらの記事にまとめていますが、簡単に説明します。
①「決める」こと
制作方針や企画、絵コンテなど動画制作についての情報の多くは制作会社から提案・提示されますが最終的にそれに「GO」を出すのは発注者・顧客側の役割です。
もちろん、そのために必要であれば自社の関係者との社内調整や根回しなども含まれます。
②スケジュールを意識したレスポンス
制作会社側がスケジュールを遵守するのはもちろんですが、以外と発注者・顧客側が双方で了解したスケジュールを守らない・守れないケースが多くあります。
もちろんそれは、顧客側にとって納期が多少遅れても大した問題ではないから…という理由からくるものだと理解していますが、制作会社側はそのスケジュールをベースにクリエイターのスケジュール・リソースを確保しています。
そのため、発注者側が「1週間くらい延びてもいいや…」という感覚でレスポンスを遅らせると、制作会社としては他の案件を優先せざるを得ず結果的に2〜3週間納期がズレてしまうということは少なくありません。
③具体的なフィードバック
制作会社からのアウトプットには、できる限り具体的にフィードバックするように意識するとよりスムーズに進行できます。
例えば、制作会社から提出されたデザインが少しピンと来ない場合に、
「なんかピンと来ないのでやり直して下さい」
…というフィードバックだと、制作会社としてはどこから手をつけて良いのかの判断ができません。そのため、
「ここの色味をもう少し濃ゆく(薄く)したのを見てみたい」
「ターゲットの心情を考えると〇〇なので、もう少しシャープな印象にしたいと思うのですがどうでしょう?」
など、
- どのように修正したいのか。
- その修正を行いたい理由や背景
をセットにして伝えるなど、より具体的なフィードバックを行うとコミュニケーションがスムーズになります。
動画制作の外注が初めての方におすすめの記事3選
ここでは、動画制作の外注が初めての方にぜひご参考頂きたい記事を3つピックアップしています。
この記事の中でご紹介している他の記事と併せて読んでいただければきっと動画制作のご参考にしていただけるはずです。
制作会社に問い合わせる前の情報整理がその後にも大きく影響します。簡単でも良いので事前に情報を整理しておきましょう
上手に見積りをもらうことができれば、制作会社選びが楽になります。少し手間ですが、どんな動画を制作したいかイメージを具体化してから見積を依頼しましょう。
どの制作会社も「動画制作のプロ」であるならば、実は重要なのは目の前の担当者の力量やその人との相性だと言えます。「会社」ではなく「担当者」単位でも見極めましょう。
動画制作はcaseへご相談ください。
とても長くなりましたが、ここまでお読み頂きありがとうございます。
どのような点に気をつけるべきか、をまとめたので「大丈夫かな…」と不安になられた方もいらっしゃるかもしれません。ただ、基本的に動画制作会社は当然動画制作のプロです。あまり疑心暗鬼にならず、頼りにしているというスタンスで問題ありません。
その中で違和感やストレスを感じた際の参考程度にお考えいただければと思います。
もし、この記事を読んで「いいな」と思えたらぜひ弊社caseへ動画制作についてご相談ください。
情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
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