動画制作の外注における相場や料金表が「わかりにくい」3つの理由

動画制作を検討する際に、「いったいどれくらいの費用がかかるのか?」「いくらくらいの予算を用意すればよいのか?」と考えて、「動画制作 相場」「動画制作 費用」などのキーワードで検索したことがあるのではないでしょうか。

そして、おそらく不明瞭な情報ばかりで満足できる詳細な情報を見つけ出すことはできず、結果的に制作会社に問い合わせて見積りをもらうまでは正確な金額はわからなかったのではないでしょうか。

本記事では、このような経験をお持ちの方に向けて「なぜ動画制作の料金表や相場が公開されていないのか」あるいは「公開されている情報に曖昧なものが多いのか」について、動画制作会社で何百枚と見積書を作成してきた筆者が解説します。

目次

理由①相場はあるようで無い。無いようである。

動画制作の相場はあるようで無い

動画制作にはいくらくらいの予算が必要なのか?と聞かれると、「どのような動画を制作することをお考えですか?」と100%逆質問されることになります。とても当たり前のことなのですが、どれくらいの予算が必要なのかは「どのような動画を制作するか」によって大きく変動するためです。

そして「どのような動画」がかなり具体的にイメージできていたとしても、ある程度(数十万円〜100万くらい)の幅をもった金額感での回答しかできず、正確にその金額をお伝えすることは難しいです。(具体的なアウトプットのイメージができても、制作過程が異なれば制作費は大きく変わるため)

また、例えばYoutubeで適当な動画をピックアップして「この動画はいくらで制作できるか?」という質問であれば回答することはできますが、それはその制作会社の概算見積りであって「相場」とは言えません。

3〜4社ほど「同じ条件」で見積りを依頼して、見積書がでそろって初めておおよその「相場」を把握することができます。この意味で、動画制作における相場は「そこにある」もではなく、ある程度の条件が出揃った時に初めて「できる」ものであると考えて頂くと良いでしょう。

動画制作の相場は無いようである

筆者はこれまで400本以上の動画制作に携わってきました。また、失注してしまった案件も含めると1000枚以上の見積り書を作成しています。その上でお伝えできるのは、特定の動画を見れば「ざっくりこれくらいの金額かな」というのは推定することができます。(数十万円〜300万円くらいの予算で制作されたものであれば)

それは、例えば「これくらいのアニメーションだと、ディレクション・イラスト作成・編集・ナレーションにそれぞれいくらくらいで、合計でこれくらいの原価かな」とさっとはじき出せるということです。

つまり、ある程度作業を要素分解することで、それぞれの作業の単価をイメージすることは可能であり、その意味では相場は「ある」と言えます。

しかし、繰り返しになりますがそれは「特定の動画を見れば」という条件つきになります。

理由②料金表を用意するメリットはあまりない

例えば、ある料金表に撮影が1日10万円と記載されていて、読者の方が想定している動画の制作に2日間の撮影が必要だとします。

そうすると、当然発注側は撮影の費用は20万円だと想定するでしょう。しかし、そこまで単純に見積もる事ができないケースはたくさんあります。

例えば、制作する動画が比較的シンプルなインタビュー動画の場合でも、必要なカメラが1台なのか2台なのか3台なのか。音声はピンマイクで収録するのか、ガンマイクを用意するのか。照明は必要なのか。などは、発注側が期待しているクオリティや予算によって制作側が用意する体制は変わります。

そして、体制が変わると撮影1日10万円だったはずが、15万、20万と上がっていくことになります。

「では、料金表に撮影の条件を明記すればよいのでは?」とお思いになるでしょう。もっともなご意見だと思います。

しかし、仮に撮影が1日10万円とするその「撮影」に含まれる体制、具体的には機材や人の数、移動交通費を含むかどうか。準備・撤収を含めた稼働時間などなどを明記し、撮影以外の要素も細かく作業内容や稼働工数ごとに金額をオープンにしたとしても、発注側がそれらを正しく組み合わせて制作費用を見積もることは難しいのではないでしょうか。

つまり、

  • 料金表と異なる金額になる理由を明確に説明できたとしても、発注側の想定金額を超える可能性があり、それによるネガティブな心情は避けたい。
  • 詳細な料金表を用意したとしても、発注側が正しく計算できる可能性は高くない

このような理由から料金表を出すことによる制作会社側のメリットがデメリットを上回らないため、料金表そのものを用意している制作会社は少なく、また用意されている場合でも比較的「ざっくり」としたものになっているのです。

理由③クライアントごとに許容できるラインが異なる。

タイトルだけではわかりにくいと思いますが、これは「クライアントごとに利益率をどこまで下げられる(許容できるか)」の判断が変わってくるということです。そのため、動画制作の費用に関する情報を事細かにオープンにし難いというのが本音です。

これは正直、動画制作事業を営んでいる筆者としてはあまりお伝えするべきことでも無いのかもしれませんが、動画に限らず多くの事業でも当たり前にあることなので、ご説明したいと思います。

利益率を下げてでも、受注したい案件

例えば、目の前のお客様が、

  • 名のしれた大企業である
  • お付き合いの長い企業である

等の場合には、利益率を下げる(原価率を上げる)ことで見積りを調整することがあるでしょう。

①の場合はお客様としてお付き合いが始まれば、複数の部署との取引ができる可能性が広がるため、仮に目の前の案件では利益があまり確保できなくても将来的に回収し、大きな売上につなげることも期待できます。

②の場合は今後もお付き合いしたいという思いと、関係性がある程度構築できているからこそ他の企業の案件と比べると制作進行上のコストを抑えることができるという背景もありえます。

利益をしっかり確保しないと、受注しにくい案件

逆に、

  • 発注側の担当者とのコミュニケーションが上手くいかない
  • 継続的な取引の見込みが小さい

などの場合にはあえて利益を少なくしてまで取引したいとは考えない可能性が高いです。

例えば①の場合、発注側と制作会社側のどちらに問題があるにしても「コミュニケーションの相性が悪い」場合には、仮に受注できたとしても制作進行の過程で何らかの問題が発生し、案件が炎上してしまう可能性が高まります。そのため、利益率を下げるのではなく、むしろ高めの利益率を想定した見積りを用意して、そのようなトラブルが起きた場合に対応できる準備をしておきたいというのが、制作会社側の心理です。

また、②の場合にはシンプルに「この案件のみの取引」ということであれば、あえて利益率を下げて取引するインセンティブは働きにくいでしょう。(制作会社側の閑散期や担当営業の営業実績などにも多少左右されるでしょう)

最後に

いかがでしたでしょうか。

もしかすると、動画制作の相場を調べたり、料金表を探したりしても満足の行く情報が見当たらず疑心暗鬼になられている方もいらっしゃるかもしれませんが、筆者としてはこれまでのご説明の通りそれには明確な理由があり、決して「金額をブラックボックス化して儲けよう」という業界ではないということをお伝えしたいと思います。

発注側のご担当者にとっては少し手間になるかもしれませんが、信頼できる制作会社や営業担当者が見つかるまでは、複数の制作会社に見積りを依頼することで、金額感を把握するというのがベストでしょう。

情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
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この記事を書いた人

【株式会社case 代表取締役/動画制作プロデューサー】加藤智史
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社にアカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。現在は本メディアの運営を通じた企業の動画制作支援や、動画制作会社の営業支援などを行う。動画制作のご依頼の流れはコチラ

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