2018年3月に経済産業省から発表された『製造業を巡る現状と政策課題』によると、製造業界における企業業績は改善傾向にあり、大企業・中小企業いずれも上向き傾向にあるという調査結果が出ています。
一方で、2023年現在は、円安の影響もあり特に海外から素材や部品の輸入が必要な企業の中には厳しい状況の企業もでてきています。
新卒採用においては「ものづくり」が好きなだけではなく、AIやIoTなどの新しい技術要素への強い興味関心や、それらの技術を活用した「ものづくり」そのものだけではなく、生産管理・生産性の向上などへの適応・貢献が期待できる人材の確保が重要になっています。
本記事では、そんな製造業界における採用動画の活用方法について、実際の事例をご紹介しつつ制作のポイントについて詳しく解説します。
製造業界の新卒採用動画についてよくあるQ&A
- 新卒採用動画の制作費はどれくらい?
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制作する内容によって大きく変動しますが、概ね50万円〜200万円程度の制作予算で制作されるケースが多いです。
- 新卒採用動画の制作期間はどれくらい?
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制作する内容によって大きく変動しますが、概ね2ヶ月程度を想定しておくと良いでしょう。
- 新卒採用動画の活用方法にはどのような方法がある?
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採用サイトへの掲載、説明会での放映、YoutubeチャンネルやInstagramへの投稿など目的によって様々です。
製造業界における、新卒採用動画の活用メリット
新卒採用動画の活用メリットは様々ですが、特に製造業界における活用メリットにはどのよなものがあるでしょうか。一般的な活用メリットと合わせて解説します。
ブランドコンセプト・世界観への共感
製造業界における新卒採用動画を活用する最大のメリットはブランドコンセプト・世界観への共感をうみやすいという点でしょう。
企業による差異はもちろんありますが、学生側はある程度業界や職種を絞って就職活動を行っていることが多いため、必然的に採用競合=事業競合となりやすくなります。似た事業を行っている競合との差別化を図る意味でも、学生自身の好みやセンスとマッチするかどうかというのは非常に重要なポイントになり得ます。
事業内容や会社概要の理解
事業内容や会社概要は採用サイトやコーポレートサイトでも確認できるため、あえて動画でそのような内容を伝える必要性は低いように思われがちですが、特に就職活動時期の学生は忙しいため、動画コンテンツを用意しておくことで学生がどこでもスマホで視聴できる環境を用意しておくというのは重要なポイントです。
特にYoutubeであれば、倍速再生なども可能で志望度の高い企業であれば繰り返し視聴することも考えられるため、動画制作時に予め「倍速再生」を想定した速度で制作するという方法も十分に検討の余地があります。
先輩社員を通して、キャリアイメージを醸成する
特に店舗での仕事については、実際に買い物客としてお店を訪問するなどでイメージしやすい部分ですが店舗での接客以外の業務や、店舗以外での業務は学生にとってはイメージが難しいところです。また、中長期的なキャリアとしてどのような選択肢があるのかについても学生が企業を選ぶ重要なポイントになります。
そのような「働くイメージ」「キャリアイメージ」を先輩社員のインタビューや密着動画などを通して伝えるというのは非常に有効な手段の1つです。
実際に働くシーンを通した自己投影
前述した「働くイメージ」と重なりますが、どのような仕事をするのかではなく、「自分がここで働くこと」を具体的にイメージできるかどうかという視点も重要です。
仕事の内容ではなく、職場の雰囲気・一緒に働く先輩社員の雰囲気・会社としての考え方などなど、様々な要素が絡み合うことでその企業の「社風」「雰囲気」が出来上がっているため、これらを言葉だけで表現することは非常に難しく、また受け取り手が理解するのは更に難しいです。
その点動画であれば、そのような「雰囲気」も含めてクリエイティブとして視聴者に届けることができるため、会社を理解するだけではなく「共感」などの感覚的な要素も含めた志望度の向上やセルフスクリーニングを促すことが可能になります。
製造業界における、新卒採用動画の活用方法
採用サイトへの掲載
採用コンセプトを表現したものや、その企業のブランドイメージや世界観を表現した動画などを採用サイトのメインビジュアルやファーストビューに掲載するというのは何よりもまず「コンセプト」や「世界観」を学生に理解・共感してもらうために非常に有効です。
また、メインビジュアル・ファーストビューは採用サイトに訪問するたびに必ず目にする部分なので、志望する学生に繰り返し見せることができるという特徴もあります。
WEBセミナー・オンライン会社説明会
コロナ禍をきっかけに、一気に普及したのがWEBセミナー・オンライン会社説明会です。できるだけ多くの会社の説明会に参加したい学生にとっては自宅や出先でオンラインで参加できるというのは大きなメリットです。また、企業にとってもリアルの説明会だけではリーチできなかったかもしれない学生に情報を届けられる機会にもなり得ます。
WEBセミナー・オンライン会社説明会とリアルな会社説明会でどのようにコンテンツを出し分けるのかも含めた情報設計は必要になりますが、各社が取り組んでいることや学生にとってのメリットを鑑みるとできる限り実施した方がよい施策の1つです。
説明会のオープニング/エンディング
上記のように、オンラインで説明会を実施することができるようになったことを考えると「では、わざわざ足を運んでもらうリアルな説明会をどう設計するか?」は非常に重要なポイントです。オンラインもリアルも変わらないとなると、学生は「時間がもったいない」と感じざるを得ないでしょう。
その、リアルな説明会における特別感の演出方法の1つがオープニング動画・エンディング動画の活用です。
動画の内容は説明会全体の設計とも関わりますが、例えば採用コンセプトやブランドイメージを訴求するようなものでもよいでしょうし、先輩社員のインタビューでも良いでしょう。重要なポイントは、
- 説明会に足を運んだからこそ見ることができた、得ることができた情報だという特別感
- 説明会全体を1つのストーリーと考えた際に、オープニング・エンディングとしてふさわしいコンテンツであること
という2つです。
YoutubeやInstagramへの掲載
学生へリーチするために、彼ら・彼女らが日常的に利用しているSNSを通して情報を発信するというのも有効です。もちろん、それぞれの媒体特性やどのように利用されているのかを理解した上で発信する情報の内容やコンテンツを使い分ける必要もあるため、運用の手間はかかりますが、上手く活用できれば継続的な接点を作ることができます。
例えば、ソニーグループは説明会の告知やその他様々なコンテンツを積極的にInstagramで発信しています。
製造業界における、新卒採用動画の事例
ここまで様々な採用動画の事例や活用方法について解説してきましたが、ここでは改めて採用動画の「種類」ごとに事例をピックアップしています。各社がどのような動画を制作・活用しているのかぜひご参考下さい。
採用コンセプト動画
日星電気株式会社 リクルートムービー「部品になるな。部品をつくれ。」
【伝統を胸に、想いを新たに】新卒採用CONCEPT MOVIE(1分1秒) -東陽建設工機㈱
LINEX 新卒採用メッセージムービー
会社説明会動画・会社紹介動画
Honda Corporate Video
ミネベアミツミ 新卒採用 | 会社紹介動画
【24卒向け】トヨタ自動車|WEB会社説明会
【株式会社オーミヤ】2022年新卒採用Web会社説明会Short Ver.
インタビュー動画
コンチネンタル・ジャパン #1浜北工場社員インタビュー
先輩社員インタビュー
Honda イノベーションラボTokyoで働く社員インタビュー
ドキュメンタリー動画・密着動画
【採用】社員1日密着ドキュメンタリー “11年目営業 原田さん編”
内野製作所 がんばる女子社員の1日
座談会動画
トヨタ自動車 若手社員座談会映像(新卒採用向け)
製造業界における、新卒採用動画の制作のポイント
新卒採用向けの動画制作において、特に気をつけなければならないのは下記の4点です。
- 目的を明確にする
- ターゲットを明確にする
- メッセージの伝え方に注意する
- 明確なコール・トゥ・アクションを設定する
あらゆる動画制作について、同じことが言えるのですが新卒採用での動画活用については、冒頭で触れたとおり特に動画に慣れ親しんでいる「ネイティブ」な世代であることを考えるとより慎重に検討する必要があります。
具体的にどのようなポイントを抑えるべきか、1つずつ解説します。
目的を明確にする
すごく当たり前のことなのですが、意外と見落とされがちです。
「なんとなくカッコいい動画」「とりあえずインタビュー動画を制作しようと思ってます」とかだと、あまり意味のない動画が出来上がってしまいます。本当にもったいないです。
ちなみに、ここでいう「目的」は「エントリー数を増やす」とか「歩留まりを上げる」とかだと動画クリエイティブに落とし込むには少し抽象的です。
しっかりと役割を果たすことが期待できる動画を制作するためには、上記の「目的」に2〜3回ほど「WHY」をぶつけてみて下さい。
- なぜ歩留まりが低いのか?→面接での印象が良くない?会社や仕事の説明が分かりづらい?
- なぜ会社や仕事の説明が理解されないのか?→説明の仕方が悪い?内容が複雑でわかりにくい?
という感じで、ある程度のところまで深ぼったり要素分解しながら「動画の目的」を明確にしましょう。
ターゲットを明確にする
すごくすごく当たり前のことですが、これも見落とされがち…というか動画を制作するにあたっては少し解像度が荒い状態であることが多いです。
例えば、採用ターゲットは「MARCH卒で体育会に所属していたような学生」だとして、動画のターゲットもそのままでよいのか?もう少し絞ったほうがいいのか?あるいは、広げたほうがいいのか?という部分を検討しきれていないケースがあります。
- 採用ターゲットは「MARCH卒で体育会に所属していたような学生」
- 動画を制作するのは、〇〇〇〇という目的で、動画には〇〇〇〇という役割を担わせたい。
- そうすると、動画のターゲットは「MARCH卒で体育会に所属していたような学生」かつ「どちらかというと、〇〇〇〇タイプ」というように絞り込まれるのか「中学高校くらいから大学を卒業するまでなにかに打ち込んだ経験のある学生」というように少し広げるのか。
…という感じです。
新卒採用においても、ナビサイト上で検索条件で絞り込みという意味でのターゲットと、面接で絞り込む際のターゲットはそれぞれ解像度が異なるはずです。
前述の「目的」と紐づくため、ターゲットのことだけを考えても答えはでません。もしこの記事を読んで「あ…」と思った方は目的と合わせてどのようなアプローチが最適であるかについて、もう一度考えてみてはいかがでしょうか。
明確なコール・トゥ・アクションを設定する
「行動喚起」と訳され、デジタルマーケティングの世界ではユーザーに「次に起こしてほしい行動」を誘導することを指します。
つまり、動画を視聴したあとの行動としてどのような行動を期待するのか、そしてそのためにどのような気持ち・感情になって貰う必要があるのかを明確にしましょう、ということです。
当然ですが、やはりこの点についても目的との紐づきがあり、目的の解像度が低いとターゲットやコール・トゥ・アクションも同じように解像度が低い可能性が高いです。
もし、動画制作を具体的に検討しているようでしたら、まずはこれらのポイントを整理することから始めてみましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。とても当たり前のことですが、目的やターゲット、媒体などによって動画の企画や表現方法は大きく変わります。過去の採用活動から得られたデータや示唆をもとに、しっかりと情報を整理した上で、代理店や制作会社と連携して動画制作を行ってみて下さい。
情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
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