新卒採用 コンセプト動画の制作期間ガイド|標準スケジュールと特急対応

「コンセプト動画の制作期間がわからず、説明会に間に合うか不安」「納期が短く依頼したいが、品質とのバランスが判断できない」「社内稟議を通すための根拠資料が不足している」――新卒採用担当者にとって、制作期間を正確に把握し、実行可能な進め方を設計することは重要です。

本記事では、新卒採用向けコンセプト動画の制作期間の目安、短納期を実現するための具体条件、そして失敗しない進め方を、実務に即して徹底解説します。

目次

結論・ショートQA

新卒採用コンセプト動画の標準的な制作期間は?

企画構成から納品まで、標準で6〜10週間が目安です。撮影内容、アニメーションの複雑さ、修正回数により変動します。

短納期で制作する場合、最短どれくらいで可能ですか?

既存の映像・静止画素材を最大限活用し、社内承認プロセスを迅速化(例:フィードバック48時間以内、修正1回に集約)できれば、最短4〜5週間での制作も可能です。

制作期間が変動する主な要因は何ですか?

主に「撮影の規模(日数・場所・出演者数)」「アニメーションやモーショングラフィックスの量」「修正回数と社内承認のスピード」「関係者の数と意思決定プロセス」の4点が影響します。

特急対応(2〜3週間)は可能ですか?

既存素材のみで構成し、修正を1回に限定すれば可能な場合がありますが、費用は150〜250万円と高額になり、品質リスクも伴います。制作会社によっては対応不可の場合もあります。

使用予定日から逆算した最短プランを無料作成します。

新卒採用のコンセプト動画とは?有効な理由

新卒採用におけるコンセプト動画とは、企業の理念・ビジョン、事業の社会的意義、独自のカルチャーといった抽象度の高い「コンセプト」を、映像と音で感情的に伝えるための動画です。

この動画が新卒採用で有効な理由は、EVP(Employee Value Proposition:従業員価値提案)を浸透させ、学生が「この会社で働く意味」を直感的に理解できる点にあります。テキストや静止画では伝わりにくい「想い」や「熱量」を映像で届けることで、企業のブランドイメージ向上、学生の志望度の向上、につなげることができます。インタビュー動画などで、業務イメージ・キャリアイメージを具体化するのとは異なり、会社が掲げる「コンセプト」に「共感」した結果として、学生の行動・態度を変容させることが「コンセプト動画」の役割です。

密着動画・インタビュー動画とコンセプト動画の比較

項目密着動画・インタビュー動画コンセプト動画
目的日常業務のリアルを伝え、仕事理解を促進企業の理念・世界観を訴求し、共感を喚起
伝わる情報非言語含む現場感(表情・動き・現場音)価値観・ビジョン・ブランドトーン
適切な尺3〜8分60秒〜5分
必要素材実写撮影(業務シーン+インタビュー)実写/素材流用+グラフィック・モーショングラフィックス
費用感60〜150万円程度80〜300万円程度(表現の幅に応じて上下)

※金額は税別。撮影日数・修正回数・縦横同時最適化・ナレーション有無で増減します。

新卒採用向けコンセプト動画の制作期間:標準6〜10週間/短納期4〜5週間

工程別の目安日数(標準モデル)

工程制作側の主な作業発注側の役割目安日数主な成果物
1. 要件定義・企画ヒアリング、コンセプト設計、企画提案、台本作成目的・KPIの整理、必要情報の提供、企画の承認10〜15営業日企画構成案、台本、絵コンテ
2. 撮影準備ロケハン、キャスティング、香盤表作成、機材手配、撮影許可取得撮影場所・出演者の調整、社内共有、許可申請5〜10営業日香盤表、撮影計画書、各種承諾書
3. 撮影実写撮影撮影立ち会い、環境調整1〜3営業日映像素材(RAW)
4. 編集(オフライン)オフライン編集、テロップ・BGM挿入、カラーグレーディング、アニメーション制作初稿レビュー、具体的なフィードバック7〜10営業日初稿動画
5. 修正・MA修正対応、ナレーション収録、整音(MA)、最終調整修正確認、最終承認5〜7営業日最終動画
6. 納品最終書き出し(複数フォーマット対応)、データ納品、バックアップ受領・動作確認1〜2営業日完成データ(MP4/MOVなど)

標準モデルでは、企画から納品まで合計で約29〜47営業日(6〜10週間)が目安です。この期間に社内承認の待機時間は含みません。実際のプロジェクトでは、社内承認に1〜2週間を要するケースが多いため、余裕を持った設計を推奨します。SLA(サービス水準合意)を設定することで各工程の期間短縮が可能です。

短納期(4〜5週間)を実現する条件

  • 既存素材の最大活用:過去の動画・写真・グラフィックなどを活用し、新規撮影は最小限(理想は1日以内)。
  • 迅速承認プロセス(SLAの明文化):「初稿提出後48時間以内に回答」「修正指示は1回に集約」などを事前合意。承認者は原則1名に集約。
  • 修正回数の限定:1〜2回に限定し、手戻りを防止。初期の要件定義で合意形成を完了させる。
  • シンプルな構成:複雑なアニメーションや特殊効果を避け、ミニマルな設計で編集工数を削減します。
  • 制作会社の稼働状況:繁忙期を避け、リソースに余裕があるタイミングで依頼。

これらの条件を満たすことで、標準6〜10週間の制作期間を4〜5週間へ短縮できます。なお、短納期対応には追加費用(10〜30%増)が発生する場合が多いため、予算とのバランス検討が必要です。

失敗しない5ステップ

ステップ1:合意形成(稟議・承認プロセスの設計)

プロジェクト開始前に、関係者間で目的とゴールを合意します。特に承認プロセスとSLA(例:フィードバックは48時間以内、修正指示は1回に集約)を明確に定義し、遅延要因の排除は非常に効果的です。また、意思決定者を1名に集約すると承認がスピーディーに進められるため、難しいかもしれませんがおすすめです。

ステップ2:権利対応(出演者(自社社員など)からの許可)

出演者からは必ず肖像権・著作権等の使用許諾書を取得します。許諾書には使用範囲(Web・SNS・イベント・広告)、使用期間、二次利用の可否を明記。BGMやフォントは必ず商用ライセンスを確認し、法務リスクを回避します。

  • 権利対応チェックリスト:
  • 肖像権許諾(範囲/期間/二次利用)
  • 施設・ロケ許可(撮影/音声/掲示物の可否)
  • センシティブ情報の映り込み確認(社外秘・個人情報)

ステップ3:企画構成(ストーリー設計)

「誰に、何を伝え、どう感じてほしいか」を突き詰め、共感を呼ぶストーリーに落とし込みます。学生が自分ごと化しやすい物語設計を行い、絵コンテ段階でトーン&マナーを合意しておくと修正が減ります。

  1. 導入(問題提起):学生の関心事や社会課題を示し、共感を生む。
  2. 展開(企業の取り組み):課題への向き合い方を具体事例や社員の言葉で描く。
  3. クライマックス(ビジョン):目指す未来や仕事の意義を情感豊かに表現。
  4. 結び(行動喚起):「この会社で働きたい」と思えるメッセージで締める。

ステップ4:制作進行(WBSと定例会議)

WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)でタスクと期日を可視化し、週1回の定例で進捗・課題・次週アクション(担当/期限)を明確化。承認待ちやボトルネックを早期に解消します。

ステップ5:効果計測(KPI設計とGA4設定)

「視聴完了率」「説明会申込率」「ES提出率」「内定承諾率」などのKPIを事前に設計。Google アナリティクス 4(GA4)で以下のイベントを計測し、改善に活かします。

  • video_start:再生開始
  • video_progress_25 / 50 / 100:各到達率
  • cta_click:CTA(行動喚起)ボタンのクリック

用語の簡易定義(FAQ前のまとめ)

KPI:重要業績評価指標。視聴完了→説明会申込→ES提出などの中間指標を含む。
SLA:サービス水準合意。レビュー/承認の回答期限など運用基準の合意。
MA:音声仕上げ(Mix/Audioの意)。
Bロール:補足映像。メインの合間に挿入して文脈を補強する素材。

よくある質問(FAQ)

新卒採用コンセプト動画の最短の制作期間は?

既存素材を活用し、承認SLAを48時間・修正1回に限定できれば、最短2〜3週間で制作可能です。ただし品質とのトレードオフが発生し、費用も10-30%程度と割増になりやすい点にご留意ください。

短納期のリスクは?

修正回数が限られるため、初期の企画精度が極めて重要です。関係者の承認が遅れると全体スケジュールに直結して影響します。

縦型(9:16)と横型(16:9)の同時制作は可能?

可能です。ただし各比率に最適化した編集が必要で、編集工数は約1.5倍、追加コストは20〜30万円が目安です。SNS展開を想定する場合は縦型の同時制作を推奨します。

修正回数の目安は?

標準的なスケジュールで2〜3回、短納期の場合1〜2回が一般的です。契約時に「修正範囲(例:テロップのみ/構成変更も可)」を明確化し、超過時は追加費用が発生する旨を合意しておきましょう。

制作した動画の二次利用は可能?

契約で定めた利用範囲(Web、SNS、説明会、広告等)内であれば可能です。

撮影に発注側の立ち会いは必須?

必須ではありませんが、立会いがない場合現場判断で撮影が進行するため、再撮影などのリスクも高まります。よほどのことがない限りは撮影に立ち会うことを推奨します。

実務チェックリスト(逆算計画〜納品まで)

新卒採用向けのコンセプト動画制作時のチェックリスト(発注側も気にしておくべきこと)をご用意しました。
特にお急ぎの場合などはぜひご活用ください。

1. スケジュール設計・SLA

  • 使用予定日から逆算してWBSを作成(週次マイルストーンを設定)
  • 承認SLAを合意(初稿48時間以内返信/修正指示は1回に集約)
  • 承認者を原則1名に集約(代行者も指定)
  • 修正回数の上限を契約前に確定(標準2〜3回/短納期1〜2回)
  • 代替撮影日・天候予備日を確保
  • 週1回の定例(進捗・課題・次週アクション)を固定化

2. 権利・法務

  • 肖像権・著作権の使用許諾書を取得(範囲/期間/二次利用)
  • 施設・ロケの撮影許可(撮影可否/音声収録/掲示物)※制作会社への依頼も可能
  • センシティブ情報の映り込み確認(社外秘・個人情報)
  • 二次利用・再編集の可否と費用を契約書に明記

3. 素材・撮影

  • 既存素材の棚卸し(動画・写真・ロゴ・図版・実績)
  • 縦横同時最適化の要否を決定(16:9/9:16/1:1)
  • 撮影立会いの有無・権限範囲を明確化
  • 代替キャスト・NGワード・NGカットの基準を共有
  • セキュリティ掲示・来館手続き・電源/ネット環境を確認

4. 編集・クリエイティブ

  • トーン&マナーを合意(参考動画/カラー/タイポ)
  • ナレーション要否・言語・声質を決定(台本最終版を確定)
  • テロップの表記ルール(用字用語・数字・敬称)を統一
  • アクセシビリティ配慮(字幕/コントラスト/色覚特性)
  • 修正依頼フォーマットを統一(タイムコード・要望種別)

5. 納品・展開

  • 納品仕様を確定(解像度/コーデック/ビットレート/音量規格)
  • 想定配信先別の書き出し(Web/説明会/SNS縦型)

6. 計測・改善(KPI/GA4)

  • KPIを設定(視聴完了率/説明会申込率/ES提出率)
  • GA4イベント実装(video_start/25・50・100%/cta_click)
  • ランディング導線を最短化(申込フォームまで2クリック以内)

7. 予算・契約・リスク

  • 見積の前提条件を明文化(撮影日数/修正回数/縦横最適化/ナレ)
  • 短納期割増の有無と率(10〜30%)を事前合意
  • 検収・支払条件・キャンセル規定を確認
  • 事故・体調不良時の代替案(体制・日程・費用)を用意
  • 最終責任者と連絡系統(当日緊急連絡)を明記

まとめ:コンセプト動画で採用成功を実現する

新卒採用コンセプト動画の制作期間は標準で6〜10週間、条件が整えば4〜5週間での実現も可能です。成功の鍵は、目的とKPIを明確にし、SLAで運用基準を合意したうえで、計画的にプロジェクトを進めることにあります。

企画段階での合意形成、確実な権利処理など、事前に確認・進行できる部分を丁寧にケアすることで短納期でも納得のいく動画制作が可能です。

本記事のWBSやチェックリストを活用し、説明会やエントリー開始日から逆算した現実的な計画で、ブランドと共感を育むコンセプト動画制作を進めましょう。

情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
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この記事を書いた人

【株式会社case 代表取締役/動画制作プロデューサー】加藤智史
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社にアカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。現在は本メディアの運営を通じた企業の動画制作支援や、動画制作会社の営業支援などを行う。動画制作のご依頼の流れはコチラ

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