導入事例動画の成功事例|BtoBマーケ担当者が知るべきこと

BtoBビジネスに関して、顧客のリアルな声は何よりも強い武器です。 その中でも「導入事例動画」は、確度を飛躍的に高めるキラーコンテンツとして注目されています。本記事では、BtoB企業の担当者が知りたい導入事例動画の優れた事例から、活用の具体的なノウハウ、さらには失敗を防ぐための実践的なポイントまで、一気通貫で徹底解説します。

目次

1. どうして今「導入事例動画」が検索されるのか?

BtoBマーケティング担当者が「導入事例動画」と検索する場合には、競合の動画を参考にしたいという表層的なニーズだけではなく、より深く複雑な意図が隠されています。ここでは、その検索意図を考察し、導入事例動画の具体的な価値を提示したいと思います。

検索意図の3つのレイヤー:「競合事例を知りたい」「作り方を知りたい」「活用法を知りたい」

検索行動の裏には、主に3つの段階的な情報ニーズが存在します。

【情報収集】

検討商材の成功事例を知りたい:検討している商材やサービスがどのような企業に導入され、どのように活用されているのかを知りたい


競合の成功事例を知りたい:まずは、同業他社や先進企業がどのような動画を制作し、どのような成果をあげているのかをベンチマークしたい

【制作検討】
具体的な作り方を知りたい:自社で制作する際の具体的な手順やノウハウを知りたいという

【活用戦略】
成果を出すための活用法を知りたい:競合他社などが、制作した動画をいかにして事業成果につなげるか、つなげようとしているか。

2. BtoBでまさに効果絶大!導入事例動画が実現する4つのメリット

導入動画は、単なる「お客様の声」ではありません。特に、検討期間が長く、複数の意思決定者が関与するBtoBビジネスにおいては、様々なステークホルダーとの接触機会を増やすための効果的なツールと言えます。ここでは、導入事例動画を制作・活用することの4つのメリットを解説します。

メリット1:圧倒的な情報量と信頼性で「自分ごと化」を促進

動画は、テキストや静止画に比べて圧倒的に多くの情報を短時間で伝えることができます。 顧客の表情や声のトーン、実際の利用シーンといった非言語情報がわかることで、視聴者はサービス導入後の成功イメージを具体的に描きやすくなります。

メリット2:営業・マーケ・採用まで使える「資産」になる

一度制作した導入事例動画は、様々な部門で半永久的に活用できる強力な「資産」となります。

活用部門具体的な活用シーン
マーケティングWebサイト、LP、SNS、Web広告、メールマガジン、ウェビナー
営業商談時のアイスブレイク、クロージング後の押し出し、インサイドセールスでのナーチャリング
採用採用サイト、会社説明会、リクルーター面談での魅力
社内新入社員研修、全社総会での成功事例共有

このように、ワンソース・マルチユースが可能なため、部門を横断して対効果を高めることができます。

メリット3:既存顧客との関係強化(セル/クロスセル)

導入事​​例の制作プロセスは、既存顧客との関係を再構築し、さらに強化する絶好の機会です。 取材時に成功体験を深くヒアリングすることで、新たなニーズや課題を発見し、アップセルやクロスセルの提案に繋がるケースも少なくありません。

メリット4:SNSでの拡散による認知拡大効果

共感を呼ぶストーリー性のある導入事例動画は、SNSでシェアされやすいという特徴があります。 特に、業界内で影響力のある企業の事例や、ユニークな課題解決のストーリーは、企業の公式アカウントだけでなく、従業員や関係者によっても拡散され、想定以上のリーチを生む可能性があります。 これにより、これまでアプローチできなかった潜在顧客層への認知拡大が期待できます。

3. 成果を考えて導入!事例動画制作で押さえるべき5つの重要なポイント

制作プロセスを理解した上で、次に重要になるのが「成果の質」を高めるためのポイントです。

ポイント1:インタビュイー選定が9割。ネームバリューより「熱量」

導入事例動画は、「語り手」の熱量やその人ならではの語りがどれだけ撮影できるかで動画のクオリティが決まります。できるだけ、有名な企業の動画を作りたいと考えることは自然ではありますが、導入事例動画の場合は、出演いただける方(インタビュイー)がカメラ前で語れる人であるかも非常に重要です。

ポイント2:「台本なし」でリアルな言葉を引き出すプロの質問術

良いインタビュー動画は、ほぼ「台本なし」で撮影されます。事前に詳細な台本を用意し、読んでもらう形式では、視聴者には「やらされている感」が伝わってしまい、信頼性を大きく損なってしまいます。

ポイント3:インタビューは「関係性の深い自社担当者」が最適

意外に思われるかも知れませんが、インタビューの聞き手は、制作会社のディレクターよりも、顧客と最も関係性が深い「自社の営業担当者やカスタマーサクセス担当者」が行うのが理想的です。日頃から信頼が構築されているため、インタビュイーもリラックスして本音を話しやすくなります。

ポイント4:制作期間と費用の目安は?(推奨値と判断基準)

担当者が最も気になるが、制作期間と費用ではないでしょうか。動画の尺や撮影規模によって大きく変動しますが、一般的な目安は以下の通りです。

項目目安備考
制作期間1.5ヶ月〜3ヶ月企画構成から初稿提案まで約1ヶ月、修正と納品に2週間〜1ヶ月が標準です。
費用50万円〜150万円撮影1日、スタッフ3名、尺3〜5分程度の場合。アニメーションや複数拠点での撮影は追加費用が発生する。

短納期・低予算での制作も不可能ではありませんが、その場合はロケハンを省略したり、修正回数を制限したりなど一定の条件をクリアする必要がでてきます。

ポイント5:ガバナンス対応(NDA/ロゴ承認/匿名化/表現規制)

BtoBの事例制作では、コンプライアンスやリスク管理の視点が重視されます。 特に以下の点については、事前に顧客と書面で合意しておく必要があります。

秘密保持契約(NDA): 取材を通じて知りたかった顧客の非公開情報を正しく管理するための契約です。制作会社も含めた三者間での締結が始まる場合があります。

ロゴ・商標の使用許諾:顧客の企業ロゴやサービスロゴを使用する範囲と期間を明確にします。

公開範囲と期間:Webサイトのみか、広告利用も可能か。公開期間は無期限か、などを定めます。

匿名・仮名での対応:企業名個人名を公開できない場合や、業種や役職などを「A社様」「B事業部長」のように匿名・仮名で表現する方法を検討します。

表現の確認:特に金融や医療などの厳しい業界では、薬機法や違法表示法などに対抗しないか、法務部門による表現チェックが必須です。

4.【業界別】導入事例動画の具体例と構成パターン

導入事​​例動画の効果は、業界や動画の目的・役割に合わせて構成を最適化することで最大化します。ここでは、BtoBで特にニーズの高い3つの業界を例に、具体的な構成パターンとポイントを解説します。

IT/SaaS業界向けパターン

想定業界/業種: IT/SaaS 業界。情報システム部門の担当者や、特定業務(人事、経理、マーケティングなど)の責任者。

構成(課題→解決→変化): 業務効率化、コスト削減、データ活用といった具体的な課題に対して、サービス導入によって「どのように業務が変わる(解決)」「どれだけの定量的な成果が出たか(変化)」を論理的に主張する。

尺/撮影規模: 2〜5分程度。インサートカットを多用し、実際の操作イメージを見せる。インタビューは1〜2名、撮影は1日で上映させることが多い。

主な活用チャネル:サービスサイト、LP、ウェビナー、比較サイト、Web広告。

【mixsol導入事例】神戸市公園緑化協会様 – 公益財団法人の予算管理を革新

概要: 会計や人事労務などのバックオフィス業務を効率化するクラウドサービスや業務プロセスを改善するDX支援サービスを提供している株式会社COELの、クラウドインテグレーションサービス「mixsol」の導入事例インタビュー動画です。

導入された神戸市公園緑化協会の方が導入の背景や、システムによる予実管理の「見える化」によって感じた効果について、語られています。

構成のポイント: 公益財団法人という組織ならではの「予実管理」の重要性を軸に、多数の拠点との連携、1万枚の会計関連の書類がワークフローの構築によってゼロになったことなどが

製造・メーカー向けパターン

想定業種/担当者: 製造業、メーカー。工場長、品質管理部門、開発部門の責任者。

構成(課題→解決→変化): 「生産性向上」「品質安定」「技術継承」「安全性確保」といった現場の課題に対して、製品やソリューション導入で「現場の作業改善が行われる(解決)」「不良品率の低下や生産リードタイムの​​短縮的な成果(変化)」につながったかを視覚的に示す。

尺/撮影規模: 3〜5分程度。 実際の工場や製造ラインでの撮影が中心。ドローンやハイスピードカメラなどを用いて、ダイナミックな映像で技術力をアピールすることも有効。インタビューは現場担当者と管理職の双方に行うと説得力が高まる。

主な活用チャネル:製品サイト、展示会、営業資料、代理店向け説明会。

製造支援モバイルロボット iAssist 導入事例~二明精機株式会社様~

概要: 老朽化設備をリニューアルするに当たり、人手不足の問題もあわせて如何にして対応したのかが具体的に語られています。

構成のポイント: 実際の工場でのロボットの動きを映像で見せることで、技術力の高さや導入による便益を直感的に訴求しています。

人材・教育サービス向けパターン

想定業界/ペルソナ:人事部門の責任者、経営層。企業の成長や組織課題に関心が高い。

構成(課題→解決→変化): 「採用難」「離職率の高さ」「人材育成の課題」といった組織課題に対して、サービス導入で「社員の取り組みがどう向上し(解決)」「採用応募数の増加や離職率の低下といった組織の変化(変化)」が生まれたのだと、経営者や人事担当者の言葉で語ります。

尺/撮影規模: 3〜5分程度。インタビューを中心に、研修風景や社内イベントの様子をつづる。複数の社員に登場してもらい、多角的な視点からサービスの価値を伝えると効果的。

主な活用チャネル:サービスサイト、人事向けメディア、セミナー、Facebook/LinkedIn広告。

導入事例:パーソルキャリア株式会社

概要: 採用していた従来のIT セキュリティの仕組みではクラウドサービスに対応しきれず、開発スピードの鈍化とそれによるモチベーション低下のリスクが課題に。導入することにより、社内の開発環境整備に取り組み、エンジニアが働きやすい環境を実現。

構成のポイント: お客様の事業部の特性もあり、いわゆるインサートカットの撮影が難しかったことが想定されます。そのため、購入素材でイメージを補完していると考えられます。

5. よくある落とし穴と回避策|導入事例動画で失敗しないために

多くの企業が導入事例動画を制作・活用しても、残念ながら期待した成果が得られないケースも少なくありません。

失敗例1:「ただの感想」で終わり、導入が進まない

最も多い失敗として、インタビュイーが「非常に良いサービスです」「助かっています」といった抽象的な感想を話すだけで、視聴者が知りたい「なぜ良いのか」「具体的にどう助けるのか」がまったく伝わらないケースです。これでは、判断の材料にはなりません。

回避策
企画構成段階で「課題→解決→変化」のストーリーラインを明確にし、特に「変化」を深掘りする質問を設計します。「導入後、〇〇の作業時間は具体的に何%削減できましたか?」「売上が120%になったと聞いていましたが、その最大の削減は何だと思いますか?」など、具体的な数値やエピソードを引き出す質問を準備することが重要です。

失敗例2:社内調整に失敗し、公開できない「お蔵入り」動画に

動画が完了した後に、法務部門から「この表現は薬機法に対抗する接触の可能性がある」と指摘されたり、取材先から「やはり企業名公開はNGにしてほしい」と決めて、公開できなくなるケースです。

回避策
プロジェクトの初期段階で、法務やコンプライアンス部門を巻き込み、規定を確認しておくことが重要です。また、取材先とは「何を書面で解決すべきか」を明確に、ロゴの使用範囲、公開期間、匿名化の要否などを定めた合意書を必ず取り決めましょう。

失敗例3:作るだけで活用されず、費用対効果が不明

素晴らしい動画が完成したとしても、Webサイトに掲載しただけで満足して、残念ながら営業現場では全く使われていない、広告配信もされていない、いわゆる「作り置き」の状態です。

回避策
企画段階で、動画の活用シーンを具体的にリストアップし、各部門とどのような動画であれば使いやすいか、そもそも導入事例動画のニーズが他部署にも存在するのか?を把握し、共通認識を形成しておきましょう。

6. FAQ|導入事例動画のよくある質問

ここでは、導入事例動画に関して担当者からよく寄せられる質問に、Q&A形式でわかりやすくご紹介します。

Q.導入事例動画がBtoBで効果的な理由は?

顧客のリアルな声で信頼感を醸成し、検討者の「自分ごと化」を促進できるためです。 特にBtoBでは、機能や価格だけでなく「自社と同じような課題を持つ企業が成功したかどうか」という実績が、導入判断を後押しする強力な材料となります。

事例動画を活用できるシーンは?

WebサイトやLPでのコンバージョン促進、商談でのクロージング、展示会でのリード、採用活動での魅力付けなど、マーケティングから営業、採用まで幅広く活用できます。ワン・マルチユースできるポイントが大きなメリットです。

おすすめの尺と構成は?

Webサイトで汎用的に使うなら、2〜5分程度がおすすめです。 構成は「課題→導入の決め手→解決→成果」というストーリーラインが基本ですが、最長30秒で最も伝えたい成果を提案する「結論先出し型」も有効です。

競合事例との差別化ポイントは?

「誰が」「何を」「どう語るか」で差別化します。業界の有名な人物に登場してもらったり、定量的な成果をインフォグラフィックで見せたり、導入の苦労話から成功に繋げるストーリーを描いたりすることで、独自性を出すことができます。

失敗を防ぐチェックポイントは?

「目的とKPIは明確か」「取材先の期待値コントロールは万全か」「社内の関係配置(法務など)を巻き込むプロセス」「公開後の活用プランは決める」の4点です。これらをプロジェクト初期に確認するだけで、失敗のリスクは大幅に軽減できます。

匿名化やNDAが必要な場合は?

顧客の事業戦略に関わる情報や、公開前の新サービスに関する事例など、機密性が高い情報を扱う場合はNDA(秘密保持契約)の締結を検討します。また、議論との関係上、企業名を公開できない場合は、業種や企業規模などを「製造業A社様」のように匿名で紹介します。

7.あわせて読みたい

導入事例動画を制作したいけど、どれくらい費用が必要なのかわからない…という方はこちら。

急いで導入事例動画を制作したけど、間に合うか心配…というかたはこちら。制作期間について詳しく解説しています。

導入事例動画の詳しい制作のポイントや、落とし穴についてはこちら

8. まとめ:成果の出る導入事例動画で、事業を加速させよう

本記事では、BtoB企業が導入事例動画で成果を出すための考え方、実践的なノウハウを徹底的に解説しました。

導入事例動画は、顧客の成功を真剣に描き、そのリアルな声を届けることで、未来の顧客との関係を見据え、営業、マーケティング、採用などあらゆる企業活動を加速させる「最強の営業ツール」であり、価値ある「デジタル資産」になります。

しかし、その効果を最大化するためには、戦略的な企画と実務的な知見、そして制作を進めるための細やかな検討が必要です。

次のアクション: まずは無料相談から

「自社に最適な事例の切り口がわからない」「制作の進め方に不安がある」あるいは「既存の事例をさらに有効活用したい」といった課題をお持ちでしたら、ぜひ一度、専門家にご相談ください。

多くのBtoB企業の動画活用を支援してきたプロの視点から、貴社の状況に合わせた最適な「事例活用診断」や、具体的な制作プランのご提案が可能です。 まずは情報収集の観点から、お気軽にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

【株式会社case 代表取締役/動画制作プロデューサー】加藤智史
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社にアカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。現在は本メディアの運営を通じた企業の動画制作支援や、動画制作会社の営業支援などを行う。動画制作のご依頼の流れはコチラ

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