動画制作、Web制作、システム開発、コンサルティングなど、BtoBサービスをご提供する私たち制作会社にとって、「提案」や「見積もり」を無料で行うのはもはや常識です。
私たち株式会社caseも例外ではありません。この段階で費用が発生するとどうしても機会損失につながってしまいます。しかし、「無料」だからといって、その仕事が楽・簡単なわけでは決してありません。
むしろ、この無料提案のフェーズこそ、制作会社が最も頭を悩ませ、情熱を注ぎ込む「最初の戦い」なのです。
お客様にとって最重要なのは「完成した制作物」であることは理解しています。提案・見積もりはあくまで“通過点”かもしれません。しかし、その“通過点”の進め方を少し工夫するだけで、お客様と制作会社の双方がより良い結果を生み出せると私たちは考えます。
今回は、私たちが考える「より良い提案を生むための、お客様へのお願い」を3つのヒントとしてご紹介します。
💡 ヒント1:「会社の目標」と「個人の想い」を分けて伝えてもらう
提案の場面で、ときどき「もったいない」と感じるすれ違いがあります。
制作会社は「選ばれるための提案」を目指し、お客様は「目的を叶える提案」を求めているというズレです。
理想:選ばれる提案= 目的を叶える提案
しかし現実はそうならないこともあります。
- 会社としては: 「認知拡大」や「売上向上」が目的。
- 担当者としては: 「上司に怒られないように円滑に進めたい」「できるだけ手間をかけたくない」といった個人の想い。
この両者が混ざった状態でご相談をいただくと、制作会社としては「成果を最大化できる提案」ではなく、「手間がかからず、炎上しにくい無難な提案」を目指してしまうことがあります。
もし、「実は忙しくて、進行の手間を最小限に抑えたい」という想いがあるなら、ぜひ正直に教えてください。私たちもその事情を考慮し、成果を追求しつつ、お客様の負担を減らす工夫を盛り込んだ提案ができるようになります。
💡 ヒント2:提案後のフィードバックが、未来の提案の質を上げる
特に「失注してしまった案件」の場合、その理由や感想を少しでもお聞かせいただけると、制作会社としては本当に助かります。
無料とはいえ、私たちも時間と労力をかけています。「なぜ他社を選ばれたのか?」「私たちの提案の何が響かなかったのか?」をフィードバックいただけるだけで、次に私たちがご提供できる提案の質は格段に向上します。
お客様側には直接的なメリットが少ないと感じるかもしれません。しかし、丁寧にフィードバックをくださるお客様は制作会社にとっては非常に貴重な存在です。結果として、次回ご相談いただく際に「より良い提案」を受けやすくなるのは間違いありません。
断りの連絡は心苦しいと思いますが、「競合他社は費用が安かった」「〇〇の点でA社のほうが魅力的だった」で終わらず、もう少し具体的に「もっとこうしてくれると嬉しかった」「他社はこんな点が優れていた」などのフィードバックをいただけると嬉しいです。
💡 ヒント3:できれば「決め打ち発注」できる関係を目指す
少し踏み込んだ話になりますが、私たちが考える最も理想的な関係は、相見積もりなしで最初から1社に「決め打ち」できる関係です。
発注側のメリット
- 工数削減: 3社に声をかけた場合、同じ説明を繰り返し、提案を比較検討するだけで1営業日以上の工数を要することもあります。
- 建設的な議論へ: その時間を「どの会社に頼むか」ではなく、「どんなコンテンツを作るか」の議論に充てられます。
制作側のメリット
- リソース集中: 「競合に勝つための提案」に割いていたリソースを、そのまま「作品の質」に集中できます。
- 専門家の早期関与: プロデューサーやディレクターが企画の早い段階から関われるようになり、より深みのある提案が可能になります。
もちろん、全く知らない会社にいきなり決め打ちは難しいでしょう。
まずは一度お取引いただき、「この会社は信頼できる」と感じたら、次から「基本的には御社にお願いしようと思っています」というスタンスで進めてみてはいかがでしょうか?
社内規定で相見積もりが必要な場合でも、この一言があるだけで、私たち制作側も無駄な工数を減らし、よりお客様の目的達成に直結した提案に集中できるようになります。
結論:すべての土台は「信頼関係の積み重ね」
結局のところ、すべては私たち制作会社が「信頼に足る存在」であるかにかかっていると、この記事を書いて改めて感じました。
お客様が安心して意思決定できること。そして、私たちがその予算の中で最大限の価値を提供すること。このサイクルを回すために、私たちは日々、お客様との信頼関係を築く努力を続けるしかありません。
もし、私たちのこの考えに共感いただけたなら、ぜひ次回、動画制作などを検討される際には、弊社にもお声がけください。そして、提案後に少しだけでもフィードバックをいただけたら、大変嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。この話が、発注側・制作側の双方にとって、より良いパートナーシップを築く一助となれば幸いです。

