この記事をお読みの方であれば、きっと「プロモーション動画」という言葉を聞いたことがあると思います。しかし、その言葉が指し示す意味は広く、動画制作の世界でも明確に定義されていないため何かを意味しているようで共通のイメージを持つことは難しいというのが現状です。
本記事ではそんな「プロモーション動画」について定義しながら制作を検討する際のポイントについて解説し、様々な会社のプロモーション動画の事例をご紹介します。
プロモーション動画とは?
そもそも、プロモーションとはどのような意味でしょうか。
販売などを促進すること。販売促進のための宣伝活動。売り込み。〔外来語辞典(1914)〕
https://kotobank.jp/word/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-22487
調べてみると上記の説明がヒットしました。概ね、イメージしていたものと近いのではないでしょうか。
ただ、やはり「プロモーション」が指し示す言葉の意味は広く、
・TVCMやオンラインの動画広告
・展示会で放映する動画
・営業ツールとしての動画
これらすべてが、「プロモーション動画」と呼ぶことができます。
細かく紐解いていくと、「マーケティングとしてのプロモーション」「販促としてのプロモーション」など「プロモーション」という言葉自体を要素分解して位置づけを明確にしていく…ということもできますが、本記事の趣旨とずれてしまうため、本記事における「プロモーション動画」は上記の引用を参考にさせていただき、
販促のための動画
と定義したいと思います。
絶対に外せない制作のポイント
前段で、「プロモーション動画」とはを定義しましたが、ここからはプロモーション動画の制作を検討するにあたって、絶対に外せないポイントを4つに絞ってご紹介します。
ポイントは下記の4つになりますので、この4つについてはすでに十分に検討できているという方は読み飛ばしてください。
- 目的と動画の役割の設定
- 課題の明確化
- ターゲットの選定
- 予算の確保
1つずつ説明します。
①目的と動画の役割の設定
プロモーション動画の制作を検討しているということは、きっと何かしら達成したい目標や実現したい将来像があるはずです。しかし、その目標を達成するための「動画の役割」については実は不明瞭であるケースが多いです。
例えば、
- 最終的な目的(ゴール):とある製品(toB)の販売台数の増加
- そのための手段:展示会への出典をはじめとする営業機会の創出
だとすると、この状況で動画が果たしうる役割はどこにあるでしょうか。
展示会でよく見る動画からその役割を紐解いてみると、
- 来場者の目を引き、足を止めること
- 製品のコンセプトを伝えて、共感してもらうこと
- 製品の特徴や構造を伝えて、理解を促すこと
- 成功事例を伝えて、自社に導入するイメージをもってもらうこと
…という4つに集約されるので、おそらくこの4つのうちのいづれかということになるでしょう。
では、この「動画の役割」はどのように設定するとよいのでしょうか。次段で説明します。
②課題の明確化
動画の役割を決めるには、目的を達成するためのハードルとなっている「課題」を明確にする必要があります。
今回の場合、
- 最終的な目的(ゴール):とある製品(toB)の販売台数の増加
- そのための手段:展示会への出典をはじめとする営業機会の創出
という状況です。
考えられる課題は数限り無いと思いますが、例えば
- 製品自体の競争力が強いわけではなく、差別化が難しい
- 製品自体は魅力的だが、新しいコンセプトであるため理解してもらいにくい
- 製品の構造が複雑で、ベネフィットを伝えるのが難しい
などは、よくある課題だと言えます。もちろんここまで単純でクリアであることばかりではないですが、本記事ではあくまでもこれを仮定として進めたいと思います。
それぞれの課題に対して、動画の役割はどのように設定できるか考えてみます。
- 製品自体の競争力が強いわけではなく、差別化が難しい
→既存の導入事例をベースに、導入支援やアフターケアの手厚さをアピールする
- 製品自体は魅力的だが、新しいコンセプトであるため理解してもらいにくい
→製品のコンセプトをアニメーションや3DCGなどで解説する
- 製品の構造が複雑で、ベネフィットを伝えるのが難しい
→3DCGなどで製品の構造を解説し、理解・納得を促す
→構造の理解による納得ではなく、導入事例をベースとした具体的数値を伴う実績の紹介によってベネフィットを訴求する
…などが考えられます。
「課題によって動画が担うべき役割は大きく変わる」ということがなんとなくイメージできたでしょうか。
以上のように、「目的達成を阻む課題」によって動画でどのようにアプローチするべきかが変わるため、
「動画の役割」を決定するためには、課題を明確にすることが必要になります。
③ターゲットの選定
基本的な項目ですが、ここでいうターゲットは製品のセールスターゲットではなく、「動画の視聴ターゲット」を指しています。
セールスターゲット=視聴ターゲット、であるケースはもちろんありますが層ではないケースもあるためこの項目も改めて精査する必要があります。
例えば、今回は展示会で動画を活用することを想定しているため、
- 顕在化されたニーズを持つ人(展示している製品や社名に反応してくれる人)
- メンバーレイヤーの方
- 販売代理店
などの方々はセールスターゲットにはなっても視聴ターゲットではなく、
潜在的なニーズを持っている現場担当者
を視聴ターゲットである、と定めた場合には動画の内容は非常に専門的なものになると考えられます。
一方で、「展示会に出典しているのだからより多くの人に興味を持ってもらえる内容にしたい」と考えるケースもあります。前後しますが、このターゲットの項目も前段の「課題」や「動画の役割」と密接に関係します。
予算の確保
「動画の役割」が定まり、どのような動画を制作するべきかが明確になったとしてもそれを実現するための予算がなければ、「絵に描いた餅」で終わってしまいます。
言わずもがな…ですが、やはりお金は重要です。
一方で動画の制作費は動画制作の外注経験がある程度豊富な人でないと、アタリをつけることは難しいため「どれくらい予算が確保できればよいか?」を事前に把握することは難しいでしょう。
また、今回想定している展示会の場合は「展示会出典費用」として計上されているケースも多く「できる限り抑えたい」という力が働きやすい状況でもあります。
どうしても予算が確保できない場合には「用意できた予算の中でできることをやる」という判断もあるかと思います。
特に展示会の場合は「最適な動画」を用意することができればベストですが、「不適切な動画でなければ、それなりに機能する」という可能性も十分にあるため、予算がないから…と諦めるのは早計です。
プロモーション動画制作の流れと制作期間
動画制作の流れは、制作する動画の内容によって変動しますが、概ね下図のような流れで進行します。
詳しくはコチラの記事で解説しているので、お時間のある方はぜひご参考ください。
制作期間
制作期間もやはり制作する動画の内容によって変動しますが、
- 短いもの:1ヶ月(制作予算〜100万円)
- スタンダードなもの:2〜3ヶ月(制作予算〜300万円)
- 長いものの:4〜6ヶ月(制作予算300万円〜)
ざっくりであれば、上記のように考えると大きく外れることは少ないので、ご参考ください。
プロモーション動画制作の予算
制作予算もやはり制作する動画の内容や条件によって大きく変動するため、端的に伝えることが難しいのですが、後会を生まない範囲で言語化すると下記の様なイメージになります。
- 比較的簡易やモーショングラフィックス/アニメーション動画やインタビュー動画:〜100万円
- 少し凝ったモーショングラフィックスやアニメーション動画やCM動画:〜300万円
- 3DCGを用いた動画や、スタジオ・モデルなどをキャスティングした動画:300万円〜
実際にプロモーション動画の制作を検討される際には、Youtubeなどで制作したい動画のサンプルをピックアップしたうえで制作会社へ問い合わせると、具体的な見積金額を取得することが可能です。
コチラの記事に見積もりのコツをまとめていますので、ご参考ください。
制作に失敗しないために必要な4要素
動画制作を外注した経験のある人の中には、なんらかの理由で「失敗した」「上手くいかなかった」と感じている方がいます。筆者も制作会社の営業として担当したお客様からそのような「以前お願いした会社で上手くいかず…」という相談を受けたことが何度かあります。
詳細は下記の記事にまとめていますが、ここでは失敗しないために重要な4つのポイントをご紹介します。
適切な制作会社を選ぶ
「それができれば苦労しない」と言われてしまいそうですが、やはりこの点は重要です。
ここで端的にお伝えしたいのは、「信頼できる営業担当者を選ぶ」という視点をもってみることです。
筆者が動画制作に携わり始めた10年ほど前とくらべると動画制作会社は格段に増えました。そしてどの会社も甲乙つけがたいほど豊富な制作実績を持っています。(弊社はまだ会社としての実績は少ないですが…)
その中で何をポイントに選ぶか?の1つのポイントが上記の「信頼できる営業担当者を選ぶ」という視点です。
詳しくは下記の記事にまとめていますが、端的にお伝えすると、
- 優秀な営業担当は、優秀なプロデューサー、優秀なクリエイターをアサインできる
- 優秀な営業担当は、無用なトラブルを避けてくれる
- 優秀な営業担当は、コミュニケーションがスムーズ
という3点です。「絶対この会社がいい!」と思える会社が見つからず悩むことがあればぜひ参考にしてみてください。
そしてもし悩むようであれば、ぜひ筆者にもご相談ください。
スケジュールに余裕を持つ
基本的なことではありますが、何らかの理由で急いで制作を進めなければならないケースもあります。そのような場合、
- 人的なリソースを確保するために通常スケジュールでの進行よりもお金がかかる
- 急ぐ分、準備・確認に通常より時間を割くことができず何らかのトラブルが起きる可能性が高くなる
…というリスクがあります。
会社によっては、短納期でも費用を抑えて制作してくれる会社もあるかもしれませんがそれでもスケジュールを短縮するということは、どこかでなにかを犠牲にせざるを得ません。
もちろん、通常スケジュールよりもトラブルが起きる可能性が高まるというだけで、「必ずトラブルになる」「失敗する」わけではありません。制作に慣れているプロが進行する以上、トラブルの種は極力排除し最大限問題なく進行できるよう尽力することは間違いありません。
ただ、それでも想定外のトラブルに見舞われることもあるのが動画をはじめ、クリエイティブ制作の現場です。
だからこそ、できる限りスケジュールには余裕を持つことを強くおすすめします。
制作内容によって変動しますが、採用動画であれば、最低2ヶ月。できれば3ヶ月ほど制作スケジュールが確保できると良いでしょう。
上記はあくまでも「制作期間」なので、制作会社を選んだり正式に発注するまでのリードタイムがどれくらい必要になるかについては、自社の稟議や予算申請のフローについて事前に把握しておく必要があります。
完成イメージをできるだけ具体的にする
いざ、動画制作をスタートする際には制作会社側からどのような動画が完成する予定であるかは絵コンテやシナリオなどの資料を用いて説明があるはずです。
動画制作に慣れていれば、そのような資料で具体的なイメージを持つことができますが、初めての場合にはそれでもイメージが難しいこともあるでしょう。
そのような場合には、遠慮なく制作会社側に質問してイメージの具体化に努めましょう。
制作過程で完成イメージの認識の相違などのズレが生じてしまうと、軌道修正には時間とコストがかかってしまいます。
社内調整を怠らない
発注側の企業の担当者の方の役割の1つが、自社内のステークホルダーとの共通認識の形成です。
- こんな目的でこんな動画を制作します。
- これが完成イメージです。
- いつころ完成良い体です。
- このタイミングでシナリオや動画を確認して、いつまでにフィードバックしなければなりません
…などなど、動画制作の背景や前提、クリエイティブイメージ、スケジュールなどについて関係者としっかりと「握る」ことができていないと、後になって「どんでん返し」が起きることは珍しいことではありません。
特に、動画制作について最終的なOKを出せる決裁権者とのすり合わせは重要です。
最後に
いかがでしたでしょうか。少し長くなりましたが、「プロモーション動画」の制作を検討するにあって、外せないポイントや失敗しないためのコツが少しでも参考になれば幸いです。
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