新卒採用向け座談会動画の制作相場・見積の完全ガイド

「座談会動画の適正な相場がわからない」「提示された見積もりの妥当性が判断できない」「社内稟議を通すための客観的な根拠が欲しい」——

新卒採用において、どんな人が働いていてどんな社風なのかを知るうえで座談会動画はとても有効な施策です。特にオンラインでの採用活動が主流になり会社についての情報を得られる手段が限られてきている中で、学生にとっては基調な情報源の1つとなっています。

本記事では、採用担当者が座談会動画の発注で失敗しないための、費用相場、見積もりの見方、進行管理のポイントを網羅的に解説します。

目次

結論ショートQA:座談会動画の相場と見積もり

座談会動画の制作、最低限の相場は?

60〜90万円がミニマムに制作した場合の目安です。この価格帯には、カメラ2台での撮影、ピンマイク3〜4本、簡易的な照明、編集、主要な発言のテロップ挿入が含まれます。

見積もりで絶対に確認すべきポイントは?

「含まれるもの」と「含まれないもの」の範囲を明確に確認することが重要です。特に、修正回数と範囲追加費用が発生する条件(例:撮影延長、縦型動画の追加制作)、BGMやフォントのライセンス範囲納品データの二次利用に関する記載は、契約前に必ず確認してください。

標準的な制作期間はどれくらい?

企画の確定から納品まで、4〜6週間が標準的な期間です。内訳は、企画・構成に1週間、撮影準備に1週間、撮影に1日、編集・修正に2〜3週間、最終納品に1週間程度が目安となります。短納期を希望する場合は、追加費用が発生する可能性があります。

座談会動画で得られる効果とは?

座談会動画は、テキストや静止画では伝わらない企業の雰囲気や社員の人間関係をリアルに伝えることで、候補者の企業・社風の理解を促すことができます。その結果、選考辞退率の減少、内定承諾率の改善、入社後のミスマッチ防止につながります。特に、複数の職種や部門の社員が登場する座談会は、キャリアパスの多様性を示す効果的な手段となります。

内製と外注、どちらを選ぶべき?

座談会動画は複数台のカメラ、複数のピンマイクが必要になり、動画制作のプロではない方が制作するにはかなりハードルが高いものです。制作費を抑えたい場合には、撮影場所を自社オフィスにする・ファシリテーターを採用ご担当者様が務めるなどの方法を検討することをおすすめします。

座談会動画の制作費用・相場の全体像

座談会動画の制作費用は、撮影の規模、編集の複雑さ、追加オプションの有無によって大きく変動します。

まずは、価格帯ごとの一般的な制作範囲と品質の目安を把握していただき、予算を決定する際には、単純に費用の最小化するのではなく、費用ごとの動画のクオリティや発注側の工数なども考慮しましょう。

【価格帯別】制作範囲とクオリティの目安

価格帯(税別)制作範囲・クオリティ主な特徴目安納期
ライトプラン
60〜90万円
・カメラ2台
・ピンマイク3〜4本
・簡易照明
・編集〜15分
・要点テロップ
まずは始めてみたい企業向け。基本的な構成で、社員のリアルな声を届けることが可能。会議室での撮影でもコストを抑えながら一定の品質を確保できます。4〜5週間
スタンダードプラン
100〜150万円
・カメラ3台
・ピンマイク4〜6本
・照明/レフ強化
・全編テロップ/要約字幕
・60/90秒ダイジェスト同時制作
より多角的な視点と丁寧な編集で、メッセージの伝達力を強化。SNS用のダイジェストも制作し、活用の幅を広げる。採用サイト、YouTube、SNSなど複数媒体での展開を想定した仕様です。5〜6週間
プラスプラン
160〜240万円
・カメラ4台+スイッチャー
・外部MC/ファシリテーター
・スタジオ撮影/空間演出
・ブランド準拠デザイン
・縦型動画など追加出力
採用ブランディングを強く意識した高品質な動画を制作。外部の専門家や設備を活用し、最大限の効果を狙う。企業のブランドイメージを統一し、採用競争力を高めたい企業向けです。6〜8週間

※上記はあくまで目安です。撮影場所の費用、出演者の人数、アニメーションの有無など、個別の要件によって金額は変動します。

費用を左右する7つの主要因

見積もり金額の変動要因を理解することで、予算に応じた適切な仕様を判断できます。以下の7つの要因は、制作会社との打ち合わせで必ず確認すべき項目です。

1. カメラ台数

2台から3台に増やすことで、より豊かな表情や場の空気を捉えられますが、カメラマンの人件費と機材費が追加されます(目安:+5〜8万円/日)。3台の場合、複数の視点から同時に撮影できるため、編集の自由度が大きく向上し、視聴者の関心を引きつけやすくなります。

2. 外部MC/ファシリテーター

プロの司会者を起用することで、議論の質と進行の安定性が向上します(目安:+8〜15万円)。特に、複数の部門から出演者が参加する場合、プロのファシリテーターが議論をコントロールすることで、視聴者にとって理解しやすい内容に仕上がります。

3. 撮影場所

社内会議室での撮影はコストを抑えられますが、スタジオを利用すると、より高品質な照明や背景演出が可能になります(目安:+10〜20万円/半日)。スタジオは、照明の調整が容易で、背景をブランドイメージに合わせてカスタマイズできるため、採用ブランディングの効果が高まります。

4. テロップ/字幕

発言の要点のみをテロップで補足するのに比べ、全編にテロップや字幕を入れると、編集工数が増加します(目安:全編テロップ+10〜15万円、全編字幕+3〜5万円)。全編字幕は、音声が聞き取りにくい環境での視聴や、アクセシビリティへの対応にも有効です。

5. ダイジェスト動画の制作

本編とは別に、SNSや広告で活用できる60秒や90秒のダイジェスト動画を制作する場合、追加の編集費用が必要です(目安:+8〜15万円/本)。ダイジェストは、本編の最も魅力的なシーンを抽出して編集するため、別途の編集工数が発生します。

6. 多形式での出力

標準の横型(16:9)に加え、スマートフォン視聴に最適化された縦型(9:16)や正方形(1:1)の動画を追加で書き出す場合、費用が発生します(目安:+5〜10万円/本)。縦型動画は、Instagram ReelsやTikTokなどスマホでの視聴に最適です。

7. 納期

標準納期より短い期間での納品を希望する場合、特急対応として追加料金(標準費用の20〜40%増)がかかることが一般的です。説明会の開催日程が近い場合など、短納期対応が必要な場合は、事前に制作会社に相談し、実現可能性と追加費用を確認しましょう。

見積もりの内訳とチェックポイント

提示された見積もりが適正かどうかを判断するためには、費目ごとの内訳を理解し、契約前に確認すべき点を押さえておく必要があります。見積もりは、単なる金額の提示ではなく、制作会社がどのような工程でどのような品質を実現しようとしているのかを示すドキュメントです。詳細な内訳を確認することで、見積もりの妥当性を判断し、社内での説得材料とすることができます。

費目別の詳細内訳を理解する

大項目主な内訳費用のポイント
企画・進行管理費・企画構成、台本作成
・スケジュール管理
・クライアントとのコミュニケーション
プロジェクト全体の品質と進行を担保するための費用。ディレクターの人件費が主。経験豊富なディレクターほど、企画の質が高く、進行がスムーズになります。
撮影費・撮影クルー人件費(ディレクター、カメラマン、音声)
・機材費(カメラ、マイク、照明)
・スタジオ/ロケ地代
撮影日数、スタッフの人数、使用機材のグレードによって変動。高度な機材を使用するほど、映像品質が向上します。
編集費・編集作業費(カット、テロップ、BGM)
・カラーコレクション、整音(MA)
・アニメーション制作費
編集時間、テロップの量、モーショングラフィックスの有無などが影響。高度な編集技術を使用するほど、視聴者の関心を引きつけやすい動画に仕上がります。
その他費用・BGM、効果音、フォントのライセンス費
・ナレーター費
・交通費、宿泊費
外部の素材やサービスを利用する場合に発生。二次利用の範囲も要確認。ライセンス範囲によっては、後々の利用に制限が生じる場合があります。

制作スケジュールと進行管理のポイント

座談会動画の制作は、関係者が多岐にわたるため、計画的な進行管理が不可欠です。標準的なスケジュールと、円滑な進行を実現するためのSLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)について解説します。

標準的な制作スケジュール(WBS)

フェーズ主なタスク期間目安
1. 企画・準備・目的、ターゲット、KPI設定
・企画構成、台本作成
・出演者、撮影場所の確定
1〜2週間
2. 撮影準備・出演者への事前説明
・撮影場所の下見
・機材の確認、テスト
1週間
3. 撮影・撮影当日の進行
・複数カメラでの同時録画
1日
4. 編集・レビュー・初稿編集
・クライアントレビュー、修正指示
・修正対応
2〜3週間
5. 納品・最終確認
・各種フォーマットでのデータ納品
・納品後のサポート
1週間

進行をスムーズにするためのSLA設定

制作会社との間で、各工程における応答期限や修正回数に関するSLAを事前に合意しておくことで、スケジュールの遅延を防ぎ、スムーズなコミュニケーションを実現できます。

レビュー期間

制作会社からの提出物(初稿など)に対するフィードバック期間を「48時間以内」などと定めます。このルールを設けることで、制作会社の次のステップへの進行が明確になり、全体のスケジュール遵守につながります。レビュー期間が長くなると、制作会社の他のプロジェクトへの対応が遅れ、納期全体に影響を与える可能性があります。

修正回数

無償での修正対応回数を「2回まで」などと明確にします。3回目以降は追加費用が発生する条件も確認します。これにより、修正指示の精度向上と、不必要な修正ループの防止が実現します。修正回数が増えると、制作会社の工数が増加し、納期が延びるリスクが高まります。

修正指示の形式

修正指示は、関係者の意見を取りまとめた上で、指定のフォーマットで一度に提出するルールを設けます。複数回に分けての修正指示は、制作会社の効率を低下させ、納期遅延の原因となるため、注意が必要です。事前に、修正指示の提出方法や期限を明確にしておくことで、スムーズな進行が実現します。

失敗を避けるための発注前チェックリスト

以下に発注前のチェックリストを用意しましたので、座談会動画の発注時にぜひご活用ください。これらの項目を事前に確認することで、発注後のトラブルを防ぎ、スムーズな制作進行を実現できるはずです。

  • 企画・目的の明確化

動画の目的(説明会での活用、採用サイトへの掲載、SNS広告など)、ターゲット層(大学生、転職者など)、期待される効果(応募数の増加、内定承諾率の向上など)を明確にしておきます。

  • 出演者の確保

座談会に参加する社員を事前に確定し、スケジュール調整を完了しておきます。出演者の人数、職種、経歴などを制作会社に伝え、企画構成に反映させます。

  • 撮影場所の確保

社内会議室またはスタジオの予約を完了しておきます。撮影場所の広さ、照明の状況、音声環境などを制作会社に伝え、必要な機材や準備を確認します。

  • 予算と納期の確認

社内での予算承認を完了し、制作会社に予算上限と希望納期を明確に伝えます。予算と納期に基づいて、実現可能な仕様を制作会社と協議します。

  • 権利・ライセンスの確認

動画の二次利用範囲(採用サイト、SNS、広告など)、保管期間、BGMやフォントのライセンス範囲などを事前に確認し、契約書に明記させます。

まとめ:座談会動画で採用ブランディングを成功させる

本記事では、新卒採用における座談会動画の制作について、費用相場、見積もりのチェックポイント、進行管理の要点を解説しました。

座談会動画は、単に情報を伝えるだけでなく、企業の文化や働く人々の魅力を伝え、候補者の入社意欲を高める強力なツールです。今回紹介したポイントを参考に、計画的な準備と適切なパートナー選定を行い、採用活動の成功につなげてください。

情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
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この記事を書いた人

【株式会社case 代表取締役/動画制作プロデューサー】加藤智史
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社にアカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。現在は本メディアの運営を通じた企業の動画制作支援や、動画制作会社の営業支援などを行う。動画制作のご依頼の流れはコチラ

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