本記事では今後そのような案件や担当者の方が少しでも減らせるよう、採用動画の制作に数多く携わった筆者の経験をもとに採用動画の制作について「そもそも採用動画にはどんな種類があるのか」「失敗しないためのポイント」などをまとめました。
少し長くなりますが、採用動画の制作を検討されている方はぜひご一読ください。
採用動画の制作について、よくある質問
- 採用動画の制作費はどれくらい?
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制作する内容によって大きく変動しますが、概ね50万円〜200万円程度の制作予算で制作されるケースが多いです。
- 採用動画の制作期間はどれくらい?
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制作する内容によって大きく変動しますが、概ね2ヶ月程度を想定しておくと良いでしょう。
- 採用動画の活用方法にはどのような方法がある?
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採用サイトへの掲載、説明会での放映、YoutubeチャンネルやInstagramへの投稿など目的によって様々です。
採用動画の種類
一口に「採用動画」と言っても、ターゲットや目的によって制作される動画は様々なのですが、大きく分けて下記の6パターンが代表的なものです。
- 社員インタビュー
- 仕事紹介ドキュメンタリー
- 採用コンセプトムービー
- 採用ブランディングムービー
- 座談会
- 説明会オープニング/エンディング
以降にて、それぞれの動画で筆者がおすすめできる動画を1つずつ紹介しています。また、別章で「絶対観ておいたほうが良い採用動画」もご紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。
社員インタビュー
社員インタビューは採用動画において、最もよく制作される動画です。理由としては比較的制作費を抑えやすいという点と、動画に社員が出演することで説明会などに登場してもらうコストを抑制できるという2点です。
しかし、よく制作される一方でYoutubeなどに公開されているインタビュー動画を見ると、「せっかく動画制作したのに…」ともったいなく思ってしまうものも少なくありません。
ここで敢えて「もったいない」と思った動画をご紹介することは避けますが、逆に良いな!と思ったものを一つご紹介します。
さすが、大手の制作会社…というところですが、ただ「良いな」と思ったポイントは制作会社ならではの撮影手法や証明の当て方など技術的なことではありません。
出演している方々の「語り口調」です。とても自然で等身大な語りだからこそ強い説得力を持つことができます。
逆に「語り口調」が不自然だったり、「言わされてる感」がでてしまうとわざわざ動画にした意味が無いどころか逆効果になってしまいかねません。
仕事紹介ドキュメンタリー
具体的な仕事内容を学生にイメージしてもらうために、最も効果的なのが「仕事紹介ドキュメンタリー」です。
実際のMTGの様子や、お客様との打ち合わせ、上司からの評価などを構成に盛り込むことでより立体的に仕事の内容をつかむことができます。
難点があるとすると、制作費がインタビュー動画より高くなりがちである点と、主演者が多い分調整が必要になるという2点です。
ただし、仕事紹介ドキュメンタリー動画は一度制作すると頻繁にリニューアルされる企業も多いため、仕事の内容の理解やイメージが課題になっている企業にとっては効果的なツールになり得ます。
採用コンセプトムービー
採用する側の「私達はこういうコンセプトで採用します。」を動画にしたものが採用コンセプトムービーです。
学生からの共感の獲得や、より親和性の高い学生の興味喚起を目的として制作されることが多いのが特徴です。
活用シーンとしては、採用サイトへの掲載やYoutube広告での配信など比較的採用フェーズの初期段階でタッチするツールとして使われることが多いのも特徴の1つです。
採用コンセプトムービーは、前述の2つの動画と比較しても非常に難易度の高い動画です。特に明確な「採用コンセプト」がない状態で制作してしまうと「なんとなくそれっぽい」動画に留まってしまい非常にもったいないことになるため、制作する際には綿密な計画が必要になります。
採用ブランディングムービー
採用コンセプトが採用する側のスタンスを表したものだとすると、採用ブランディングは自社のコアな価値観や存在意義、あり方を学生向けに動画に落とし込んだものだと言えます。
実はこのあたりの言葉の使い方は動画制作会社によって明確に定義されていないこともあるため、コンセプトを伝えたいのか、自社のブランドに共感してほしいのかなど、「なぜ、だれに、どうしたいのか」をはっきりさせる必要があります。
「採用ブランディング」と題された動画をYoutubeで探してみましたが、おすすめできるものがなかなか見つからず…こちらの動画は「採用」に限定されたものではありませんが、採用にも問題なく使えるものだと考えこちらでご紹介しています。一番のおすすめ動画は以降の章でご紹介するので、そちらもぜひ。
座談会
「座談会形式」で、自社や仕事などについて語り合ってもらうことで、固くなりがちな社員インタビューなどよりも自然体かつ複数人の目線で立体的に情報を伝えることができるのが座談会動画のメリットです。
座談会動画は、上記の通り「情報を立体的」にするため共通している空気感や価値観など目に見えないものが可視化されやすくなります。そのため、「仕事に対してとても真剣・ストイック」「成長志向が強い」「社員同士仲がいい」など共通した空気感・価値観・ビジョンなどを伝えたい際に有効なツールと言えます。
説明会のオープニング/エンディング
オンラインで説明会を実施することが増えた一方で「では、わざわざ足を運んでもらうリアルな説明会をどう設計するか?」は非常に重要なポイントです。オンラインもリアルも変わらないとなると、学生は「時間がもったいない」と感じざるを得ないでしょう。
その、リアルな説明会における特別感の演出方法の1つがオープニング動画・エンディング動画の活用です。
動画の内容は説明会全体の設計とも関わりますが、例えば採用コンセプトやブランドイメージを訴求するようなものでもよいでしょうし、先輩社員のインタビューでも良いでしょう。重要なポイントは、
- 説明会に足を運んだからこそ見ることができた、得ることができた情報だという特別感
- 説明会全体を1つのストーリーと考えた際に、オープニング・エンディングとしてふさわしいコンテンツであること
という2つです。
良い動画とそうではない動画を見抜く、たった1つのポイント
ここまで、新卒採用で活用されている動画の種類や実際の動画事例をご紹介してきましたが、いかがでしょうか。
1つでも「良いな」と思えるものがあったのであれば幸いですが、そうではない方もいるでしょう。
「良い動画」を見抜くポイントはまさにそこです。動画を見たあなた自身が「良い」と思えるかどうかです。
もちろん、好みの問題もありますし最低限ターゲットの視点を想像しながら動画をみることも重要です
しかし、少なくとも採用動画において採用担当者自身はターゲットではありません。にも関わらず「良いな」と思えたのであればその動画はきっと良い動画なのです。
逆に全く「良いなと思えなければその動画は学生にも響かない可能性が高いでしょう。
これは筆者の持論ですが、良い動画や良いクリエイティブはある程度ターゲットから外れていても響くものです。それが就活中の学生向けであれば、そう遠くない過去に就活を経験した採用担当者の方にも響く要素は必ずあります。
そして、もしこの記事を読んでくれているあなたが採用動画の制作をすることになれば、あなた自身が「良い」と思えるもの、「これなら学生に響く」と信じられるものを制作しなければなりません。そうでなければその動画はきっと誰の心にも届かないものになってしまいます。
次の章で、改めて私が強く「この採用動画は絶対観ておいたほうがよい」と思える動画をご紹介します。
この記事を読んでくれているあなたにも響くものがあるか。響くものがあればそれはなんなのか。少しでもヒントになればと思います。
絶対に観ておくべき採用動画
下記に筆者がおすすめする採用動画を5本ご紹介しています。
それぞれの動画をピックアップした理由などは、下記の記事にまとめていますので本記事では割愛しますがもしご興味のある方はこちらもぜひ御覧ください。
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
株式会社八幡自動車商会
清水建設株式会社
株式会社リコー
ダイキン工業株式会社
新卒採用動画の制作のポイント
新卒採用向けの動画制作において、特に気をつけなければならないのは下記の4点です。
- 目的を明確にする
- ターゲットを明確にする
- 明確なコール・トゥ・アクションを設定する
具体的にどのようなポイントを抑えるべきか、1つずつ解説します。
目的を明確にする
すごく当たり前のことなのですが、意外と見落とされがちです。
「なんとなくカッコいい動画」「とりあえずインタビュー動画を制作しようと思ってます」とかだと、あまり意味のない動画が出来上がってしまいます。本当にもったいないです。
ちなみに、ここでいう「目的」は「エントリー数を増やす」とか「歩留まりを上げる」とかだと動画クリエイティブに落とし込むには少し抽象的です。
しっかりと役割を果たすことが期待できる動画を制作するためには、上記の「目的」に2〜3回ほど「WHY」をぶつけてみて下さい。
- なぜ歩留まりが低いのか?→面接での印象が良くない?会社や仕事の説明が分かりづらい?
- なぜ会社や仕事の説明が理解されないのか?→説明の仕方が悪い?内容が複雑でわかりにくい?
という感じで、ある程度のところまで深ぼったり要素分解しながら「動画の目的」を明確にしましょう。
ターゲットを明確にする
すごくすごく当たり前のことですが、これも見落とされがち…というか動画を制作するにあたっては少し解像度が荒い状態であることが多いです。
例えば、採用ターゲットは「MARCH卒で体育会に所属していたような学生」だとして、動画のターゲットもそのままでよいのか?もう少し絞ったほうがいいのか?あるいは、広げたほうがいいのか?という部分を検討しきれていないケースがあります。
- 採用ターゲットは「MARCH卒で体育会に所属していたような学生」
- 動画を制作するのは、〇〇〇〇という目的で、動画には〇〇〇〇という役割を担わせたい。
- そうすると、動画のターゲットは「MARCH卒で体育会に所属していたような学生」かつ「どちらかというと、〇〇〇〇タイプ」というように絞り込まれるのか「中学高校くらいから大学を卒業するまでなにかに打ち込んだ経験のある学生」というように少し広げるのか。
…という感じです。
新卒採用においても、ナビサイト上で検索条件で絞り込みという意味でのターゲットと、面接で絞り込む際のターゲットはそれぞれ解像度が異なるはずです。
前述の「目的」と紐づくため、ターゲットのことだけを考えても答えはでません。もしこの記事を読んで「あ…」と思った方は目的と合わせてどのようなアプローチが最適であるかについて、もう一度考えてみてはいかがでしょうか。
明確なコール・トゥ・アクションを設定する
「行動喚起」と訳され、デジタルマーケティングの世界ではユーザーに「次に起こしてほしい行動」を誘導することを指します。
つまり、動画を視聴したあとの行動としてどのような行動を期待するのか、そしてそのためにどのような気持ち・感情になって貰う必要があるのかを明確にしましょう、ということです。
当然ですが、やはりこの点についても目的との紐づきがあり、目的の解像度が低いとターゲットやコール・トゥ・アクションも同じように解像度が低い可能性が高いです。
もし、動画制作を具体的に検討しているようでしたら、まずはこれらのポイントを整理することから始めてみましょう。
新卒採用動画制作に失敗しないための4つのポイント
動画制作を外注した経験のある人の中には、なんらかの理由で「失敗した」「上手くいかなかった」と感じている方がいます。筆者も制作会社の営業として担当したお客様からそのような「以前お願いした会社で上手くいかず…」という相談を受けたことが何度かあります。
詳細は下記の記事にまとめていますが、ここでは失敗しないために重要な4つのポイントをご紹介します。
適切な制作会社を選ぶ
「それができれば苦労しない」と言われてしまいそうですが、やはりこの点は重要です。
ここで端的にお伝えしたいのは、「信頼できる営業担当者を選ぶ」という視点をもってみることです。
筆者が動画制作に携わり始めた10年ほど前とくらべると動画制作会社は格段に増えました。そしてどの会社も甲乙つけがたいほど豊富な制作実績を持っています。(弊社はまだ会社としての実績は少ないですが…)
その中で何をポイントに選ぶか?の1つのポイントが上記の「信頼できる営業担当者を選ぶ」という視点です。
詳しくは下記の記事にまとめていますが、端的にお伝えすると、
- 優秀な営業担当は、優秀なプロデューサー、優秀なクリエイターをアサインできる
- 優秀な営業担当は、無用なトラブルを避けてくれる
- 優秀な営業担当は、コミュニケーションがスムーズ
という3点です。「絶対この会社がいい!」と思える会社が見つからず悩むことがあればぜひ参考にしてみてください。
そしてもし悩むようであれば、ぜひ筆者にもご相談ください。
スケジュールに余裕を持つ
基本的なことではありますが、何らかの理由で急いで制作を進めなければならないケースもあります。そのような場合、
- 人的なリソースを確保するために通常スケジュールでの進行よりもお金がかかる
- 急ぐ分、準備・確認に通常より時間を割くことができず何らかのトラブルが起きる可能性が高くなる
…というリスクがあります。
会社によっては、短納期でも費用を抑えて制作してくれる会社もあるかもしれませんがそれでもスケジュールを短縮するということは、どこかでなにかを犠牲にせざるを得ません。
もちろん、通常スケジュールよりもトラブルが起きる可能性が高まるというだけで、「必ずトラブルになる」「失敗する」わけではありません。制作に慣れているプロが進行する以上、トラブルの種は極力排除し最大限問題なく進行できるよう尽力することは間違いありません。
ただ、それでも想定外のトラブルに見舞われることもあるのが動画をはじめ、クリエイティブ制作の現場です。
だからこそ、できる限りスケジュールには余裕を持つことを強くおすすめします。
制作内容によって変動しますが、採用動画であれば、最低2ヶ月。できれば3ヶ月ほど制作スケジュールが確保できると良いでしょう。
上記はあくまでも「制作期間」なので、制作会社を選んだり正式に発注するまでのリードタイムがどれくらい必要になるかについては、自社の稟議や予算申請のフローについて事前に把握しておく必要があります。
完成イメージをできるだけ具体的にする
いざ、動画制作をスタートする際には制作会社側からどのような動画が完成する予定であるかは絵コンテやシナリオなどの資料を用いて説明があるはずです。
動画制作に慣れていれば、そのような資料で具体的なイメージを持つことができますが、初めての場合にはそれでもイメージが難しいこともあるでしょう。
そのような場合には、遠慮なく制作会社側に質問してイメージの具体化に努めましょう。
制作過程で完成イメージの認識の相違などのズレが生じてしまうと、軌道修正には時間とコストがかかってしまいます。
社内調整を怠らない
発注側の企業の担当者の方の役割の1つが、自社内のステークホルダーとの共通認識の形成です。
- こんな目的でこんな動画を制作します。
- これが完成イメージです。
- いつころ完成良い体です。
- このタイミングでシナリオや動画を確認して、いつまでにフィードバックしなければなりません
…などなど、動画制作の背景や前提、クリエイティブイメージ、スケジュールなどについて関係者としっかりと「握る」ことができていないと、後になって「どんでん返し」が起きることは珍しいことではありません。
特に、動画制作について最終的なOKを出せる決裁権者とのすり合わせは重要です。
最後に
長くなりましたが、「採用動画を制作するにあたって、何から初めていいかわからない」人から、「採用動画の参考になる動画を探したい」「失敗しないためのコツを知りたい」人まで、
「少しでも良い動画を制作したい」「学生に響く動画にしたい」
と、真摯に採用動画の制作に向き合っている、向き合おうとしている方々の参考にしていただけるような情報をまとめてみました。
もし、この記事を読んで筆者に質問したい、相談したいという人がいましたらこちらからどうぞ。
「もう少し具体的な採用動画制作についてのサービスや特長について知りたい…」という方は下記にサービスサイトを用意していますので、こちらをご参考ください。