コロナ禍によってリモートワークが急速に進んだことで、これまで訪問・対面での営業が当たり前だった商談も、リモートでのオンライン商談への移行が進みました。
対面営業の際には、営業担当者が紙資料やパンフレットなどを用意して客先で説明したりそのまま資料を渡したりしていましたが、オンライン商談に移行したことでそれらは画面共有による説明に変わり、資料はデータでやりとりするようになりました。
これだけだと、ただ資料の使い方が変わっただけのように見えますが、実際の営業シーンにおいては資料をお客さんに渡してしまうとコチラのペースでの説明ができなかったり、お客さんが気になることだけを端的に聞かれてしまい十分な説明が難しくなってしまうこともあり、オンライン商談で画面共有による資料説明の方がやりやすいという営業担当者の声もあります。
このような営業シーンの変遷の中で、改めて注目されているのが営業ツールとしての動画の活用です。
動画であれば、対面・オンラインを問わず見せる側が、見せたい順番で、見せたい情報を見せることができるという動画ならではの特性が注目の理由です。
本記事では、営業ツールとして動画を活用することのメリットや制作のポイントを実際の事例を交えながら解説します。
営業ツール動画についてよくあるQ&A
- 営業ツール動画の制作費はどれくらい?
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制作する動画によって大きく変動しますが、数十万円から300万円程度の間で制作されるものが多いです。
- 営業ツール動画の制作期間はどれくらい?
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制作する動画によって大きく変動しますが、短いもので1ヶ月程度・一般的なもので2ヶ月程度・長いものだと3〜4ヶ月程度です。
- 営業ツール動画の活用メリットは?
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商材によっても変わりますが、基本的には「時と場所を超えて情報を届けられる」ことです。大きいものや、中身を見ることが難しい商材の構造を紹介するなど。他にはスキームが複雑な商材をわかり易く紹介できるメリットもあります。
- 営業ツールとして使える動画にはどんなものがある?
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一般的な商品・製品プロモーション動画、企業紹介動画、サービス紹介動画、マニュアル動画などがあります。
営業ツールとして使える動画の種類
営業ツール動画には、そもそも「営業ツール」として活用することを前提として制作された動画もあれば、別の目的・用途で制作された動画を「営業ツール」としても活用されているケースもあります。ここでは、特に後者をメインに、どのような動画が「営業ツール」として活用されているかをご紹介します。
会社紹介・企業紹介動画
会社紹介動画や企業紹介動画、またはコーポレートムービーなどと呼ばれるその会社の概要や全体像を紹介する動画は、殆どの場合汎用的に使われることを想定して制作されるため、営業シーンでも活用されることが多くあります。
特に、海外での営業などの際には活用されることが多く、筆者も海外営業用の動画や、元々国内向けに制作したものを海外営業でも使えるようにナレーション原稿の翻訳や英語ナレーションの収録・再編集を行うなどの経験があります。
【SoftBank】会社説明|10分間で分かるソフトバンク
【FULL】会社紹介動画(東洋特殊鋼業株式会社)
An Introduction to Nissei ASB Machine Co., Ltd.
商品・製品プロモーション動画
toB領域における商品・製品プロモーション動画は、営業ツールとして最も効力を発揮する用途の1つと言えます。理由は「モノが大きくて持ち運びが困難」「構造や機能などは、静止画ではなく動画のほうが圧倒的にわかりやすい」の大きく2つです。
【PR動画】大光電機株式会社様 – [ZERO] 製品紹介ムービー 株式会社イーサーデザイン
[ブラザー] F600X1 製品紹介
WS-24A商品紹介
サービス紹介動画
サービス紹介動画は、主にHPやLPなどに掲載することはWEBCM用に制作されることが多いですが、営業ツールとしても用いられるケースもあります。
【サービス動画2分編】MiiTel(ミーテル)のご紹介
【契約のDX化を実現可能!】電子契約システムとは?仕組みや導入のメリットを解説
「EmotionTech」サービス紹介動画
マニュアル動画・チュートリアル動画
マニュアル動画やチュートリアル動画は、一見営業ツールとしては不適切なようにも思えますが顧客の状況によっては立派な営業ツールになります。例えば、サービスのUIや操作性などを実際に見てみたいというニーズや、製品の取り扱いがどれくらい難しい・簡単なのかなどを伝えるために活用するには便利です。
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営業ツールとして動画を活用するメリット
営業ツールとして、動画を活用するメリットは大きく下記の3つです。
- 時と距離を超えて情報を届けることができる
- わかりにくい複雑な情報を、わかり易く表現できる
- 伝える情報の質を担保できる。
- 顧客の関係者に同じ情報を届けることができる
一つずつ見ていきましょう。
時と距離と重力を超えて情報を届けることができる
営業に限ったことではありませんが、動画を活用する最大のメリットはこの点でしょう。
過去を見せることや、未来(的な表現)を見せること、遠くにあるものや重いものも動画になっていればすぐに見せることができます。
過去や未来(的な表現)は、主に会社紹介動画やビジョンムービーなどが該当し、遠くにあるものや重いものは、工場紹介や商品紹介などが該当します。
いずれも、「いま、ここ」に持ってくることができないものを、見せることができるというのがポイントです。
わかりにくい複雑な情報を、わかり易く表現できる
こちらも動画を活用する大きなメリットの1つですが、ナレーションやテロップなどの言語情報と動画内のイラストやオブジェクトなどの視覚情報、そしてそれらが有機的に繋がったり動いたりすることで2つの情報を立体的・感覚的に把握・理解することができるのは動画の特徴です。
- 複雑なスキーム
- 複雑な構造
- イメージしにくいシチュエーション
などを見せながら、商品やサービスの有用性を伝えることができれば、その商品やサービスのニーズを高めることができるでしょう。
伝える情報の質を担保できる。
営業ツールに動画を活用することのメリットとして、「伝える情報の同質化」という言葉が使われることがあります。
確かに、動画そのもので表現されている内容はそれを見せる営業担当者の実力を問わず同じものです。しかし、それはパワポの資料やパンフレットなどでも同じことが言えます。
パワポの資料やパンフレットなどの媒体と比較して、営業ツールとしての動画の特徴を正確に表現するのであれば、「伝える情報の質を担保できる」という表現の方が適切だと考えます。
何が違うか?
動画も、パワポ資料やパンフレットなどの媒体と同じように結局はそれを見せる人の力量によって伝わる情報に差がうまれます。例えば、デキる営業担当者は動画を見せながら補足説明を行いますし、デキない営業担当者は動画に関する質問に答えられないケースもあります。そうすると、同じ動画を使っても顧客に伝わる情報は大きく変わります。
「それじゃあ、わざわざ動画を使う意味はメリットはないのか?」というとそうではありません。
動画の特徴は、「見せたい情報を、見せたい順番で、見せることができる」ということです。
パワポ資料やパンフレットのように、読み手に自由を与えないというのが動画の特徴です。
そして、この特徴によって「伝える情報の質を担保」することができると言えると考えます。
営業ツール動画を制作する際のポイント
目的を明確にする
営業ツール動画を制作する上で、非常に重要なのがその目的を明確にし、可能な限り解像度を上げることです。
例えば、動画制作の最終的な目的の多くは「購入してもらう」などでしょう。
では「購入」してもらうために、動画はどのような役割を果たすべきでしょうか。
- 製品の概要を把握してもらい、必要十分な性能があると理解してもらうこと
- 製品を利用することによって実現できることを知ってもらい、圧倒的な作業効率や便益の向上に寄与すると感じてもらうこと
- 製品の示す世界に共感してもらうこと
など、製品の特徴やマーケティング・営業上の課題によって動画の役割も大きく変化します。
自社製品やサービスが持つ強みや、何が相手の意思決定の材料になるのかをしっかりと分析・把握し動画の役割を明確にしましょう。
ターゲットを明確にする
この動画は「誰が見るのか」「誰に観せたいのか」を明確にしましょう。前述の動画の役割にも紐づきますが、この動画を観る人が
- 比較的情報感度が高く、新しいサービスへの興味関心が高い人
- 現場の担当者
- 決裁権を持つ、上位職者
…など、動画を見る人が誰であるかで訴求するべきポイントや表現方法は大きく変わります。何が相手の意思決定の材料になるのかをしっかりと分析・把握するためにも、ターゲットは明確にする必要があります。
予算を確保する
目的・役割とターゲットが明確になれば、「この人に、この情報を、こんなふうに伝える」ということまで決めることができます。
しかし、予算が足りなければ「こんなふうに伝える」の部分が弱くなってしまったり、十分に表現できない可能性があります。
例えば、
- 製品の昨日やベネフィットは3DCGで表現した方が理解してもらいやすい
- より広い認知を獲得するためにタレントを起用したい
- 様々なシチュエーションにおけるベネフィットを提示するために、複数パターンの撮影が必要である
など、適切な演出を加えたくてもそれらの機材・人を用意できなければそれは叶いません。
オフィス家具のプロモーション動画は数十万円からの制作が可能ですが、企画内容や活用媒体によって制作費は大きく変わるため、できる限りお財布には余裕をもたせておいたほうが良いでしょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。当然といえば当然なのですが、目的やターゲット、媒体などによって動画の企画や表現方法は大きく変わります。
また、営業ツールとして動画を制作する場合には当然ですが、自社でどのような営業・商談が行われているのかの詳細を把握し、どのように使ってもらうのか、その後のフォローなども含めた情報の把握と活用の設計が必要です。
営業動画を活用される際には、制作会社や広告代理店に相談するまえに一度情報整理や予算の検討など、事前準備をしっかりと行った上で問い合わせるようにしましょう。
情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
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