「顧客(カスタマー)インタビュー動画を作りたいが、どれくらいの期間がかかるのだろう?」「お客様との調整はスムーズに進むだろうか?」——こうした不安は多くの担当者が抱えるものです。
BtoB企業のマーケティングやカスタマーサクセス担当者にとって、顧客の声(VoC)を届けるインタビュー動画は、製品・サービスの認知と信頼を高める“高コンバージョン型”コンテンツです。
顧客インタビュー動画は、自社だけで完結せず、大切なお客様にご協力いただく特殊なプロジェクトです。そのため、制作期間やスケジュールを正確に把握し、計画的に進行管理を行うことが、成功のボトルネックを回避する鍵になります。
本記事では、多数の顧客インタビュー動画を手がけてきたプロの視点から、制作期間の目安、具体的な工程、そしてスケジュールを円滑に進める実務ノウハウを体系的に解説します。この記事を読んで、担当者として自信を持ってプロジェクトを推進し、お客様との関係を大切にしながら成果につながる動画を制作するポイントを押さえましょう。
1. 全体像:標準スケジュール(目安:4〜6週間)
まず、顧客インタビュー動画の全体フローを把握しましょう。企画開始から納品まで、標準モデルでは約4〜6週間を見込むとよいでしょう。プロセスは大きく6つの段階に分かれます。
フェーズ | 期間目安 | 主なタスク | 主な成果物 |
---|---|---|---|
1. 企画・準備 | 1〜2週間 | 目的・KPI・ターゲット設定/活用シーンの具体化/出演依頼先の選定・打診 | 企画書/制作ブリーフ |
2. インタビュー設計・許諾 | 1〜2週間 | 質問設計/事前インタビュー(ヒアリング)/出演・利用許諾の契約 | 質問票/構成案/承諾書 |
3. 撮影準備 | 約1週間 | 撮影場所決定(ロケハン)/機材準備/香盤表(進行表)作成/最終調整 | 香盤表/進行台本 |
4. 撮影・収録 | 1日 | インタビュー収録/利用シーン(Bロール)撮影 | 撮影データ(映像・音声) |
5. 編集・レビュー | 1〜2週間 | 編集(カット・テロップ・BGM)/社内レビュー/顧客確認とフィードバック | 初稿動画 |
6. 最終化・納品 | 〜1週間 | 最終修正/データ納品 | 完成動画データ(MP4 など) |
2. 顧客インタビュー特有の重要工程(3点)

2-1. 出演者の選定とアサイン:最適な「語り手」を見つける
視聴の成否を左右する最大要因は「誰が語るか」です。論理的な導入効果だけでなく、視聴者が感情移入しやすい「語り手」の魅力が求められます。
選定の観点
・熱量と姿勢:製品・サービスに強い思いがある。
・具体的エピソード:導入背景や体験を自分の言葉で語れる。
・話し方と人柄:雄弁さは不要だが、伝わる話し方や人柄がある。
2-2. インタビュー設計:本音と魅力を引き出す質問
優れたインタビュー動画は、優れた質問設計から生まれます。
ストーリーフロー
時系列で「出会い(導入前)→変化(導入後)→未来(展望)」を語ってもらうと、視聴者が自分事化しやすくなります。
質問例
・「導入前に最も困っていたことは何ですか?そのときの気持ちは?」
・「このサービスを初めて使ったとき、どう感じましたか?」
・「もしこのサービスがなかったら、今どうなっていたと思いますか?」
2-3. 収録環境とリハーサル:自然体を引き出す工夫
自然光の入る静かな場所や慣れたオフィス空間など、リラックスできる環境を選びましょう。収録前の5〜10分の雑談や、進行フローの簡単な共有も有効です。
3. 【パターン別】モデルスケジュール
要件により期間は変わります。代表的な3パターンを紹介します。
3-1. 短納期版

- 期間の目安:約3週間
- 特徴:スケジュール調整の余裕がないため、基本的には制作都合での制作進行となり、社内調整などに注力する必要があります。
3-2. シンプル版(1名)

- 期間の目安:約5週間
- 特徴:出演者が1名で、場所撮影も1箇所のため、調整が比較的容易でスピーディーに進められます。初めて顧客インタビュー動画を制作する場合にお勧めのモデルです。
3-3. 複数出演者版

- 期間の目安:約8週間
- 特徴: 複数の顧客に登場してもらうことで、メッセージに多角的な視点と厚みを持たせることができます。出演者ごとに関係者全員の日程を調整する必要があるため、スケジュール管理が複雑になります。
4. プロが使う「遅れない」実務ノウハウ

スケジュール遅延を防ぐには、事前準備とコミュニケーション設計が重要です。代表的な工夫を3つ紹介します。
4-1. 出演者向け配慮
撮影前のオンライン説明や質問票の共有、服装・持ち物案内などで安心感を醸成しましょう。
4-2. レビュー工程の工夫
依頼時に要点を明確化し、タイムスタンプ付きフィードバックを依頼。修正意図を共有して認識ズレを防ぎます。
4-3. トラブル回避
遅延要因 | 対策 |
---|---|
顧客との日程調整 | 候補日を複数提示し、余裕を持った設定を。 |
社内承認の長期化 | 開始時に承認者へ全体スケジュールを共有。 |
想定外の修正依頼 | 企画段階で目的・ゴールを合意しておく。 |
機材トラブルや天候 | 予備機材や代替撮影プランを事前に準備。 |
5. FAQ(よくある質問)
- Q1. 顧客インタビュー動画制作で、初稿を5営業日で納品してもらうための条件は?
-
以下の3点が揃っていることが条件となる場合が多いです。
- 企画・構成がFIXしていること: 制作会社が迷いなく編集に着手できる状態。
- 素材(B-rollやロゴデータ)がすべて揃っていること: 編集作業を中断させる要因がない。
- 発注者側の迅速なレスポンスが確約されていること: 制作会社からの質問に即座に回答できる体制がある。 これらに加え、特急料金が発生する可能性も考慮しておきましょう。
- Q2. 顧客インタビュー動画制作で、修正回数を2回で収めるコツは?
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レビューの質を高めることが最も重要です。関係者全員が一度にレビューを行い、修正指示を一つにまとめてから制作会社にフィードバックする「一括校正」のプロセスを徹底しましょう。また、「少し寂しいので、いい感じにしてください」といった曖昧な指示ではなく、「0:35のシーンに、製品の利用イメージが伝わるようなB-rollを追加してください」のように、具体的かつ明確な指示を心がけることが重要です。
- 顧客インタビュー動画制作で、英語字幕の表記ルールで気をつけるべき点は?
-
- 速度:目安 ≤15 CPS(characters per second)、上限 17 CPS。
- 行数/長さ:最大2行/1行~42文字。
- 表示時間:最短1.0秒〜最長6.0秒(平均2–4秒)。前後に0.1–0.2秒の間隔。
- 表記:Sentence case(先頭のみ大文字)。文末ピリオドは省略可。三点リーダー多用は避ける。
- 改行:意味の塊で改行(前置詞・冠詞で行末にしない)。
- 用語統一:固有名詞・略語・数値の桁区切り(例:1,000)を用語集で統一。
- SDH:[music]、[applause] 等は必要最小限。
- 画面配置:氏名テロップ等と重ならない位置(競合時は上部)。
- 顧客インタビュー動画制作で、RACIチャートを導入するメリットは何ですか?
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最大のメリットは、役割と責任の所在が明確になることで、プロジェクトの進行がスムーズになる点です。 特に、発注企業、制作会社、顧客企業という三者が関わる導入事例動画制作では、「誰が最終決定権を持つのか(Accountable)」、「誰に相談すればよいのか(Consulted)」が曖昧になりがちです。RACIチャートは、こうした混乱を防ぎ、迅速な意思決定を促す羅針盤の役割を果たします。
- 顧客インタビュー動画制作で、撮影の予備日は設けるべきですか?
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はい、可能な限り設定することを強く推奨します。特に、屋外での撮影や、キーパーソンのスケジュールが非常にタイトな場合、予備日がないと天候不良や体調不良といった不測の事態に対応できず、プロジェクト全体が大幅に遅延するリスクがあります。予備日を設定するコストは、再撮影やスケジュール破綻のリスクを回避するための保険と捉えましょう。
6. まとめ
顧客インタビュー動画の制作は「準備と進行管理」が8割です。しっかりした段取りが顧客満足と成果を最大化します。自社だけで不安がある場合は、専門制作会社への相談も有効です。
情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
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