新卒採用の“インタビュー動画”完全ガイド|効果・作り方・費用・事例・運用まで

日々、多くの企業様の動画制作をお手伝いしていますが、ここ数年でご相談が急増しているのが「新卒採用向けのインタビュー動画」です。

「学生の心に響くリアルな情報を届けたいが、具体的に何を撮ればいいのか?」
「誰に出演してもらうのが効果的?」
「費用やスケジュール感はどれくらい?」
「作って終わりではなく、効果をどう測定すればいい?」

もし今、このような疑問や不安を抱えているなら、ぜひ最後までお読みください。数多くの採用動画を手掛けてきたプロの視点から、新卒採用インタビュー動画の企画・制作・活用について、実務で使えるテンプレートも交えながら網羅的に解説します。

読み終える頃には、自社に最適なインタビュー動画の全体像を具体的に描き、自信を持ってプロジェクトを推進できるはずです。

目次

新卒採用でインタビュー動画が効く理由(3つ)

1. 候補者の不安を解消し、リアルな動機付けを促す

学生が企業選びで最も知りたいのは「どんな人が、どんな想いで働いているのか」というリアルな情報です。美辞麗句よりも、少し先の未来像である先輩社員の“生の声”は、「この会社で本当に成長できるのか?」「社風は自分に合うのか?」といった不安を解消し、入社意欲を高めます。

2. 母集団形成〜内定承諾まで“全ファネル”で機能する

インタビュー動画は採用活動のあらゆるフェーズで活用できる万能なコンテンツです。認知段階ではSNS向け短尺、興味関心段階では説明会や採用サイトでのフル版、選考段階では内定者フォローの限定コンテンツなど、多角的に活用することで採用ROIを最大化できます。

3. 採用ブランディングとカルチャーフィットの可視化

社員の言葉を通じてビジョンや価値観、働きがいを伝えることは、強力な採用ブランディングになります。どのような社員が活躍しているかが可視化されることで、候補者はカルチャーフィットを判断しやすくなり、入社後のミスマッチ防止にもつながります。

どんな“インタビュー”を撮るべきか(タイプ別の使い分け)

「誰に」インタビューするかで、動画の目的や伝わるメッセージは大きく変わります。代表的な出演者タイプと、候補者インサイトに紐づく動画テーマを整理します。

出演者のタイプ

  • 先輩社員(若手・中堅):候補者が最も共感しやすい。仕事内容や成長実感、キャリアパスを語るのに最適。
  • 現場マネージャー:チームの雰囲気、求める人物像、育成方針を伝える。誰と働くかの解像度が上がる。
  • 経営層:ビジョンや事業戦略、社会への提供価値などを語る。志望動機を強化。
  • 部署別・職種別(開発・営業・CSなど):具体的な職務内容や専門性を深掘り。職種別採用に有効。

候補者の意思決定要因と動画テーマのマッピング

候補者のインサイト(知りたいこと)最適な出演者動画テーマ(例)
事業の将来性・社会貢献性経営層「私たちが描く未来と、君たちへの期待」
具体的な仕事内容・やりがい先輩社員(中堅)「入社5年目、私がプロジェクトリーダーになるまで」
成長環境・キャリアパス現場マネージャー「私たちのチームが求める人物像と育成方針」
社風・人間関係先輩社員(若手)「入社1年目のリアルな1日と、職場の雰囲気」
福利厚生・働きやすさ人事担当者/若手社員「数字で見る、私たちの働きやすさ」

企画から公開までの全フロー(7ステップ)

  1. 目的・ターゲット設定:誰に何を伝え、どうなってほしいのかを明確化。全ての土台です。
  2. 企画・構成:出演者、メッセージ、構成案を具体化します。
  3. 出演者アサイン・質問設計:企画意図を説明し協力依頼。質問項目を事前共有します。
  4. 撮影準備(ロケハン・香盤表作成):撮影場所の確保、機材選定、当日の段取りを固めます。
  5. 撮影当日:リラックスした雰囲気を作り、出演者の自然な表情や言葉を引き出します。
  6. 編集・レビュー:構成に沿って編集し、テロップやBGMを追加。関係者で確認・修正を繰り返します。
  7. 公開・効果測定:各チャネルで公開し、設定したKPIをもとに効果を測定します。

より詳細な制作期間やスケジュールについては、こちらの記事をご覧ください。

新卒採用インタビュー動画の費用(価格帯別の内訳と特徴)

価格帯制作内容・特徴メリットデメリット
〜30万円撮影1名、編集のみなどミニマム構成・テンプレート活用中心低コストでスピーディに制作可能オリジナリティを出しにくい。戦略的企画は含まれない場合が多い
30〜80万円ディレクター・カメラマン複数名チーム。企画構成、BGM、簡易アニメーション等を含む戦略的企画から依頼可能で一定クオリティを担保撮影人数や日数が増えると追加費用が発生しやすい
80万円〜複数拠点撮影、複数名インタビュー。ドローン撮影や高度なCG、複数言語対応高品質でブランディング効果大制作期間が長くなり、費用も高額

インタビュー動画の費用の詳しい内訳やコスト最適化のコツは、こちらの記事で解説しています。

成果を最大化する運用(配信・計測・改善)

動画は作って終わりではありません。配信・計測・改善のサイクルを回すことで成果を最大化できます。

配信チャネル別の要点

  • 採用サイト/Webサイト:フル版を掲載。候補者が最も深く情報を求める場所でCVR貢献が期待できます。
  • YouTube:SEOを意識したタイトル・概要欄を設定。関連動画流入や継続接点構築を狙えます。
  • SNS(X, Instagram, TikTok):冒頭3秒で惹きつける15〜30秒版を配信。拡散やUGC促進に有効。
  • 説明会:アイスブレイクや企業理解を深めるコンテンツとして活用。集中力を高めます。

A/B改善(サムネイル・タイトル・尺・冒頭フック)

公開後は、データを元に改善を繰り返します。例えば、クリック率が低い場合はサムネイルやタイトルを2パターン用意してA/Bテストを行う、視聴維持率が低い場合は冒頭のフックをより刺激的なものに差し替える、といった改善活動が効果的です。

KPI設計

目的KPI計測方法
認知拡大再生回数・インプレッションYouTubeアナリティクス、SNSインサイト
興味関心平均視聴維持率・再生完了率YouTubeアナリティクス
動機形成高評価数・コメント数・共有数プラットフォーム指標
応募促進CVR(説明会予約やエントリー率)Googleアナリティクス、ATS

新卒採用向けインタビュー動画の勝ちパターン

ここでは、プロの目からみて素晴らしい採用インタビュー動画の事例をご紹介します。

エムスリー株式会社

浜松ホトニクス株式会社

ケーワンテック株式会社

デジタル庁

NTT西日本株式会社

各事例の狙いや詳細については、こちらで紹介しています。

いますぐ使える実務テンプレート

ここでは、担当者の方がすぐに使えるテンプレートを3つご紹介します。ぜひ、自社の状況に合わせてカスタマイズしてご活用ください。

質問リスト(職種横断/職種別の差し替えポイント)

カテゴリ質問例職種別差し替えポイント
Before(過去)・学生時代は何に打ち込んでいましたか?・就職活動の軸と、当社に興味を持ったきっかけは?【エンジニア向け】・個人で開発した経験はありますか?
After(現在)・入社前後のギャップはありましたか?・現在の仕事内容と、一番のやりがいは何ですか?・これまでで最も成長を感じたエピソードを教えてください。【営業向け】・初めて受注した時のエピソードを教えてください。
Future(未来)・今後、この会社で挑戦したいことは何ですか?・どんな後輩と一緒に働きたいですか?【企画向け】・今後、どんなサービスを企画したいですか?
Message・最後に、就職活動中の学生さんへメッセージをお願いします。

インタビュー質問リストテンプレート 香盤表ミニ雛形(テキスト版)

撮影当日の段取りを関係者で共有するための簡易的な香盤表です。

【新卒採用インタビュー動画 撮影香盤表】

  • 撮影日: 202X年XX月XX日(X)
  • 場所: 本社15F 会議室A
  • 10:00-10:30 制作スタッフ入り、機材セッティング
  • 10:30-10:45 出演者Aさん(営業部 〇〇様)入り、打ち合わせ
  • 10:45-11:30 Aさん インタビュー撮影
  • 11:30-11:45 Bロール撮影(PC作業風景など)
  • 11:45-12:00 予備・撤収
  • 13:00-13:30 制作スタッフ 機材再セッティング
  • 13:30-13:45 出演者Bさん(開発部 △△様)入り、打ち合わせ
  • 13:45-14:30 Bさん インタビュー撮影
  • 14:30-14:45 Bロール撮影(ホワイトボードでの議論風景など)
  • 14:45-15:00 予備・完全撤収

レビュー依頼テンプレート(タイムスタンプ指定フォーマット)

動画の修正指示を出す際のメールやチャットのテンプレートです。

件名:【ご確認依頼】新卒採用インタビュー動画 初稿(〇〇様分)

〇〇様

お疲れ様です。caseの〇〇です。

先日撮影させていただきましたインタビュー動画の初稿が完成しましたので、お送りいたします。

▼動画ファイル

[動画ファイルへのリンクや添付]

つきましては、お忙しいところ恐縮ですが、XX月XX日(X)までに内容をご確認いただき、修正点などございましたら、以下の形式にてご返信いただけますでしょうか。

【修正指示フォーマット】

・[時間] [内容]

・例:00:15 テロップ「株式会社case」→「case株式会社」に修正

・例:01:25 ここの発言はカットしてください

ご確認のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

リスク&コンプライアンス(必読)

最後に、見落とされがちですが非常に重要な権利関係やコンプライアンスについて解説します。トラブルを未然に防ぐため、必ず確認してください。

出演・利用許諾/個人情報/商標・楽曲の権利処理

  • 出演・利用許諾:出演者本人から、撮影した映像の利用範囲(Web、SNS、広告利用など)と利用期間について、必ず書面で許諾を取りましょう。退職後の扱いについても明記しておくのが理想です。
  • 個人情報:出演者の氏名や所属部署の公開範囲は、事前に本人と確認しましょう。
  • 商標・楽曲:背景に他社のロゴや商品が映り込んでいないか、使用するBGMや効果音はライセンスをクリアしているか、制作会社と連携して厳重にチェックします。

アクセシビリティ(字幕ルール・CPS基準・配置)

近年、動画のアクセシビリティ対応は企業の社会的責任として重要視されています。特に字幕は、音声が出せない環境での視聴や、聴覚に障がいのある方への配慮として必須です。

  • 字幕の基本ルール:読みやすさを考慮し、「1秒あたり4文字(4CPS)」が一般的な基準です。
  • 文字数と行数:1行あたり42字以内、最大2行までが推奨されます。
  • 表示時間:最低でも1.0秒、最長でも6.0秒の範囲で表示時間を調整します。
  • 配置:話者の顔や重要なビジュアルに被らないよう、セーフティゾーン内に配置します。

よくある質問

新卒採用のインタビュー動画、最適な尺は?

説明会や採用サイトでフル活用するなら2〜3分が一般的です。ただし、SNSでの認知拡大を狙う場合は、冒頭のメッセージを切り取った15〜30秒の短尺動画も併用すると効果的です。

出演者は誰が最適ですか?

候補者が自身の「未来像」を重ねやすい、入社2〜5年目の先輩社員が最も効果的です。可能であれば、育成視点を持つ現場マネージャーにも出演してもらうと、チームの雰囲気や成長環境が伝わりやすくなります。

費用をできるだけ抑えるコツはありますか?

発注者側での「準備」を徹底することが最も効果的です。具体的には、複数人の撮影を1日にまとめる、質問項目や撮影場所を事前に確定させる、修正回数の上限を制作会社と合意しておく、といった工夫で費用を最適化できます。

あわせて読みたい:関連記事

詳細な制作期間やスケジュールについては、こちらの記事をご覧ください。

インタビュー動画の費用の詳しい内訳やコスト最適化のコツは、こちらの記事で解説しています。

各事例の狙いや詳細については、こちらで紹介しています。

新卒採用向けインタビュー動画の制作のポイントはこちら

まとめ

本記事では、新卒採用インタビュー動画の企画から制作、活用、リスク管理まで解説しました。インタビュー動画は候補者の心を動かし、採用活動を加速させる強力な武器です。

「最適な動画の企画がわからない」「費用やスケジュールを知りたい」という方は、ぜひご相談ください。これまでの知見をもとに最適なプランをご提案します。

情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
是非、下のボタンからお気軽にお問い合わせください。

caseでは動画制作のご依頼も承っております
動画制作実績400本以上のプロデューサーが『失敗しない動画制作の秘訣』を惜しみなくお伝えしながら、実績に裏打ちされた高いコストパフォーマンスで高品質な動画制作をご提供します。
ご担当者様に寄り添った安定した制作進行管理を心がけていますので、初めての動画制作の方も安心してお気軽にお問い合わせ下さい。
caseを通して、できること
動画制作のご依頼はこちらからお気軽にお問い合わせください(無料です)

この記事を書いた人

【株式会社case 代表取締役/動画制作プロデューサー】加藤智史
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社にアカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。現在は本メディアの運営を通じた企業の動画制作支援や、動画制作会社の営業支援などを行う。動画制作のご依頼の流れはコチラ

目次