女性の社会進出が進み、女性の大学進学率も上がっている一方で、少子化による学生獲得の競争が今後さらに激化していくことは避けられません。
大学(学部)への進学率は,女子50.9%,男子57.7%と男子の方が6.8%ポイント高いが,女子は全体の7.6%が短期大学(本科)へ進学しており,これを合わせると,女子の大学等進学率は58.6%となる。
内閣府 男女共同参画社会
スマホを使ってTiktokやYoutubeなどで動画を視聴するあるいは、動画を撮影しSNSにアップすることを当たり前に行っている世代である学生に、どのようにリーチしていくのかを考えると大学のプロモーションに動画を活用するというのは必須であると言えるでしょう。
本記事では、数多くの大学が行っている動画の活用事例を紹介しながら制作時に気をつけるべきポイントについて解説します。
大学紹介動画、大学プロモーション動画についてよくあるQ&A
- 大学の紹介、プロモーション動画の制作費はどれくらい?
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筆者の経験上は100万円〜300万円の幅で予算を用意されているケースが多いです。大学の規模感やどのようなシーンを撮影するかによって変動するため、少し多めに確保されたほうがよいでしょう。
- 大学の紹介、プロモーション動画の制作期間はどれくらい?
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2ヶ月程度で一般的なプロモーション動画は制作が可能です。ただし、キャンパス内の四季の移り変わりや各種イベントなどの撮影も行う場合には半年・1年かけて制作されるケースもあります。
- 大学の紹介、プロモーション動画の活用方法は?
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最も多くの大学が使っているのはYoutubeです。公式チャンネルで積極的に動画を活用している大学も多くなってきました。一方でInstagramやTiktokなどの学生の多くが利用しているSNSの活用はまだ浸透していないのが現状です。
大学紹介動画、大学プロモーション動画の活用方法
大学による動画の活用方法は大きく「大学紹介/大学プロモーション」「CM動画」「コンセプト動画」の大きく3つです。この3つ以外にも例えば「大学の施設紹介」「学部紹介」など、動画の活用に力を入れている大学やあるいは一定の予算や裁量を持っている学部などは積極的に動画を活用しています。
大学紹介/大学プロモーション動画
本記事で言う「大学紹介」「大学プロモーション」というのは概ね3分以上の長さで大学の概要や各学部の特徴・施設・キャンパスライフなどについて全般的に紹介している動画を指しています。
従来はパンフレットなどの紙資料として用意していたものを、動画に置き換えて「各大学の情報を自らキャッチしにくる学生」に向けて用意されていることが多いです。そのため、大学によっては15分を超える長めの尺で制作されていることもあります。
大学のコンセプト動画
本記事で言う「大学のコンセプト動画」は概ね1〜3分程度で、大学の特徴や学べる内容などを訴求ている動画を指しています。大学によっては「大学紹介動画」を制作してそのショートverを作成し、「コンセプト動画」として活用しているケースもあります。筆者が過去に担当した案件で、大学の職員の方からは「短い動画があれば各高校での説明会やオープンキャンパスなどでも活用しやすく、使い勝手が良い」とフィードバックを頂いたことがありました。
大学のCM動画
本記事で言う「大学のCM動画」は概ね15〜30秒程度でコンパクトに大学の特徴を印象的なコピーやクリエイティブで表現しているものを指しています。大学によってはテレビCMとして活用しているケースもあれば、Youtubeなどで広告配信しているケースもあります。また、下記の動画もそうですが、大学側は「コンセプトムービー」というタイトルでアップしているものも本記事では「大学のCM動画」として分類しています。
制作のポイント
目的を明確にする
大学が学生向けにリーチ/プロモーションする上で目的を明確にし、可能な限り解像度を上げることは非常に重要です。
例えば、最終的な目的としては「学生を獲得すること」や「受験してもらうこと」などでしょう。
では「獲得」するために、動画はどのような役割を果たすべきでしょうか。
- 大学のキャンパスの広さ・美しさ・洗練されている様を見せることによる魅力づけ
- 高い専門性・独自性を打ち出すことで、「こんなことが学べるのか」という気づきを与える
- 就職実績や有名なOB/OGを紹介することによる「安心感」の醸成
など、大学の特徴や見せる相手によって動画の役割も大きく変化します。
その大学が持つ強みや、何が相手の意思決定の材料になるのかをしっかりと分析・把握し動画の役割を明確にしましょう。
ターゲットを明確にする
この動画は「誰が見るのか」「誰に観せたいのか」を明確にしましょう。前述の動画の役割にも紐づきますが、この動画を観る人が
- 「大学の偏差値と自分の偏差値を照らし合わせて、ターゲットを絞っている学生」
- 「大学に行こうとは思っているものの、学びたい分野などは決まっていない学生」
- 「大学に行きたいとは思ってないものの、卒業しておいたほうが将来的なキャリアが安定すると考えている学生」
- 上記の学生の親・保護者
…等なのかで、訴求するべきポイントや表現方法は大きく変わります。何が相手の意思決定の材料になるのかをしっかりと分析・把握するためにも、ターゲットは明確にする必要があります。

予算を確保する
目的・役割とターゲットが明確になれば、「この人に、この情報を、こんなふうに伝える」ということまで決めることができます。
しかし、予算が足りなければ「こんなふうに伝える」の部分が弱くなってしまったり、十分に表現できない可能性があります。
例えば、
- 大学の規模・スケールを表現するのにドローンで空撮する
- 大学を象徴する施設や風景に季節感を出すために雪・桜などの季節に撮影をしたい
- 大学の特徴的なイベントの様子を撮影したい
などの演出を加えたくてもそれらの機材・人を用意できなければそれは叶いません。
大学紹介の動画は、数千万のお金がかかるようなクリエイティブではありませんが100万円と200万円ではできることが大きく変わります。あくまでも筆者の経験にもとづく感覚ですが、200〜300万円ほどの予算が用意できれば目的に応じた適切な演出や撮影日数を増やすなど、魅力的な大学紹介動画の制作が可能です。
大学紹介動画、大学プロモーション動画事例
前述した動画の活用方法別の事例をそれぞれ3つずつピックアップしました。ぜひ御覧ください。
大学紹介/大学プロモーション動画
2022年版【新潟国際情報大学】大学紹介ムービー さぁ、踏み出そう。未来への第一歩を。
九州大学紹介動画2021
名古屋工業大学 紹介動画 -VOICEs from NITech-
大学のコンセプト動画
明治大学 商学部|10学部10色のコンセプトムービー#02
大学紹介ムービー~コンセプトムービー~|札幌学院大学
やさしさを「チカラ」に変える。コンセプトムービー|1分でわかる畿央大学#0
大学のCM
東北学院大学ブランドムービー「見つけるんだ。私たちだけの、フツウ。」
2021年度 広島工業大学CM(昼篇)
【同志社女子大学】CM「希望の足音」篇 15秒
動画制作の外注に失敗しないための4つのコツ
動画制作を外注した経験のある人の中には、なんらかの理由で「失敗した」「上手くいかなかった」と感じている方がいます。筆者も制作会社の営業として担当したお客様からそのような「以前お願いした会社で上手くいかず…」という相談を受けたことが何度かあります。
詳細は下記の記事にまとめていますが、ここでは失敗しないために重要な4つのポイントをご紹介します。

適切な制作会社を選ぶ
「それができれば苦労しない」と言われてしまいそうですが、やはりこの点は重要です。
ここで端的にお伝えしたいのは、「信頼できる営業担当者を選ぶ」という視点をもってみることです。
筆者が動画制作に携わり始めた10年ほど前とくらべると動画制作会社は格段に増えました。そしてどの会社も甲乙つけがたいほど豊富な制作実績を持っています。(弊社はまだ会社としての実績は少ないですが…)
その中で何をポイントに選ぶか?の1つのポイントが上記の「信頼できる営業担当者を選ぶ」という視点です。
詳しくは下記の記事にまとめていますが、端的にお伝えすると、

- 優秀な営業担当は、優秀なプロデューサー、優秀なクリエイターをアサインできる
- 優秀な営業担当は、無用なトラブルを避けてくれる
- 優秀な営業担当は、コミュニケーションがスムーズ
という3点です。「絶対この会社がいい!」と思える会社が見つからず悩むことがあればぜひ参考にしてみてください。
そしてもし悩むようであれば、ぜひ筆者にもご相談ください。
スケジュールに余裕を持つ

基本的なことではありますが、何らかの理由で急いで制作を進めなければならないケースもあります。そのような場合、
- 人的なリソースを確保するために通常スケジュールでの進行よりもお金がかかる
- 急ぐ分、準備・確認に通常より時間を割くことができず何らかのトラブルが起きる可能性が高くなる
…というリスクがあります。
会社によっては、短納期でも費用を抑えて制作してくれる会社もあるかもしれませんがそれでもスケジュールを短縮するということは、どこかでなにかを犠牲にせざるを得ません。
もちろん、通常スケジュールよりもトラブルが起きる可能性が高まるというだけで、「必ずトラブルになる」「失敗する」わけではありません。制作に慣れているプロが進行する以上、トラブルの種は極力排除し最大限問題なく進行できるよう尽力することは間違いありません。
ただ、それでも想定外のトラブルに見舞われることもあるのが動画をはじめ、クリエイティブ制作の現場です。
だからこそ、できる限りスケジュールには余裕を持つことを強くおすすめします。
制作内容によって変動しますが、インタビュー動画であれば、最低1.5ヶ月。できれば2ヶ月ほど制作スケジュールが確保できると良いでしょう。
上記はあくまでも「制作期間」なので、制作会社を選んだり正式に発注するまでのリードタイムがどれくらい必要になるかについては、自社の稟議や予算申請のフローについて事前に把握しておく必要があります。
完成イメージをできるだけ具体的にする
いざ、動画制作をスタートする際には制作会社側からどのような動画が完成する予定であるかは絵コンテやシナリオなどの資料を用いて説明があるはずです。
動画制作に慣れていれば、そのような資料で具体的なイメージを持つことができますが、初めての場合にはそれでもイメージが難しいこともあるでしょう。
そのような場合には、遠慮なく制作会社側に質問してイメージの具体化に努めましょう。
制作過程で完成イメージの認識の相違などのズレが生じてしまうと、軌道修正には時間とコストがかかってしまいます。
社内調整を怠らない
発注側の企業の担当者の方の役割の1つが、自社内のステークホルダーとの共通認識の形成です。
- こんな目的でこんな動画を制作します。
- これが完成イメージです。
- いつころ完成良い体です。
- このタイミングでシナリオや動画を確認して、いつまでにフィードバックしなければなりません
…などなど、動画制作の背景や前提、クリエイティブイメージ、スケジュールなどについて関係者としっかりと「握る」ことができていないと、後になって「どんでん返し」が起きることは珍しいことではありません。
特に、動画制作について最終的なOKを出せる決裁権者とのすり合わせは重要です。
最後に
本記事の最初で触れたように、ターゲットとなる学生はスマホでの動画視聴・撮影に慣れ親しんだ世代です。作る側の思い込みや「伝えたい情報の押し付け」では上手く学生に情報を届けることはできません。
大学のプロモーションに動画を活用される際には、制作会社や広告代理店に相談するまえに、一度情報整理や予算の検討など、事前準備をしっかりと行った上で問い合わせるようにしましょう。
情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
是非、下のボタンからお気軽にお問い合わせください。