企業の導入事例を紹介するインタビュー動画は、顧客のリアルな声を届け、製品やサービスの信頼性を高める強力なマーケティングツールです。しかし、いざ制作を検討する際、「一体どれくらいの費用がかかるのか?」「費用の違いは何で決まるのか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、動画制作のプロが、導入事例インタビュー動画の費用相場から、具体的な料金体系、そして費用を抑えるための実践的なコツまで、分かりやすく解説します。
導入事例インタビュー動画が持つ3つの効果
導入事例インタビュー動画は、単なる「お客様の声」ではありません。見込み顧客の購買意欲を高め、ビジネスを加速させるための戦略的なコンテンツです。まずは、その具体的な効果を3つのポイントで見ていきましょう。
1. 顧客の共感を呼び、信頼性が向上する
第三者である顧客が自らの言葉で語る成功体験は、企業が発信する情報よりも客観的で説得力を持ちます。だからこそ、同じような課題を抱える見込み顧客は、インタビュー内容への共感度合いも強くなり、「この会社なら自分たちの課題も解決してくれるかもしれない」という期待感の醸成につながります。
文章や写真だけでは伝わりきらない、顧客の表情や声のトーンなどの非言語情報が、メッセージの信憑性をさらに高めてくれるのです。
2. 製品・サービスの具体的な利用イメージが伝わる
インタビューだけではなく具体的な利用シーンも動画にすることで、製品やサービスが「どのように使われ」「どのような成果につながったのか」を、実際の利用者の視点から具体的に示すことができます。
これにより、見込み顧客は自社に導入した際の活用シーンを鮮明にイメージしやすくなります。機能やスペックを羅列するだけでは伝わらない「利用価値」や「便益(ベネフィット)」を、ストーリーとして伝えられるのが導入事例インタビュー動画の大きな強みです。
3. WebサイトやSNSなど、多様な媒体で活用できる
一度制作した動画は、企業の資産として様々な場面で活用できます。Webサイトのトップページや導入事例ページへの掲載はもちろん、YouTubeやFacebook、LinkedInといったSNSでの広告配信、展示会や商談時のプレゼンテーション資料、メルマガでの配信など、媒体横断で再活用しやすく、長期的に使える資産になります。一つの動画コンテンツを多角的に展開することで、費用対効果を最大化できます。
導入事例インタビュー動画の費用相場と料金体系
さて、ここから本題である費用について解説します。インタビュー動画の制作費用は、何をどこまで依頼するかによって大きく変動します。
費用相場は30万円〜100万円と幅広い
結論から言うと、導入事例インタビュー動画の費用相場は30万円〜100万円程度と幅広いです。
また、制作前提条件としては、概ね下記のようなものが多いです。
- 制作本数:1本
- 動画の長さ(尺):2〜5分程度
- BGM:あり
- 撮影:準備、撤収含めて3〜8時間程度
- スタッフ:ディレクター・カメラ・音声を1人で兼任(最小構成)〜3名で分担(標準)
- ロケハン(撮影場所の下見):予算に応じて実施
- インタビュアー:発注側の企業で担当
シンプルな構成で撮影・編集のみを依頼する場合は30万円〜50万円程度に収まることもありますが、企画から構成、複数拠点での撮影、アニメーションの追加など、こだわれば100万円を超えるケースも珍しくありません。また、撮影日数が増えるなどの要素が加わると200万円近くなることもあります。
プラン | 特徴 | 価格 | こんなときにおすすめ |
---|---|---|---|
ライト | ・撮影1日・1拠点 ・1カメ ・簡易照明 ・基本編集 | 30〜50万円 | まず1本試したい・営業同行用 |
スタンダード | ・1〜2日 ・2カメ可 ・複数拠点 ・テロップ充実・簡易モーショングラフィック | 60〜100万円 | Web・展示会・SNSまで多用途に展開 |
アドバンス | ・複数日・複数拠点 ・2〜3カメ ・照明・音声専任 ・アニメ・インフォグラフィック多用 | 130〜200万円+ | 抽象度が高い商材の可視化/広告配信を想定 |
では、この価格差がどこから生まれるのか、費用の内訳を見ていきましょう。
費用の内訳(何にお金がかかるか)
費用の内訳①:企画・構成費
動画制作の設計図となる部分です。誰に、何を伝え、どのような行動を促したいのかを明確にし、インタビューの質問項目や全体のストーリーラインを設計します。この企画の質が動画の成果を大きく左右するため、非常に重要な工程です。費用相場は5万円〜20万円程度ですが、ミニマムな予算の場合には項目としては割愛されることもあります。
費用の内訳②:撮影・人件費
撮影当日の費用です。ディレクター、カメラマン、音声、照明といった専門スタッフの人件費や、カメラ・レンズ・マイクなどの機材費が含まれます。撮影の規模(日数、場所、スタッフの人数、使用するカメラの台数など)によって費用は大きく変動します。1日の撮影で10万円〜30万円程度が目安となります。
費用の内訳③:編集・制作費
撮影した映像素材をつなぎ合わせ、一つの動画に仕上げる工程です。カット編集、テロップ(字幕)の挿入、BGMや効果音の追加、色味の調整など、作業内容は多岐にわたります。動画の長さや、アニメーション・CGといった特殊効果の有無によって費用が変動し、10万円〜40万円以上と幅があります。
費用の内訳④:その他(BGM、ナレーションなど)
上記以外にも、必要に応じて様々な費用が発生します。
- BGM・効果音利用料:著作権フリー素材か、有料の高品質な音源かによって費用が変わります。(1万円〜5万円程度)
- ナレーション料:プロのナレーターに依頼する場合に発生します。(3万円〜10万円程度)
- スタジオ利用料:自社オフィス以外で撮影する場合に必要です。(2万円〜10万円/時間 程度)
- 交通費・宿泊費:遠方での撮影の場合に発生します。
費用を左右する3つのポイント
費用相場に幅がある理由を、さらに具体的に掘り下げます。以下の3つのポイントが、最終的な見積もり金額を大きく左右します。
1. 撮影規模(場所、日数、カメラの台数)
最も分かりやすく費用に影響するポイントです。撮影場所が複数にわたる、撮影日数が2日以上になる、あるいはインタビュイー(インタビューを受ける人)の表情と製品のアップを同時に撮るためにカメラを2台以上使う、といった場合は、スタッフの拘束時間と機材量が増えるため、費用は上がります。
2. 動画の長さと編集の複雑さ
動画の尺が長くなればなるほど、編集に必要な工数が増えるため費用は高くなります。また、単に映像をつなぐだけでなく、凝ったテロップやエフェクト、インフォグラフィックなどを多用すると、編集の難易度が上がり、その分費用も加算されます。
3. アニメーションやCGの有無
実写映像だけでは説明が難しいサービスの流れや、目に見えないシステムの仕組みなどを分かりやすく表現するために、アニメーションやCGを用いることがあります。これらは専門的なスキルを要する高度な作業となるため、費用が大きく上乗せされる要因となります。相場としては10万円〜50万円が目安ですが、クオリティによっては100万円を超えることもあります。
導入事例インタビュー動画制作の具体的な見積りの例
それでは、30万円で制作する場合と100万円で制作する場合の具体的な見積りの例を見ていきましょう。
¥300,000の場合の費目と費用
制作前提条件
- 制作本数:1本
- 動画の長さ(尺):2〜5分程度
- BGM:あり
- 撮影:準備、撤収含めて3〜4時間程度
- スタッフ:ディレクター・カメラ・音声を1人で兼任
- ロケハン(撮影場所の下見):無しの可能性あり
- インタビュアー:発注側の企業で担当
見積り項目
- 進行管理費:¥60,000
- ディレクション費:¥80,000
- 撮影費:¥70,000
- 編集費:¥60,000
- 車両費:¥20,000
- 制作雑費:¥10,000
この条件で制作可能な動画のサンプル
※掲載動画の制作金額を示すものではありません。
¥1,000,000の場合の費目と費用
制作前提条件
- 動画の長さ(尺):〜5分程度
- BGM:あり
- 撮影:準備、撤収含めて1〜2日
- スタッフ:ディレクター1名、カメラマン1名、照明1名、アシスタント1〜2名、音声1名の合計4〜6名
- ロケハン(撮影場所の下見):実施する
- インタビュアー:発注側の企業で担当or制作側で担当
見積り項目
- 進行管理費:¥130,000
- 企画構成費:¥120,000
- ディレクション費:¥150,000
- 撮影費:¥100,000
- 音声費:¥60,000
- 照明費:¥150,000
- アシスタント費:¥40,000
- 編集費:¥150,000
- 車両費:¥30,000
- 制作雑費:¥20,000
- ロケハン費:¥30,000
この条件で制作可能な動画のサンプル
※掲載動画の制作金額を示すものではありません。
見積りで見落としがちな費用
下記は、見積もり時に見落としがちですが発注側としては「必要だと思っていた…」となりがちな項目です。
- 出演同意・ロケ許可取得の稼働(社内法務確認含む)
- 音源・フォント・画像のライセンス範囲(二次利用や広告配信)
- 天候予備日の待機費/再撮影費の扱い
- 全編字幕・英語版など多言語対応(翻訳/焼き込み/SRT)
- セキュリティエリア撮影の申請・立ち会い対応
導入事例インタビュー動画の費用を抑える4つのコツ
「品質は担保しつつ、できるだけ費用は抑えたい」というのが本音だと思います。ここでは、動画制作のプロが実践しているコスト削減のコツを4つご紹介します。
1. 制作の目的とターゲットを明確にする
「誰に、何を伝えて、どうなってほしいのか」という目的を明確にしましょう。目的が曖昧なまま制作を進めると、不要な演出を加えてしまったり、後から修正が多発して追加費用がかかったりする原因になります。目的が明確であれば、制作会社も最適なプランを提案しやすくなり、無駄なコストを削減できます。
2. 撮影場所や出演者を自社で手配する
インタビューの撮影場所を自社の会議室など費用のかからない場所にしたり、質問内容を自社で考えて決めるなどで、制作会社の工数を減らすことで、その分のディレクション費用を削減できる場合があります。
3. 複数の動画をまとめて依頼する
もし複数の導入事例を動画化する計画があるなら、一度にまとめて依頼することをおすすめします。1本ずつ個別に発注するよりも、企画や撮影を効率化できるため、1本あたりの単価を下げられる可能性が高まります。「ボリュームディスカウント」を交渉してみましょう。
4. テンプレートやパッケージプランを活用する
制作会社によっては、インタビュー動画に特化したパッケージプランや、デザインのテンプレートを用意している場合があります。これらを活用すれば、企画や編集を一から行うよりも費用を大幅に抑えることが可能です。クオリティと費用のバランスが取れたプランがないか、相談してみると良いでしょう。
よくある質問
- 事例動画の相場は?
-
事例動画の相場は30〜100万円が目安。前提はインタビュー中心・尺60〜120秒・撮影1日・修正2回・初稿5〜10営業日。拠点数/撮影日数の増加、インサートカット(B-roll)やモーショングラフィックス、多言語字幕、短納期対応の有無で上下する。
- 事例動画の相場の内訳は?
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内訳の目安は企画/PM10〜20%、撮影(人件費・機材)30〜40%、編集20〜30%、テロップ・色・音10〜15%、交通・実費5〜10%、管理・予備5〜10%。スタジオ・ヘアメイク・ロケ許可・ナレーション・多言語字幕・素材ライセンスは含む/含まないの扱いが分かれるため、見積り本文で明記してもらう。
- 事例動画の相場帯は?
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相場帯はライト30〜50万円(1拠点・1カメ・インタビュー+最小インサートカット/編集1週/修正2回)、スタンダード60〜100万円(撮影1日・2カメ・インサートカット/簡易図解/色・音調整)、アドバンスト130〜200万円(複数拠点・再現カット厚め・簡易MG・多言語のいずれか)。拠点追加・短納期・高度MGで200万円超も想定する。
まとめ:費用対効果の高いインタビュー動画でビジネスを加速させよう
本記事では、導入事例インタビュー動画の費用相場から料金の内訳、そして費用を抑えるための具体的なコツまでを解説しました。
インタビュー動画の費用は30万円〜100万円と幅広く、状況により200万円を超えることもあります。その価格は「撮影規模」「動画の長さと編集の複雑さ」「アニメーションの有無」などによって決まります。費用を抑えるためには、「目的の明確化」「自社での協力」「まとめ発注」「プランの活用」といった工夫が有効です。
導入事例インタビュー動画は、決して安い投資ではありません。しかし、その分、見込み顧客の信頼を獲得し、商談を有利に進める強力な武器となります。重要なのは、費用と品質のバランスを見極め、自社の目的に合った最適な制作会社を選ぶことです。
株式会社caseでは、BtoBにおける動画活用に精通したプロフェッショナルが、お客様の課題解決に直結する導入事例インタビュー動画を企画から一貫して制作しています。 「まずは何から始めたらいいか分からない」「自社の場合はいくらくらいになるのか知りたい」といった初期段階のご相談も大歓迎です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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