新卒採用の担当として、コンセプト動画の予算の確保や見積りの比較でお困りではないでしょうか。
①相場と内訳の根拠を聞かれて答えに詰まる
②直発注と代理店経由の費用差を説明できない
③60秒/90秒、実写/MG、16:9/9:16の判断に時間を要する。
…など、コストパフォーマンスを高めようとすると、いくつかの壁にぶつかってしまい時間がかかってしまうということはよくあることではないでしょうか。
特に、コンセプト動画はインタビュー動画などと比較すると制作プロセスや動画の構成要素が複雑で費用の根拠を説明するのが難しいため、お困りの方も多いと思います。
本記事では、新卒採用のコンセプト動画制作における相場・予算・費用の内訳を徹底的に解説します。実写・MG(モーショングラフィックス)・ハイブリッドの費用差、60秒と90秒の価格差、直発注と代理店経由の違い、さらに追加要件(縦型9:16、英語字幕、特急対応)による価格変動まで、稟議に必要な情報を網羅しています。
この記事の要点
- 相場レンジ:実写とモーショングラフィックス(MG)ハイブリッド60秒で90〜200万円、MG特化で80〜150万円が目安
- 費目の標準比率:撮影20〜35%、編集15〜25%、MG15〜35%、企画・PM10〜20%
- 追加要件の加算率:縦型9:16再編集+10〜20%、特急対応+20〜40%、英語字幕+5〜10万円
- 直発注のメリット:代理店経由と比較して20〜40%程度のコスト削減、意思決定速度の向上
- 見積依頼時のチェックポイント:費目の明細化、修正回数、二次利用範囲の明文化が必須
新卒採用向けのコンセプト動画とは何か

数字や制度などの「条件・スペック」だけでは動かない学生に、企業の“熱量”を届けるのがコンセプト動画です。理念・価値観・働く意義を物語として描き、共感を促すことで次のアクションを生み出すことを目的としています。
コンセプト動画が新卒採用に有効な理由
- 差別化:テキストや静止画では伝わらない「らしさ」を表現
- 共感形成:ストーリーと映像・音楽の組み合わせで感情に訴え
- 記憶定着:視覚・聴覚の複合刺激で印象を強化
- 拡散性:SNSでのシェアを促進し、母集団形成を加速
新卒採用 コンセプト動画の費用相場(最新ガイド)
見積もりの数字に振り回されないために、“どの仕様ならいくらか”を先に押さえましょう。判断の速度も、社内説明の説得力も上がります。
新卒採用のコンセプト動画制作費は、実写の比重・尺・MG(モーショングラフィックス)の量・納期によって大きく変動します。以下は代表的なモデル別の相場レンジです。
モデル | 想定される内容 | 相場(税別) | 標準期間 | 短納期可否 |
---|---|---|---|---|
実写MGハイブリッド | 社員インタビュー+MG | 90〜200万円 | 4〜6週間 | ◯ |
MG特化 | アニメーション中心 | 80〜150万円 | 3〜5週間 | ◯ |
インタビュー型 | 実写中心・複数出演者 | 100〜180万円 | 5〜8週間 | △ |
30秒×3本セット | 撮影1日・用途別編集 | 100〜160万円 | 3〜5週間 | ◯ |
※金額は税別の目安。撮影日数・撮影の規模・修正回数・二次利用範囲により変動します。
実写MGハイブリッド
MG特化
インタビュー型
相場が変動する主な要因
- 撮影日数:1日撮影と2日撮影では+20〜30万円
- 出演者数:社員3名以上でスケジュール調整・ヘアメイク費などが増加
- ロケ地:スタジオ利用+5〜10万円/遠隔ロケは交通・宿泊費が追加
- MG比重:複雑なアニメーションは工数増
- 納期:特急(2〜3週間)は+20〜40%
費用の内訳と標準比率

下表は、新卒採用コンセプト動画の費目別・標準比率の目安です。
費用目 | 比率の目安 | 備考 |
---|---|---|
企画・PM(プロジェクトマネジメント) | 10〜20% | 要件定義、進行管理、承認調整 |
撮影 | 20〜35% | クルー、機材、ロケ費、ヘアメイク |
編集 | 15〜25% | カット編集、テロップ、字幕 |
MG(モーショングラフィックス) | 15〜35% | デザイン、アニメーション制作 |
ナレーション・BGM・MA | 5〜10% | ナレ収録、楽曲ライセンス、整音 |
カラーコレクション | 3〜5% | 色調補正、ルック統一 |
打ち合わせ・納品 | 2〜5% | 各種フォーマット書き出し・検収 |
雑費 | 5〜10% | 交通費、通信費、予備費 |
※あくまでも一例となります。制作する動画によって大きく変動します。
見積書で確認すべきポイント
- 費用の明細化:どの費目にどこからどこまでの作業項目が含まれるかを確認する
- 修正回数:標準2〜3回、超過時の追加費用を明記
- 二次利用範囲:媒体・期間・地域を明文化
- 配信形式:MP4/MOV、解像度(FHD/4K)、比率(16:9/9:16)
- プロジェクトファイル:納品の可否と追加費用(+10〜50%)
追加要件と手当率の目安
公開先や活用幅を広げるほど、必要な作業も増えます。後からの追加は割高になりがちなので、最初に“必要十分”を決めておくのがコツです。
基本計画に加えて、以下の追加要件が発生する場合、費用が加算されます。稟議では、これらを事前に洗い出して予算に組み込みましょう。
追加要件 | 加算率・追加費用 | 備考 |
---|---|---|
縦型9:16再編集 | +10〜20% | テロップ・構図の再設計が必要 |
多比率セット(16:9/9:16/1:1) | +20〜35% | 3形式を同時最適化 |
日本語字幕 | +5〜10万円 | 原稿整備・整字・検証 |
多言語ナレーション | +10〜20万円/言語 | 収録・整音・タイミング調整 |
特急対応(2〜3週間) | +20〜40% | 修正回数は1回に制限されることが多い |
追加撮影日 | +20〜30万円/日 | クルー・機材・ロケ費 |
スタジオ利用 | +5〜10万円 | 半日〜1日レンタル |
プロジェクトファイル納品 | +50〜100% | ライセンス再適用の可否に注意 |
※手当率は基本制作費に対する割合です。
コスト圧縮のチェックリスト
- ロケ1拠点に滞在:移動時間・交通費を削減
- 出演は社員中心:外部キャストの起用を避ける
- 既存素材活用:ロゴ・写真・UI素材・過去動画を提供
- MGで代替:撮影が必須でない説明はMGで対応
- ナレは日本語のみ先行:多言語展開は後段で検討
- 縦型起点で横へ展開:9:16を基準に16:9へリサイズ
実写・MG・ハイブリッドの費用差
「誰に何をどう感じてほしいか」から逆算して表現を選ぶと、過不足のない構成になります。目的に合わせて最適解を選びましょう。
新卒採用のコンセプト動画は、実写・MG(モーショングラフィックス)・ハイブリッドの3手法に大別されます。それぞれの費用構造と適性を理解しておくと、議論が早くなります。
表現手法 | 費用レンジ(60秒) | 費用構造 | 適性 |
---|---|---|---|
実写中心 | 80〜200万円 | クルー・機材・ロケ費が本体 | 社員の人柄、現場の雰囲気を伝えたい |
MG中心 | 80〜150万円 | デザイン・アニメーション工数 | 抽象概念やビジョンを分かりやすく |
ハイブリッド | 90〜200万円 | 撮影+MGの両工数 | 共感と理解を両立させたい |
※いずれも税別の目安。尺や難度で変動します。
実写のメリット・留意点
メリット:社員の表情や空気感、製品の質感をリアルに伝えられ、共感形成に強い。
留意点:撮影日程調整・ロケ許可・天候リスク・出演者の緊張。費用が上振れしやすい。
MGのメリット・留意点
メリット:撮影不要で納期短縮。概念・データ・未来像の表現に適し、修正が柔軟。
留意点:人の温度感が伝わりにくい。複雑なアニメーションは工数が増加。
ハイブリッドのメリット・留意点
メリット:実写の共感性とMGの理解促進を両立。情報量が多く、記憶に残りやすい。
留意点:両方の工数が発生し、中間コスト・中間納期になりがち。デザイン統一に注意。
直発注と代理店経由の費用差

新卒採用向けの動画制作の場合、代理店経由の発注・制作になることも多くあります。どちらが正解ということはありませんが、コストの観点では、間違いなく直発注の方がリーズナブルな制作が可能になります。
また、進行速度・柔軟性にも影響があるため、代理店への発注と直接の発注が選べる場合には下記の表をご参考ください。
項目 | 直発注 | 代理店経由 |
---|---|---|
コスト透明性 | 高(費目×工数が見える) | 中(マージン分が不透明) |
マージン | なし | 10〜30%相当 |
意思決定速度 | 速い(ディレクターと直で調整) | 遅め(営業→制作の二段階) |
窓口 | 制作会社ディレクター | 代理店営業担当 |
表現の柔軟性 | 高(即相談・即判断) | 中(伝言ゲームのリスク) |
短納期対応 | ◯(工程調整が柔軟) | △(承認ステップが多い) |
対応工数 | 高(制作会社と直接のコミュニケーション) | 中〜高(代理店が自社との付き合いが深い場合は工数減につながる) |
※代理店経由の利点は、複数メディアの統合管理や広告運用との連携にあります。
直発注を推奨するケース
- 予算を最大限活用したい:マージン分をクオリティに投資
- 短納期が求められる:承認ステップを最小化
- 細かな表現調整が必要:ディレクターと直接対話
- 費用の根拠を明確にしたい:稟議資料に内訳を添付
代理店経由を推奨するケース
- 複数メディアを統合管理:動画・Web・広告を一元化
- 広告運用との連携:配信設計・効果測定まで任せたい
- 社内リソースが不足:窓口を一本化して負荷軽減
見積依頼時のチェックリスト

事前整理が精度とスピードを生みます。以下を埋めて依頼すれば、見積のブレが減り、社内承認もスムーズです。
新卒採用のコンセプト動画制作を依頼する際、以下の項目を事前に整理すると、見積の精度が上がります。
必須項目
- 目的・KPI:説明会申込率、内定承諾率など具体的に
- 学生ターゲット:学部・専攻・志向性(例:理系院生、地方国立大、ベンチャー志向)
- 想定尺と比率:60秒/90秒、16:9/9:16/1:1
- 実写・出演者:社員インタビュー、オフィス風景、製品デモなど
- 参考動画:3本以内、具体URL
- 利用メディアと二次利用範囲:採用サイト、YouTube、SNS、ナビサイト、説明会など
- 納期:使用日の1週間前を目標に設定
- 希望予算範囲:税別。上限を明記
- 修正回数の上限:標準2〜3回、超過時の追加料金
推奨項目
- 手持ち素材の有無:ロゴ・写真・UI素材・過去動画
- 禁止表現・NGワード:使ってはいけない表現を明記
- ブランドガイドライン:色・フォント・トーン
- 承認フロー:意思決定者とステップ
- 短納期の見通し:必要性と許容加算率
権利・法務のチェックリスト
公開直前の差し戻しは、費用・時間・信頼の損失につながります。最初に法務の“地雷”を踏まない準備をしておきましょう。
新卒採用のコンセプト動画制作では、肖像権・著作権・二次利用範囲の取り扱いが重要です。以下を事前確認しましょう。
出演者・撮影関連
- 出演同意書:社員本人・上長の承諾、使用媒体・期間を明記
- ロケ許可:オフィス・工場・店舗の撮影許可、映り込み配慮
- 第三者の映り込み:顧客・取引先の顔・商標・機密情報のマスキング
楽曲・素材関連
- BGM素材:商用利用・媒体・期間の確認(必要に応じてJASRAC等の手続き)
- フォントライセンス:商用利用・動画への埋め込み可否を確認
- ストック素材:写真・イラスト・映像のライセンス範囲
二次利用・納品関連
- 二次利用範囲:媒体(Web/SNS/ナビ/説明会)、期間(1年/無期限)、地域(国内/海外)
- プロジェクトファイル納品:再編集の可否、追加費用(+10〜50%)
- クレジット表記:制作会社名の記載要否
- 素材再利用:撮影素材・MGパーツの流用可否
※二次利用範囲が未明確だと、後日の追加費用・差し替え対応が発生します。契約時に明確化することを推奨します。
よくある質問(FAQ)
- 60秒と90秒で費用差はどれくらい?
-
90秒は60秒と比較して+10〜20%が目安。実写中心なら+15〜20%、MG中心なら+10〜15%が一般的です。
- 実写とMGはどちらが高い?
-
実写は撮影クルー・機材・ロケ費で上振れしやすく100〜180万円、MGは工期と難度で上振れし80〜130万円が目安。ハイブリッドは90〜150万円です。
- 直発注はどれぐらい安くなる?
-
案件規模により20〜40%程度のコスト削減が目安。マージン分が不要になり、意思決定も迅速に。ただし複数メディア連携が必要なら代理店経由の方が適する場合もあります。
- 特急対応の加算率は?
-
標準4〜6週間を2〜3週間に短縮する場合、+20〜40%が目安。修正回数は1回に制限されることが多く、承認フローの迅速化が前提です。
- 二次利用の費用はどう決まる?
-
楽曲・ナレーション等の契約により、使用媒体・期間・地域で増減します。例:Web限定1年と、Web+SNS+ナビ無期限では後者が+10〜30万円程度高くなることがあります。
- ナレーションと字幕の料金感は?
-
日本語ナレーション8〜15万円、字幕制作3〜8万円が目安。多言語ナレーションは+10〜20万円/言語、英語字幕は+5〜10万円です。
- プロジェクトファイル納品は可能?
-
多くの制作会社が+10〜50%程度で対応。楽曲・フォント・ストック素材のライセンス再適用可否に注意してください。
まとめ:新卒採用コンセプト動画の費用を最適化する
動画制作の費用は、動画制作の外注に慣れていないと難しい部分が多いと思います。そのため、基本的には複数の会社に相見積りをとることで相場感を把握することが重要ですが、この記事では敢えて細かくご紹介してみました。
少しでも参考にしていただき、よりよい動画制作につなげていただけますと幸いです。
費用最適化のポイント
- 目的とKPIを明確化:説明会申込率、内定承諾率などを設定
- 直接発注も検討:マージン分を品質に投資、意思決定を高速化
- 全ての素材を活用:ロゴ・写真・UI素材を提供し、撮影工数を削減
- 縦型起点で横へ展開:9:16を基準に16:9へリサイズし追加コストを抑制
- 二次利用範囲を事前確定:媒体・期間・地域を明文化して後日の追加費用を回避
情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
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